不動産『おとり広告』がなくなら・・・

不動産お役立ち情報

タグタグ 契約法律

投稿日:2026/02/02

不動産『おとり広告』がなくならない理由と利用者が取るべき対策

不動産『おとり広告』がなくならない理由と利用者が取るべき対策

「賃貸の物件、良さそうなので連絡したら“もう埋まりました”と言われた…これっておとり広告?」

「不動産購入でも同じ手口があると聞いて不安。だまされない方法が知りたい」

 

不動産の「おとり広告」は、賃貸で多い来店誘導だけでなく、売買でも“広告の見せ方”次第で判断を誤らせます。時間や労力を奪われ、比較検討の軸が崩れた結果、割高な契約に寄せられるのが最大の痛手です。本記事では、景品表示法の考え方を軸に、おとり広告がなくならない理由を解き明かしつつ、賃貸と売買をしっかり区別して実例・危険サイン・質問テンプレで見抜き方を整理。万一遭遇したときの証拠の残し方や相談先まで、迷わず行動できる対策をまとめます。

 

 

おとり広告の定義と典型パターンを最初に理解する

おとり広告とは、実際には契約できない物件を、あたかも契約可能かのように広告し、消費者を誘い込む行為を指します。不動産業界では昔から問題視されており、法的にも禁止された明確な違法行為です。典型的には「好条件の物件」をエサに集客し、問い合わせや来店を誘発したうえで別の物件に誘導する手口がとられます。まずはこの基本的な定義とパターンを押さえておきましょう。なお、おとり広告は宅建業法(第32条の誇大広告禁止)や業界の広告表示規約(第21条)で明確に禁止されており、違反すれば行政処分や罰則の対象となります。

 

(おとり広告)

第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

出典:首都圏不動産公正取引協議会>不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則

 

(誇大広告の禁止)

出典:全宅連>(誇大広告の禁止)32条

 

存在しない・取引不可・意思なしの三分類で整理する

おとり広告は大きく分けて次の3タイプに分類できます。

 

①物件自体が架空で存在しないケース、

②物件は実在するが既に売約済み・成約済み等で取引できないケース、

③物件は存在するが業者に売る意思がないケースです

 

いずれも「実際には取引できない物件」を広告する点で共通し、消費者を誤認させて不当に誘引する不当表示として景品表示法上禁止されています。例えば「実在しない住所の物件」や「既に契約済みの物件」を広告する行為が該当し、これらはいずれも法律上おとり広告とみなされ厳しく規制されます。

 

賃貸で多いが売買でも起こる理由を知っておく

おとり広告は賃貸物件の募集で特に多く見られる傾向があります。賃貸市場では物件の入れ替わりが早く、「好条件なのに安い部屋」が広告に出ていると問い合わせが殺到しやすいため、悪質業者が故意に成約済み物件を掲載し続けるケースが後を絶ちません。実際、ある調査では問い合わせた物件が「申込できない」と回答された経験者が約67.6%にも上ったとの報告があります。こうした被害は賃貸で顕著ですが、売買でも起こり得ます。例えば中古住宅や新築分譲で「もう売れた物件」を広告に残して客付けに利用したり、モデルルーム用の特価住戸が既に終了しているのに宣伝だけ続けるといったケースです。売買の場合は件数自体は賃貸より少ないものの、1件あたりの金額が大きいためより深刻なトラブルにつながりかねません。賃貸・売買問わず、「おとり」の誘惑には注意が必要です。

LIFULL HOME'Sが不動産ポータルサイトで「物件鮮度No.1 」獲得

出典:IFULLL HOME’Sが不動産ポータルサイトで「物件鮮度No.1 」獲得より一部抜粋

 

 

実例で学ぶ「だましの導線」と誘導トークの正体

では具体的に、おとり広告で悪徳業者がどのように消費者をだますのか、その導線(プロセス)を実例から見てみましょう。典型的なおとり広告では、消費者がお得な物件情報につられて問い合わせ・来店するところから一連の流れが始まります。業者は最初からその物件を契約させるつもりはなく、巧みな話術で別の物件に興味をすり替えようとします。その際、「だましの導線」として使われる誘導トーク(セールストーク)の正体を知ることで、冷静に対処できるようになります。不動産のプロとしては、「甘い話ほど裏がある」と考え、常に冷静な目線で広告と営業トークを見極める習慣が重要だと思っています。以下で典型手口を段階的に分解して解説します。

