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売買契約法律
投稿日:2026/03/23
定期借地権と普通借地権の違いと借地権付不動産の売買における注意点
「定期借地権と普通借地権の違いが難しくて分からない…親からは借地としか聞いてない…」
「定期借地権付不動産を買う・売るとき、地主の承諾や残存期間で不利にならないか不安…」
定期借地権と普通借地権の違いは、不動産売買の現場では想像以上に大きな意味を持ちます。更新の有無、地主の承諾、残存期間、売却のしやすさ、購入後のリスクは、それぞれ判断を誤ると価格や条件に大きく影響します。この記事では、借地権の基本から、借地権付不動産を購入・売却する際の注意点までを、実務に沿って分かりやすく整理しました。初めての方でも、どこを確認すべきかが明確になり、後悔しない売買判断につながるはずです。
※定期借地権・普通借地権以外にも地役権や地上権・底地権といった所有権以外の権利があります。詳しくは下記コラムをご参照ください。
地役権とは?不動産売買と地役権設定登記で押さえるべき基本と注意点
地上権・底地権とは?所有権以外の不動産売買で押さえる要点と注意点
定期借地権と普通借地権とは?まず押さえたい基本
普通借地権と定期借地権はいずれも土地を借りて建物を所有する権利ですが、その契約形態や借主・地主の権利関係に大きな違いがあります。本章では両者の基本構造を整理して解説します。
普通借地権と定期借地権の比較まとめ
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特徴 |
普通借地権 |
定期借地権 |
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契約更新 |
あり(更新可能) |
なし(期間満了で終了) |
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存続期間 |
30年以上(当初) |
50年以上(一般)など |
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終了時 |
原則、更新される |
原則、更地にして返還 |
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地代・費用 |
定期借地権より高い傾向 |
普通借地権より安い傾向 |
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契約方法 |
書面は必須ではない |
公正証書等の書面が必須 |
借地権とは何か|土地を借りて建物を所有する権利
借地権とは、建物の所有目的で土地を借りる権利のことです。借地人が地主に地代を支払うことで土地を借り建物を建設・所有でき、建物の所有権は借地人、土地の所有権は地主に帰属します。借地権付き建物では借主が建物と借地権、地主が土地の権利(底地権)を持つため、権利構造が複雑化し、通常の所有権売買より手続きが煩雑になります。
普通借地権とは|更新を前提とした借地権
借地権は借地借家法に基づく借地権で、更新を前提に借りる権利です。通常30年以上の存続期間で契約し、契約満了後も地主に正当な理由がなければ契約を更新できます。そのため、普通借地権は借地人に有利な契約とされ、契約解除時には地主から立退料や建物買取請求を受けるなど、借主の権利が強く保護されています。これにより普通借地権は半永久的に土地を利用できる可能性が高く、借主にとって安定した権利です。
定期借地権とは|更新がなく満了で終了する借地権
定期借地権は、契約終了時に土地を地主へ返還することを前提とした借地権です。契約満了後は更新がなく、原則として借地人は建物を解体して土地を地主に返還します。定期借地権には「一般定期借地権(50年以上)」「事業用定期借地権(10年以上50年未満)」「建物譲渡特約付借地権(30年以上)」の3種類があり、いずれも書面で設定し更新ができない点が共通しています。

定期借地権と普通借地権の違いをわかりやすく比較
定期借地権と普通借地権には更新の可否や契約期間、価値評価などの点で明確な差があります。本項では両者を比較し、分かりやすく違いを示します。
契約更新の有無の違い
普通借地権は借地借家法で「法定更新」が認められており、契約期間満了時でも地主に正当事由がない限り自動的に契約が更新されます。一方、定期借地権では契約時に「更新しない」と定めるため、満了後の契約延長は一切ありません。この更新の有無が両者の最大の相違点であり、普通借地権は借主に有利な制度といえます。
借地借家法
(借地契約の更新請求等)
第五条 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
(借地契約の更新拒絶の要件)
第六条 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
(定期借地権)
第二十二条 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