 

来店誘導で別物件にすり替える典型手口を分解する

典型的なおとり広告の流れは次のようなステップです。まず業者は実際には契約できない魅力的な物件情報を広告し、消費者からの問い合わせを待ちます。問い合わせを受けると「まだあります。ぜひ一度お越しください」などと言って店舗への来店を促します。消費者が来店すると、業者は「タイミング悪く先ほど埋まってしまいました」などと説明し、目当ての物件をあっさり諦めさせます。そしてすかさず「代わりに同条件でもっと良い物件があります」などと別の物件を勧めてくるのです。最初から契約できない物件で釣り、来店後に別物件にすり替える――これがおとり広告の王道パターンです。例えば全日本不動産協会にも「ネットで見つけた賃貸マンションを問い合わせたら既に2か月前に契約済みで、代わりに別物件を紹介された」という相談事例が報告されています。このように来店させてから既成事実的に他を押し付ける手口には十分な警戒が必要です。

出典:公益社団法人 全日本不動産協会>おとり広告

 

相場より安すぎる条件や情報不足の危険サインを読む

おとり広告には、事前に見抜くためのいくつかの危険サインがあります。まず周辺相場と比べて家賃や価格が明らかに安すぎる物件は要注意です。駅近・築浅・広い・設備良しといった好条件なのに、相場より数万円も安い場合「掘り出し物」ではなくエサ(釣り針)の可能性が高いと私は思います。次に写真や情報が極端に少ない物件も疑ってください。

 

外観写真1枚だけ、間取り図だけ、あるいは明らかに使い回しの内装写真なども怪しく、別物件の写真を流用したり古い募集情報を残したままだったりのケースが多いです。さらに広告のキャッチコピーに「今だけ!先着!期間限定!」など煽る文句が多い場合も集客目的の匂いが強くなります。そして物件情報の更新日が古い物件にも注意しましょう。「掲載開始から長期間経過しているのに成約にならず残っている」「情報更新が何週間も止まっている」といった物件は、「いつまで募集しているの?」という違和感を持つべきです。実際、同じ物件を複数社が掲載していてどこに問い合わせても「埋まっている」場合、その物件情報自体が古くデータだけ拡散しているか、最初から釣り目的で使われている可能性があります。

おとり広告

最後に、問い合わせ後の業者の対応もサインです。問い合わせして数分で「今埋まりました」「代わりを出します」とテンプレートのような即答が返ってくる場合、十分な確認をせず自動的に返答している疑いが強いです。本当に確認するなら多少時間がかかるはずなので、「返信が早すぎる」対応にも注意しましょう。以上のような点に2つ以上当てはまれば黄信号、複数当てはまれば真っ赤な警告と考え、慎重に見極めることが大切です。

 

 

だまされると損することを具体的に可視化しておく

「おとり広告くらい引っかかっても別にお金を取られるわけじゃないし…」と油断していませんか? 実は、だまされることによる損失やダメージは金銭面だけではなく様々な形で発生します。それらを具体的に可視化して知っておくことで、「絶対に避けよう」という意識が高まります。ここではおとり広告に引っかかった場合にどのような損をするのかを明らかにし、被害防止の動機付けとします。不動産のプロも「おとり広告は時間と労力の浪費であり、下手をすればより悪い契約を結ばされるリスクがある」と警鐘を鳴らしています。損失の具体像を把握し、だまされない重要性を再確認しましょう。

 