2 前項前段の特約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十八条第二項及び第三十九条第三項において同じ。)によってされたときは、その特約は、書面によってされたものとみなして、前項後段の規定を適用する。
(事業用定期借地権等)
第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
(建物譲渡特約付借地権)
第二十四条 借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2 前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3 第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。
契約期間・残存期間の考え方の違い
普通借地権では当初30年以上(最低30年)の存続期間で契約し、法定更新後は1回目に20年、2回目以降は10年ずつ契約が継続(合意更新であれば、これより長い期間を設定可能)します。さらに、普通借地権は建物所有目的の借地権のため、契約終了時に借地人は地主へ建物買取を請求できます。一方、定期借地権は種類ごとにあらかじめ定められた存続期間で設定されます。具体的には一般定期借地権は50年以上、事業用定期借地権は10年以上50年未満、建物譲渡特約付借地権は30年以上です。また、定期借地権では残存期間が契約に明記され、短くなると価値が大きく下がります。
売買価値・流通性の違い
普通借地権は法定更新により長期間利用できる安定した権利として評価されやすいのに対し、定期借地権は更新不可なので残存期間で価値が左右されます。残存期間が短いと買主が付きにくく資産価値は低下します。取引では更地価格を基本指標とし、残存期間や建物価値を踏まえて評価が行われます。例えば、残存10年以上の物件であれば市場価値が維持されやすいですが、築古や残存年数短い場合は大幅な割引が必要になります。さらに、定期借地権を第三者に譲渡する際には地主の承諾がなければ売却できないため、流通性も一般的に低くなります。
契約書・書面化の重要性の違い
定期借地権は、契約時に「更新をしない」ことを公正証書等の書面で定める必要があり、口頭契約は原則認められません。これに対し、普通借地権は法定の書面要件がなく、口頭契約でも成立します。ただし、どちらの場合も契約内容を明確にして紛争を防ぐため、書面化しておくことが重要です。

定期借地権の種類と、不動産売買で確認すべきポイント
定期借地権には「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。契約形態や期間設定を理解し、売買時に注意すべきポイントを確認しましょう。
一般定期借地権
一般定期借地権は存続期間を50年以上に定め、契約更新・延長・建物買取請求をしないと定めた借地権です。契約は公正証書等の書面で設定し、期間満了時には原則として借地人が建物を取り壊して土地を地主に返還します。これにより契約終了と同時に土地が確実に返還される点が特徴です。
事業用定期借地権
事業用定期借地権は事業用建物所有に限定され(居住用は不可)、存続期間を10年以上50年未満に設定します。居住用建物には利用できず、一般定期借地権と同様に契約更新はありません。また、事業用定期借地権は商業施設や工場など主に事業用建物に利用され、更新がない分だけ借主側は低コストで土地を利用できます。契約満了時は原則として建物を解体し土地を返還します。
建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は存続期間30年以上で設定し、終了時に建物を地主に譲渡する旨を定めた借地権です。契約は口頭でも可能で、期間満了時には「地主が建物を買い取る」「建物を収去せず土地を返還する」「借地人が継続して借家として住まう」のいずれかの方法で借地関係を終了することになります。住宅用にも利用され、契約時に建物譲渡の時期や金額を定めておくことで、借地満了時の対応が明確になります。
売買前に契約類型を確認すべき理由
定期借地権の種類ごとに、存続期間や契約終了時の扱いが大きく異なります。たとえば一般定期・事業用・建物譲渡特約では契約方式や用途制限、期間経過後の建物処理がそれぞれ違うため、売買前に契約類型を把握しておくことが不可欠です。適切な契約類型の選択や確認が、購入後の利用計画や売却戦略を左右します。
定期借地権付き不動産のメリット・デメリット
定期借地権付き不動産の購入にはコスト面のメリットがある一方、将来の土地返還リスクなどデメリットもあります。この項では割安な取得コストなどメリットと注意点をまとめます。
購入価格を抑えやすいメリット
土地の所有権を持たない代わりに、定期借地権付き住宅は取得コストが大幅に下がるメリットがあります。国交省調査では、戸建ての定期借地権住宅は所有権住宅価格の約60%前後、マンションでも約80%前後で取得できる場合が多いとされています。これは土地代相当の初期負担が軽減されるためで、結果として広い敷地や住宅を割安で手に入れやすくなる利点があります。

土地を所有しないことによる注意点
土地の所有者である地主への依存度が高い点は注意点です。借地人は土地所有権を持たないため、建物売却や増改築は地主の承諾が必要になり、その際に承諾料の支払いが発生します。また、土地の活用や担保設定には地主の同意が必要で、住宅ローンを組む際にも、基本的に土地を担保に入れられないので融資額が減少、または取り組めない金融機関も多いです。また、保証金返還請求権について地主の抵当権設定承諾が必須となることもあります。これらにより自由な土地活用が制限される可能性があります。さらに、定期借地権では契約更新がないため、建物が老朽化しても再契約できない点にも留意しましょう。
保証金(敷金)返還請求権は、賃貸借契約終了後に物件を明け渡した際、未払い賃料などを差し引いた残額の返還を求める権利です。
一般的に、定期借地権付き分譲戸建では、権利金(返還無し)、保証金(返還有り)といった一時金があります。30年位前に定期借地権付き分譲が流行った時期に、権利金を多くもらう地主が多かったですが、これには所得税が課税(金額によって総合課税か分離課税に分かれる)されるので、多くの地主がビックリして、権利金を下げて、保証金を上げる事として方針転換をしました。
なお、定期借地権付の自宅を中古住宅として売却する場合は、地主に預けている保証金を売主と買主の間で清算する必要があります。つまり、地主に預けている保証金を売主は一旦返してもらうのではなく、地主に保証金を預けたまま、売主と買主で清算して、売主が持つ保証金返還請求権を買主へスライドさせます。なお、この保証金は借地期間満了後に地主から借地人に返還されます。
残存期間が短くなるほど不利になりやすい理由
定期借地権の大きなデメリットは残存期間が短くなるほど資産価値が下がる点です。残存年数が十分あるほど買主が付きやすくなる一方、残存が10年未満になると将来の土地返還リスクが高まり、価格が急速に低下する傾向があります。実際、残存期間20年超では投資目的の買主が見つかりやすいのに対し、残存5年程度になると建物解体費用を考慮して価格が大幅に引き下げられます。
将来の売却・融資・建替えで気を付けたい点
将来の取引を見据えた準備も重要です。購入時にはローン利用の可否を確認しましょう。定期借地権付き物件は金融機関が抵当権設定に地主の承諾を求めるため、承諾が得られないと住宅ローンを利用できない恐れがあります(フラット35なら借入可能)。また、建物を再建築する際も原則地主の許可が必要です。万が一地主が拒否しても、裁判所に申し立てて承諾に代わる許可を得る手段があります。これらを踏まえて資金計画や再建築計画を立てることが大切です。
定期借地権の物件を購入される場合は、慎重によく考えて購入してください。
定期借地権が流行り出した1990年代の日本人の平均寿命は男性約76歳、女性約82歳でした。
現代においては、2024年のデータで日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳と5年ほど伸びています。【人生100年時代】と言われているのもこうしたデータによるところと思います。
では、仮に30歳で定期借地権付の分譲戸建や分譲マンションを購入した場合、終の棲家となるでしょうか?80代になって定期借地権の期間が満了となり、更新はありませんので、更地返還となります。この後のことをしっかりと考えておかないと、年齢的に『住宅ローンは新たに組めない』『賃貸住宅も借りづらい』状態となっているので、人生の最終盤で思わぬ事態に陥ってしまいます。
是非、購入時からその辺りもしっかりと考えておくことをおすすめします。
不動産売買で重要になる「地主の承諾」と実務上の注意点
借地権付き不動産の売買では、地主の承諾が重要な役割を果たします。本項ではどのような場面で地主の許可が必要か、承諾に伴う費用やリスクについて解説します。
地主の承諾が必要となる場面
借地権付き不動産を売買・譲渡する際は地主の承諾が不可欠です。第三者に借地権を売却するには借地人が地主から譲渡承諾を得る必要があります。同様に建物の売買・増改築や住宅ローンの抵当権設定など、借地契約者が土地に新たな権利を設定するときは地主許可が必須です。
承諾料・名義書換料などの考え方
借地権を第三者に譲渡する際は、譲渡承諾料(地主に支払う承諾の対価)が必要になります。一般的に承諾料は借地権価格の1割程度が目安とされています。なお、地主自身が借地権を買い取る場合や相続扱いで権利が移転する場合には、譲渡承諾料を免除することもあります。最終的な金額は地主との協議で決まります。加えて、借地契約の名義書換料(借地契約の名義変更手数料)を請求されることもあるため、事前に費用負担を明確にしておきましょう。
承諾条件を曖昧にしたまま進めるリスク
承諾交渉では条件を曖昧にしないよう注意が必要です。たとえば、前借主が地主に敷金を預けていた場合、新借主に敷金(保証金)返還請求権が譲渡されていなければ、地主は「返還請求権の譲渡がない限り承諾しない」と主張することがあります。このような条件を契約前にクリアにしておかないと、後から地主が承諾を取り消すなどトラブルになるリスクがあります。
地主との関係が売買結果を左右する理由