時間・費用・判断力を奪われる心理的ダメージを知る

おとり広告に振り回されると、まず大切な時間と労力が奪われます。たとえばネットで理想の物件を見つけ問い合わせし、わざわざ不動産屋に出向いたのに「すでに決まりました」と空振りに終われば、その物件探しに費やした時間や交通費はすべて無駄になります。実際、前述の調査でも問い合わせた人の約17.1%は店舗に足を運んで初めて募集終了を知らされたと報告されています。こうした無駄足は仕事の休みを取っていたりすると尚更痛手ですし、精神的な落胆も大きいでしょう。さらに怖いのは、何度も空振りを味わううちに判断力が低下する点です。「この物件もダメだった…また探し直しか」と疲弊し焦燥感が募ると、冷静な比較検討が難しくなります。結果として「もう時間がないし妥協して契約してしまおう」という心理状態に追い込まれかねません。不動産のプロは、こうした心理的ダメージがおとり広告最大の罠だと指摘します。一見お金は失っていなくても、時間・費用・精神力という貴重なリソースを浪費させられること自体が大きな損失なのです。

 

焦らされて妥協契約へ誘導される構造を理解する

おとり広告に引っかかると、業者のペースに乗せられて早まった判断を下してしまう危険があります。典型的なのは、「他にも検討者がいますので早く決めないと」といった営業トークで焦らされるパターンです。人は「今決断しないと損をする」と煽られると冷静さを欠き、多少条件に不満があっても妥協して契約してしまいやすくなるものです。悪質な業者はまさにこの心理を突いてきます。「今申し込めば確実に押さえられますよ」などと急かされると、その勢いで「それならとりあえず…」と申込書を書いてしまう人も少なくありません。しかし一度申込を書いてしまうと、キャンセルしづらい雰囲気を作られたり、営業マンから執拗に説得されたりして、結局そのまま契約まで持ち込まれてしまうケースもあります。仮に契約を免れても、無駄な手続きや交渉に時間を取られ精神的にも消耗します。

 

このように、おとり広告→焦らせるトーク→妥協契約という一連の流れは巧妙に仕組まれており、一度乗ってしまうと抜け出すのが難しくなります。不動産のプロはいいます。「こういう時こそ一呼吸おいて冷静になること。たとえ『他にも検討者がいる』と言われても、自分の判断軸で本当に納得できるか考えるべきだ」と。焦りは禁物――この構造を理解し、常に落ち着いて判断することが重要です。

報酬が多くもらえる物件を紹介している業者も存在します

 

賃貸オーナーによっては、空室を嫌い、仲介業者に報酬を多めに支払ってでも入居者を埋めてほしいと考える方は少なくありません。なので、おとり広告で誘い出された賃貸物件を探している方に、代わりの物件と称して、報酬が多くもらえる物件を紹介している業者も存在します。

おとり広告で騙されるわ!急かされて希望通りとはいかない物件を掴まされるわ!では、

あまりにもひどい話です。こうならないように是非注意してください。

 

報酬が多くもらえる物件を紹介している業者も存在します2

 

 

景品表示法と広告規約の要点を消費者目線で押さえる

おとり広告対策には法律の知識も武器になります。ここでは景品表示法と不動産広告の業界ルール(公正競争規約)の要点を、消費者目線で簡潔に押さえておきましょう。まず景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、商品やサービスの表示について消費者を誤認させる表示を禁止する法律です。おとり広告はまさに「実際には利用できない商品をあたかも利用可能と表示し、消費者を誘引して自主的選択を歪める表示」に該当し、同法第5条第3号の規定に基づく告示で禁止されています。一方、不動産業界には「不動産の表示に関する公正競争規約」(表示規約)という自主ルールがあり、景品表示法に基づき公正取引委員会の認定を受けた形で業界内の詳しい広告ルールを定めています。この表示規約でも第21条でおとり広告を明確に禁止し、先述の3類型(存在しない/取引不可/意思なしの物件表示)を具体的に挙げています。消費者としては、「法律や業界規約でも禁止されている行為なのだ」という認識を持つことで、万一怪しい広告に遭遇した際にも毅然と対処しやすくなるでしょう。

 

不当表示として問題になるロジックを短時間で掴む

景品表示法の観点からおとり広告を捉えると、その問題となるロジックが見えてきます。同法では、事業者が提供する商品・サービスについて、一般消費者に誤認される恐れがある表示で不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する行為を禁止しています。おとり広告は、消費者に「こんな物件が借りられる(買える)!」と思わせて問い合わせや来店を促しながら、実際にはその物件を提供しない点でまさに消費者の合理的選択を阻害する不当表示に当たります。消費者庁公表の告示「不動産のおとり広告に関する表示」では先述の通り(1)架空物件、(2)取引不可物件、(3)取引意思のない物件の表示が具体的に禁止事項とされています。要するに、「消費者を店に来さえすればこっちのもの」と考えて架空または売る気のない物件を広告する行為は、消費者に誤認を与える悪質な誘引として違法なのです。専門的な法律用語はともかく、「契約できない物件で客寄せする→客の冷静な選択を奪う」というロジックがおとり広告の本質であり、法律もここを問題視していると理解しておきましょう。

 

宅建業法の不実告知や誇大広告との違いも整理する

おとり広告は景表法違反であると同時に、宅地建物取引業法(宅建業法)にも違反します。宅建業法では第32条で誇大広告の禁止を定めており、「著しく事実と相違する表示」や「実際より著しく優良・有利と誤認させる表示」をしてはならないとされています。おとり広告はまさに「広告表示された物件と現実に取引できる物件が異なる」という点で事実と相違する広告に該当し、宅建業法上も誇大広告として禁止されます。一方で宅建業法には広告以外の場面での規制もあり、例えば不実告知(重要事項説明などにおいて事実と異なることを告げる行為)や誇大な表現による勧誘も禁じています。これらは広告そのものではなく営業トークや説明段階での嘘・大げさな勧誘を指します。おとり広告との違いを整理すると、おとり広告=広告段階での虚偽表示であり、不実告知=契約説明段階での虚偽告知、誇大広告=広告段階での誇張全般といった位置づけです。いずれも消費者を誤解させる行為には変わりなく、宅建業法違反となれば指示処分・業務停止・免許取消といった行政処分や罰金・懲役など刑事罰の対象になります。なお、景表法違反として消費者庁から措置命令を受けるケースもありますが、その場合従わないと2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が課される可能性があります。このように法律面からも多角的に禁止・処罰される行為だと理解し、消費者として毅然と対処する姿勢を持ちましょう。

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会

出典:公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会>2023年度の違反物件情報等の共有結果より一部抜粋

参考:公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会>2023年度不動産広告の違反事例の紹介

 

 

賃貸で多いおとり広告を見抜く即効チェックリスト

賃貸物件探しにおいては、おとり広告を瞬時に見抜くためのチェックリストを用意しておくと安心です。不動産のプロは「少しでも疑わしい要素があれば、問い合わせ前に徹底的に確認すること」が重要だと考えます。以下に問い合わせ時に必ず確認すべき7項目を厳選しました。このリストを活用すれば、怪しい物件に時間を割く前に自衛することができます。実際に問い合わせる際はメモ代わりにして、一つずつ潰していくようにしましょう。素早くチェックして引っかかりを感じたら、その物件には深入りしない決断力も大切です。不安なときほど基本に立ち返り、この即効チェックリストで身を守ってください。

 

問い合わせ時に必ず確認すべき項目を七つに絞る

問い合わせ前後で確認したい7つのポイントを以下にまとめます。2つ以上当てはまれば要警戒、複数該当ならおとり広告を強く疑いましょう。

 

  • 家賃・価格が相場とかけ離れていないか

周辺相場より極端に安い場合は要注意。

 

  • 掲載情報(写真・間取り・説明文)は十分か

外観写真1枚のみ、間取り図だけ等、不自然に情報が少ない物件は怪しい。

 

  • 広告の文言が煽り過剰でないか

「今だけ!先着◯名!」など急がせる表現が多い広告は集客目的の可能性大。

 

  • 掲載開始日・更新日は新しいか

長期間「募集中」のまま放置されている物件は要チェック。更新日が不自然に古い場合も疑う。

 

  • 他社でも同じ物件が多数掲載されていないか

複数業者が扱っているのに全て「埋まっている」なら元情報が古いか意図的な釣りの可能性。

 

  • 問い合わせ後の対応が迅速すぎないか

問い合わせ直後にテンプレートのような返信で「今埋まりました」が来る場合、確認せず自動返信している疑い。

 

  • 代替提案や来店誘導が唐突でないか

「その物件は難しいので他を…とりあえず来店を」と即座に別物件の話になる場合、誘導の意図を疑う。

 