地主との良好な関係性も売買結果に大きく影響します。買主が売却を地主に打診する際、日頃から信頼を築いていると円滑に承諾が得られやすくなり、有利に交渉が進められます。一方、地主との関係が悪い場合は交渉が難航し、価格が大幅に下がるなど不利になる恐れがあります。
定期借地権付き不動産を購入する場合の注意点
定期借地権付き不動産の購入では、契約条件や融資の可否などを事前に確認しておくことが肝要です。本項では購入時に特に注意すべきチェックポイントを紹介します。
残存期間と契約満了日の確認は最優先
購入にあたっては契約満了日と残存期間の確認を最優先します。残存年数が短いと将来の売却や融資に大きな影響が出るため、可能な限り具体的な年月日を把握しましょう。目安として残存20年以上なら投資需要も期待でき、10年を切ると購入をためらうケースが多くなります。満了日が近い場合は、購入前に建物解体費用などのリスクも念頭に置くべきです。

借地契約書・覚書・公正証書の確認ポイント
購入時は借地契約書や覚書、公正証書など関連書類を細かく確認しましょう。借地権が土地にしっかりと登記されているか(対抗力)、敷金・保証金の支払い方法、地代の改定方法(物価スライド方式)などに不備がないかをチェックします。例えば、前借主から新借主への敷金返還請求権の譲渡が契約で認められていないと、新借主は敷金を受け取れず地主が承諾を拒む場合もあります。契約条件は後々まで影響するため、専門家とともに内容を精査しましょう。
地代の物価スライド方式は、消費者物価指数や地価・所得水準などの経済指標(変動率)を基に、契約更新時などに現行賃料を自動的、または計画的に見直す手法です。インフレ時には賃料が増額され、デフレ時には減額される傾向にあります。
地代・保証金・融資条件を見落とさない
契約内容のうち、地代や保証金(敷金)の金額・支払い方法を必ず確認しましょう。特に定期借地権では返還時に保証金が返還される場合があるため、その扱いは重要です。さらに、購入にあたって住宅ローンを利用する場合は金融機関が地主の抵当権設定承諾を求めるのが一般的です。抵当権設定承諾が得られないとローンが組めないため、早めに融資条件と地主の合意可否を確認しておく必要があります。ほとんどのケースで、地主の承諾が得られないため、定期借地権付の物件は、フラット35や専門の定期借地権付住宅ローンを利用する事になります。
出口戦略まで考えて購入判断をする
定期借地権を購入する際は、将来の売却タイミングや出口戦略をあらかじめ考慮しておくことが重要です。残存期間が短いと終了時に建物解体費用など追加コストがかかるため、逆に残存が長くても「いつでも売れる」とは限らない点に留意します。専門家の意見も参考に、契約更新なしを前提とした長期的な資金計画を立てて購入判断を行いましょう。
定期借地権付き不動産を売却する場合の注意点
定期借地権付き不動産を売却する際は、残存期間や建物状態、価格設定などが重要です。本項では売却プロセスにおける注意点と成功のコツを解説します。
売却しやすさは残存期間と建物状態で変わる
売却のしやすさは残存期間と建物の状態が大きな要因です。残存年数が長いほど買主が付きやすく、逆に5年以下になると価値が急激に下がり買い手が見つかりにくくなります。また築年数の経過した建物は早期の再建築負担が増すため、買主から敬遠されがちです。したがって、残存期間と建物の築年数を踏まえた現実的な価格設定が重要です。
売主が事前に準備すべき資料と説明事項
売主は借地契約に関するすべての資料を整えておくことが肝要です。具体的には、借地契約書(定期借地権設定契約書)や公正証書、敷金預り証、固定資産税納税通知書などを用意し、契約内容や地代・敷金の履歴が分かるように説明できるようにします。特に、敷金の処理については前借主と地主との間でどのように扱われているかを把握し、買主に引き継ぐための書類を揃えておきます。これら事前準備を怠ると交渉後に軋轢が生じやすいため、情報開示をしっかり行う必要があります。
価格設定で失敗しやすいポイント
価格設定では残存期間を考慮しない誤りが多く見られます。定期借地権の評価は更地価格の一部で決まるため、残存年数が短いのに通常の物件並みの価格を付けると買い手が付きません。一般に残存10年以上あれば需要がありますが、5年以下では大幅な値下げが必要になる場合もあります。適切な価格帯を見極めるためには、更地価格と残存期間を組み合わせた評価手法を採用することが重要です。
定期借地権に強い不動産会社へ相談すべき理由
定期借地権は一般の土地取引よりも法的・技術的に複雑で、取り扱い経験の少ない業者では売買を円滑に進めにくい面があります。定期借地権に詳しい不動産会社であれば、価格査定や契約条項のチェック、地主交渉のフォローなど専門的なサポートが可能です。特有の税制・相続上の注意点も把握しているため、売却を成功させるには早めに専門家を頼るのが賢明です。

FAQ|定期借地権・普通借地権・不動産売買でよくある質問
読者から寄せられる定期借地権や普通借地権に関する代表的な疑問に答えます。初心者にありがちな疑問点をQ&A形式で整理しましょう。
定期借地権と普通借地権はどちらが売りやすいですか?