以上を問い合わせ時のチェックリストとして念頭に置き、1つでも怪しい点が浮上したら慎重に対応しましょう。些細な違和感を見逃さないことが、被害防止の第一歩です。

 

内見予約の取り方と店頭誘導の切り返しを身につける

おとり広告をかわすには、内見(物件見学)の予約の取り方にもコツがあります。まず問い合わせ時点で「この物件、現在お申込みは入っていませんか? 空き確認だけお願いします」と必ず確認しましょう。内見予約を入れる前に空き状況をはっきりさせることで、存在しない物件に誘われるリスクを大きく減らせます。また、可能であれば物件の現地で待ち合わせる形で内見予約をするのも有効です。店頭集合ではなく物件前で営業担当者と合流する約束にすれば、「行ってみたらもう決まっていた」という状況をかなり防げます。もちろん現地集合には道に迷うリスク等もありますが、店頭で余計な勧誘を受けずに済むメリットは大きいでしょう。もし相手が現地見学を渋る場合は、その物件が本当に内見できない理由を尋ねてください。正当な理由があれば詳しく答えられるはずですが、理由をはぐらかしたり他物件ばかり勧められたりするようなら赤信号です。

 

いざ店舗で担当者と対面した際も、誘導に乗らない工夫が必要です。たとえば「この条件で今空いているものだけ紹介してください」と自分の希望条件を改めて短く伝えるのも効果的です。こうすることで軸のズレた提案を封じ、時間を浪費するのを防げます。もしそれでも執拗に別物件への案内や来店継続を迫られる場合は、「一旦持ち帰って検討します」と切り上げて構いません。おとり物件に当たったら早めに見切りをつけるのも大切な自己防衛です。私共も「対応に不信感を覚えたら、その担当者(会社)から離れてOK」と助言しています。内見予約の段階から主導権を握り、店頭での誘導もうまくいなす。このスキルを身につけておけば、おとり広告に振り回される可能性は格段に減るでしょう。

 

 

不動産購入でも起こる罠と売買ならではの注意点

おとり広告は賃貸に多いものの、不動産の購入(売買)においても類似の罠や誤導が存在します。売買では物件数も動きも賃貸ほど多くありませんが、その分一件ごとの金額が高額なため、だまされた場合のダメージが大きい点で注意が必要です。ここでは売買ならではの典型的な注意点を取り上げます。例えば、「他にも購入申込が入っています」といった営業トークで焦らせる手口や、新築分譲での広告タイミングによる誤認リスクなどです。賃貸とはまた異なる角度から、おとり的な行為に引っかからないための対策を確認しましょう。大きな買い物だからこそ、より一層慎重に構えることが大切です。

レインズの物件検索

物元業者がステータス管理をしっかりとおこなっていれば、レインズの物件検索で状況が直ぐに分かります。

<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

出典:国土交通省><消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせより一部抜粋

 

売主側の不利益【囲い込み】ついてはコチラ⇒不動産売買仲介における囲い込みの具体例とその対処法をサクっと解説

 

買付順位や申込状況の真偽を確かめる質問テンプレ

不動産購入の検討中、営業担当者から「実は他のお客様からも申込が入っていまして…」などと言われることがあります。それが本当なら競争になりますが、虚偽の場合もあるので鵜呑みにしないでください。焦って意思決定させるための常套句である可能性もあるのです。真偽を確かめるには、冷静にいくつか質問を投げかけることが有効です。例えば以下のように聞いてみましょう。

「承知しました。差し支えなければ、他の申込が入った日時と、正式な購入申込書が提出されたかどうか教えていただけますか?」

このように質問すれば、担当者が本当に具体的な状況を把握しているか探れます。実際、売買では正式な申込には「購入申込書(買付証明書)」の提出が必要で、それがあって初めて一番手(先着の交渉権※条件により一番手とならない場合もあります)が発生します。ですから「いつ誰から買付が入ったか」を尋ねることで、具体的に答えられるかどうかをチェックできるのです。もし明確に答えられず口を濁したり、「詳しくは…とにかく早く申し込まないと」などと話を逸らされたりするようなら嘘や誇張の可能性が高いでしょう。一方、きちんと「◯月◯日に他社経由で申込書が提出されました」等と答えるなら事実の可能性があります。プロの視点では、こうした質問で相手の対応を見ることでその業者の質が判断できると思います。大事なマイホーム選びですから、安易に鵜呑みにせず状況を具体的に確認する習慣を持ちましょう。

 

未完成・分譲・情報更新の遅れで起きる誤認に注意

売買物件特有の注意点として、広告掲載のタイミングや情報更新の遅れによる誤認があります。例えば新築の未完成物件では、本来「建築確認や開発許可が下りるまで広告できない」という決まりがあり、許可前に宣伝するのは宅建業法違反です。しかし悪質業者はフライングで宣伝したり、「予告広告」と銘打って早めに客寄せしたりするケースもあります。この場合、完成予定時期や正式販売開始日を確認し、それ以前に契約できると謳っていないか注意しましょう。また大規模分譲(新築マンションや建売の分譲地)では、チラシ等で「先着◯名様◯◯万円!」と最低価格帯の部屋(区画)を大きく宣伝しつつ、実際にはその号室だけ即完売で他は高い価格帯を紹介されるといったことも起こります。広告の「○○号室限定価格」等の注記を見落とさないようにし、自分が欲しい条件の住戸が本当に残っているかを必ず確認しましょう。さらに売買では広告情報の更新が後手に回りがちで、サイトに掲載されていても問い合わせたら「もう売却済みだった」というケースもあります。これは過失的なタイムラグもありますが、意図的に問い合わせ稼ぎで残している例もゼロではありません。したがって購入検討時も賃貸同様、「気になる物件はまず在庫確認」が鉄則です。「掲載サイトの情報を鵜呑みにしない」姿勢で、営業担当者に状況を問い合わせるようにしましょう。特に完成前物件や情報更新の遅い媒介業者の場合、何もしないと誤認しやすいので、自ら確認する意識を持つことが大切です。

 

 

FAQ:おとり広告の不安を最短で解消する質問集

最後に、おとり広告に関するよくある不安や疑問をQ&A形式でまとめます。初めて部屋探し・家探しをする方は、「これっておとり広告?」と判断に迷うシーンも多いでしょう。そんなときは以下のFAQを参考にしてください。不動産のプロが蓄積した知見から、最短で不安を解消するポイントをQ&Aで整理しています。モヤモヤを残したまま検討を進めるのは得策ではありません。疑問は早めに解消し、安心して物件選びができるようにしましょう。

 

成約済みのタイムラグと、おとり広告の違いは何?

Q:広告を見て問い合わせたら「ちょうど埋まりました」と言われました。これは単なる更新のタイムラグ? それともおとり広告?

A:一度きりならタイムラグの可能性もありますが、繰り返すようならおとり広告の可能性大です。不動産情報は日々動くため、たまたま更新前に成約してしまい「入れ違い」になるケースもゼロではありません。誠実な業者であればその際きちんと謝罪し、速やかに広告を取り下げるでしょう。しかし、いつ問い合わせても「今決まったところで…」と毎回同じパターンになる場合、それは偶然ではなく意図的と考えてよいでしょう。また、タイムラグの場合はせいぜい数日から1週間以内に情報が更新されるはずですが、おとり広告業者は意図的に長期間掲載を残す傾向があります。消費者庁も「入力ミスや確認不足によるタイムラグで生じるケースも多い」としつつ、故意のおとり広告物件が横行している実態を指摘しています。見分け方のポイントは「頻度と対応」です。一度ならタイミングの問題かもしれませんが、何度も重なればおとり広告を疑い、別の業者をあたることをおすすめします。

 

内見できないと言われたら必ずおとり広告なの?

Q:問い合わせた物件について「現在内見できません」と言われました。これはもうおとり広告確定でしょうか?