普通借地権の方が売却しやすいのが一般的です。普通借地権は更新が可能で長期にわたり土地を利用できる安定した権利なので、買い手が付きやすい傾向があります。定期借地権は残存期間により価値が大きく変動し、更新できないため、残存年数が短いと購入希望者が限られて売りにくくなりやすいです。
地主の承諾がないと売買はできませんか?
定期借地権付き不動産を第三者に売却する場合、地主の承諾がなければ取引できません。地主への売却(買い取り)や相続による譲渡の場合は別ですが、一般に第三者売却では地主の譲渡承諾が必須であり、これが得られない限り売却は成立しません。
残存期間が短いと売却は難しくなりますか?
残存期間が短い定期借地権は一般的に売却が難しくなります。期間終了後に土地を返還しなければならないため、残存が10年を切ると買主の懸念が増します。逆に残存期間に余裕があれば買主が付きやすくなるため、売却時期を検討する際は残存期間を重要な判断材料にしましょう。
相続した借地権付き不動産も売却できますか?
相続した借地権付不動産も売却できますが、原則として地主の承諾は必要です。相続人が借地契約を引き継ぎ、一般の第三者に売却する場合は譲渡承諾が求められます。ただし、地主が借地権を買い取る場合や借地権を承継した相続人にそのまま権利が移る場合は、承諾料が不要となるケースがあります。
まとめ|定期借地権と普通借地権の違いを正しく理解して後悔しない売買判断
- 契約形態の違い
普通借地権は30年以上の契約で法定更新が可能、定期借地権は更新不可で終了後は土地返還となる点が最大の相違です。
- 権利と価値
普通借地権は借地人に有利で流通性も高めです。一方、定期借地権は残存期間が短いほど購入ニーズが低下し流通性が低くなるため、物件価格や売却時の交渉に大きく影響します。
- 契約期間
普通借地権は更新により長期継続が可能であるのに対し、定期借地権では一般50年、事業用10~50年、建物譲渡付30年と契約期間があらかじめ決められています。
- 売買のポイント
借地権売買では地主の承諾が重要で、承諾料(借地権価格の1割程度※契約によります)が発生します。売主・買主双方とも残存期間の確認、公正証書など契約書類のチェックを必ず行い、条件を明確にすることが必須です。
- 注意点
定期借地権購入では将来の出口戦略も検討し、融資利用時は地主承諾の確認を。売却では残存期間と建物状態を踏まえた価格設定と、地主との良好な関係構築が重要です。
- 初心者へのアドバイス
借地権付き不動産には所有権物件とは異なるルールや手続きがあります。疑問点は早めに専門家に確認し、契約内容を十分理解したうえで売買を進めることが、後悔しないポイントとなります。
松屋不動産販売 代表取締役・佐伯慶智からの助言
借地権付き不動産の売買は、所有権不動産の取引以上に、契約内容・残存期間・地主承諾・承諾料・融資可否・将来の出口戦略まで踏み込んで判断しなければ、価格も条件も大きく崩れます。私は現場で、資料不足や説明不足が原因で、売れるはずの物件が長期化する場面を何度も見てきました。だからこそ大切なのは、借地権の実務を本当に理解している会社へ早い段階で相談することです。松屋不動産販売は、借地権付き不動産の複雑な論点を整理し、売主様には「高く・確実に売る道筋」を、買主様には「買ってから後悔しない判断材料」を丁寧にご提示します。難しい案件ほど、最初の相談先で結果が変わります。借地権付き不動産の売却・購入で迷われた際は、ぜひ私たち松屋不動産販売へご相談ください。