A:いいえ、「内見不可」と言われても直ちにおとり広告と断定はできません。まず考えられるのは正当な理由があるケースです。例えば「現在入居中で退去前なので内見できない」「リフォーム工事中で◯日以降でないと見学不可」といった場合です。このように具体的な理由と内見可能時期の説明があれば正常と言えます。実際、「退去予定日はいつですか?」「リフォーム完了予定は?」と聞いて明確に答えられる担当者なら信頼できるでしょう。一方、理由を聞いても「ちょっと…」「確認します(返答なし)」などはぐらかされたり、代わりに別物件を強く勧められたりする場合は注意が必要です。

悪質なおとり広告では、最初から問い合わせた物件の内見させる気がないため、現地集合を提案しても断られ「その物件は難しいので来店を…」と誘導されます。つまり、内見できない理由を具体的に説明できない場合や、内見不可を口実に他を勧める場合はおとり広告の疑いが濃厚です。まとめると、「内見不可」と言われたらまず理由と時期を確認すること。その回答如何で見極めましょう。

 

だまされた場合、費用や損失は取り戻せるの?

Q:もしおとり広告にだまされて無駄な時間や交通費を使ってしまった場合、何か補償は受けられますか?

A:残念ながら、消費者が直接損失補填を受けるのはハードルが高いのが現状です。おとり広告そのものは違法行為であり、事業者に対して景表法違反で行政処分が下される事も、場合によっては民事上の損害賠償請求(不法行為責任)も理論上は可能です。例えばおとり広告によって何らかの財産的被害(詐欺に近い形で高額商品を買わされた等)があれば、民法709条に基づき損害賠償を求めることも考えられます。しかし、単に時間や交通費が無駄になった程度では、具体的な損害賠償を勝ち取るのは難しいでしょう。契約を結んでしまった場合でも、「広告と違う内容で契約させられた」ことを証明し消費者契約法第4条に基づく契約取消しを主張するなどハードルの高い対応が必要になります。現実的には、被害額が大きい場合を除き、個別補償よりも行政への通報による再発防止が主な対処となるでしょう。つまり、泣き寝入りしないことは大切ですが、最初から被害に遭わないよう注意するのが最善策というのが実情です。被害に遭った場合は後述の相談窓口に報告し、悪質業者への指導・処分に役立ててもらうようにしましょう。

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

出典:e-GOV法令検索>民法

 

消費者契約法

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)

第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

以下省略

出典:e-GOV法令検索>消費者契約法

 

怪しい広告はどこへ通報・相談するのが正解?

Q: ネットで明らかに怪しい不動産広告を見つけました。どこに通報・相談すれば効果的ですか?

A: まず利用したポータルサイト上にある通報機能を使うのがお手軽で効果的です。大手サイト(LIFULL HOME’S等)には「掲載情報110番」など通報フォームが用意されており、報告があればサイト運営会社が事実確認のうえ物件掲載停止や悪質業者の掲載禁止措置を行ってくれます。次に、公的な窓口としては消費者ホットライン(局番なし188)やお住まいの自治体の消費生活センターがあります。そこで相談すれば必要に応じて消費者庁への情報提供も行われます。また、直接消費者庁のウェブサイトにある「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」から通報することも可能です。不動産業界には地域ごとに不動産公正取引協議会という自主ルールの監視機関もあり、そこへ情報提供する方法もあります。さらに悪質業者の場合は、その業者を所管する役所(免許権者である都道府県や国土交通省)への通報も有効です。要は「サイト運営会社」「公的消費者相談窓口」「業界の公正取引協議会や行政」と複数の選択肢があります。一番のお勧めは速やかな対応が期待できる許可行政庁(免許権者)への通報だという専門家意見もあります。通報の際は、問題の広告のURLやスクリーンショット、物件名や不動産会社名など具体的な情報を記録して提示することが大切です。そうすることで担当機関も事実確認がしやすくなります。「どこに言ってもいいの?」と迷う場合は、ひとまず消費者ホットライン188番に電話すれば適切な窓口につないでもらえます。泣き寝入りせず、然るべき機関に知らせることが再発防止につながるので、勇気を持って通報・相談してください。

東海不動産公正取引協議会

出典:東海不動産公正取引協議会

 

不動産公正取引協議会の活動は、昔は指導・注意をおこなうだけでしたが、現在「厳重警告・違約金」の措置と講じることが出来て、さらに違反した不動産業者、警告を受けた不動産業者に対して、ポータルサイトの原則1カ月以上広告掲載を停止する措置(各運営会社が協力)が講じることが出来るようになりました。これはなかなか強力な権限で、処罰を受けた不動産業者にとっては死活問題となります。不動産公正取引協議会はおとり広告撲滅のために日々監視・活動をおこなっています。

 

 

まとめ:だまされない人が徹底する三つの最重要習慣

最後に、おとり広告にだまされない人が日頃から徹底している三つの習慣をまとめます。どれも特別なスキルではなく、少し意識するだけで誰でも実践できる基本的な対策です。おとり広告に強い人は例外なくこの三つを実行しています。逆に言えば、これらを怠ると誰しも騙されるリスクが高まると言えるでしょう。不動産のプロも「特別な知識より基本の徹底」と強調する三習慣です。今日からぜひ実践し、安心・安全な部屋探し・家探しを実現しましょう。

 

広告の保存・質問の型・比較検討の軸を持ち続ける

1つ目は広告の保存です。気になる物件広告はスクリーンショットや印刷で必ず手元に残しておきましょう。来店後に「そんな条件でしたっけ?」と言われても、保存した広告を見返せば冷静になれますし、万一トラブルになった際の証拠にもなります。2つ目は質問の型を持つこと。先述のチェックリストや質問テンプレートのように、自分なりの「必ず確認する質問」を決めておき、毎回それを投げかける習慣をつけます。例えば「空き状況の確認」「内見開始時期の確認」など、フォーマット化しておけば聞き忘れも防げますし、業者の対応の質も比較できます。3つ目は比較検討の軸を常に維持すること。おとり広告に引っかかると一つの物件に執着しがちですが、常に「他にも選択肢はある」という視点を忘れず、自分の希望条件の優先順位を明確にしておきましょう。複数物件を冷静に比較する軸があれば、目先の甘い言葉に揺さぶられにくくなります。不動産のプロとしては「物件より先に信頼できる担当者を選ぶべき」とも考えていますが、それも含め、自分の判断基準を明確に持ち続けることが何よりの防御策です。

営業担当者と協力して成功!不動産購入初心者向け値引き交渉法

不動産売却のキーポイントは営業担当者!初心者向け成功の秘訣

 

信頼できる会社は説明と情報更新に一貫性がある

最後に、不動産会社選びも重要な習慣です。信頼できる会社・担当者の特徴は、広告→問い合わせ対応→内見案内に至るまで説明内容と情報更新が一貫していることです。例えば、問い合わせ時に空き確認をしっかり行い、内見不可の理由も明確に説明し、広告情報も逐一最新にアップデートしているような業者です。そうした会社は基本的におとり広告のような不誠実な集客は行いませんし、万一行き違いがあっても誠実に対応してくれます。逆に、回答があいまいだったり説明と広告内容が食い違ったりする会社は要注意です。情報の一貫性がプロ意識の表れであり、そこに信頼性が宿ると言えます。したがって、最初の問い合わせ対応の段階で「この会社はちゃんとしているか」を見極め、信頼できそうならその担当者と二人三脚で進める、逆に不信感が募るなら早めに別を探す、といった判断も肝要でしょう。実際、一社に絞って信頼関係を築く方が、結果的に満足いく物件探しにつながるケースも多いです。最終的には、正直・迅速・丁寧な対応をしてくれる会社を選ぶことが、何よりの被害予防策になるのです

以上、おとり広告の手口と対策について詳細に見てきました。甘い誘惑に乗らず、健全な情報と信頼できる担当者に基づいて判断すれば、怖がる必要はありません。ぜひ本記事の内容をお役立ていただき、安心できる不動産取引を実現してください。

 

 

不動産の購入・売却は松屋不動産販売「家デパ」へ気軽にご相談ください

不動産の購入・売却は、一生に何度もあることではありません。だからこそ、信頼できるパートナーが必要です。松屋不動産販売「家デパ」では、おとり広告のような不誠実な手法は一切使わず、常に正直で透明な情報提供をお約束します。私たちはお客様一人ひとりの状況に寄り添い、ご希望や不安を丁寧にヒアリングした上で、最適なご提案をいたします。「正直に、真摯に、誠実に」――それが私たちの信条です。不動産の購入・売却をご検討の方は、ぜひ一度、家デパへご相談ください。信頼と安心を、必ず実感いただけます。

 

© 2023 IEDEPA-家デパ-