実家じまいの費用と手順を体系化|実家・不動産売却で損しない方法
「実家じまい、費用は結局いくら?手順も片付けも、どこから手を付ければいいの…」
「不動産売却のタイミングを間違えて損したくない。遠方の実家でも迷わず進める方法はある?」
実家じまいは、思い立った順に動くほど手間も出費も膨らみやすいテーマです。だからこそ本記事では、実家じまいの費用と手順を「不動産売却の手取り」から逆算し、片付け・書類確認・名義や権利関係・売却方法の選び方までを一本の流れに整理しました。いつ動くべきかというタイミングの判断軸、費用が跳ね上がりやすい落とし穴、業者の使い分けも具体的に解説します。最後まで読めば、遠方でも家族で迷いが減り、損を避けながら現実的な一手が打てるはずです。

監修者
松屋不動産販売株式会社
代表取締役 佐伯 慶智
住宅・不動産業界での豊富な経験を活かし、令和2年10月より松屋不動産販売株式会社にて活躍中。それ以前は、ナショナル住宅産業(現:パナソニックホームズ)で8年間、住友不動産販売で17年間(営業10年、管理職7年)従事。
目次
- 2026年以降「実家じまい」が避けて通れない理由|団塊世代の後期高齢者化と“家の課題”の現実
- まず結論|実家じまいは“順番”で失敗が決まるため、最初に全体像を掴む
- 費用は“5分類”で見誤らない|実家じまいの総額を正しく見積もる設計図
- 相場感を持つ|一戸建ての実家じまいで「何がいくら」かかりやすいか
- 実家じまいの手順ロードマップ|チェックリストで迷わず進める8ステップ
- 片付けが9割|“捨て方”より“進め方”で費用とスピードが決まる、遠方でも回る設計
- 不動産売却で損しない|実家は片付け前に相談すると“手戻り”が減る
- タイミングの正解|実家じまいは「誰が元気なうちに始めるか」で難易度が変わる
- よくあるトラブルと回避策|実家じまいで詰まりやすいポイントはだいたい決まっている
- FAQ|実家じまいの費用・手順・売却でよくある質問
- まとめ|実家じまいは“手取り逆算”が最短ルート、処分は仲介売却で後悔を減らす
- 松屋不動産販売 代表取締役・佐伯慶智からの提案|実家の処分は仲介売却で価値を最大化する
2026年以降「実家じまい」が避けて通れない理由|団塊世代の後期高齢者化と“家の課題”の現実
2025年から2026年にかけて、日本社会はかつてない規模で親世代の高齢化と空き家増加の局面を迎えます。第一次ベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、その親世代が所有する実家が一斉に相続のタイミングを迎えるためです。全国の空き家は既に900万戸を超え、総住宅数の13.8%に達しています。こうした背景から、これからの時代、子ども世代が住まない「実家じまい」(実家の整理・処分)は避けて通れない課題となりつつあります。

出典:国立社会保障・人口問題研究所>2025年画像と2055年画像より

出典:総務省>令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果より一部抜粋
実家じまいが必要になる大きな理由は、核家族化や子世代の都市部定住により実家を引き継ぐ人がいないケースが急増していることです。親が亡くなった後、子どもは実家に戻らず空き家になるパターンが増えています。実際、家の売却査定を依頼する理由として「相続」が年々増加し、5年前に比べ7.7%も増えたというデータがあります。つまり、相続を機に実家を手放す動きが確実に強まっているのです。
さらに、親世代が健在でも高齢化に伴い施設入居や介護の必要が生じ、実家が空き家化する例も少なくありません。誰も住まなくなった家を放置すると、劣化や防犯・防災面のリスクが急増します。雨漏りや害虫で建物価値が下がったり、倒壊・火災・不法侵入の危険が高まったりします。また、管理不全な空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例(1/6軽減)が解除され税負担が一気に増える可能性もあります。こうした放置による“静かな損”は時間とともに確実に蓄積し、いずれ大きな経済的・社会的損失となり得ます。
不動産のプロの視点では、「住まない家を放置すること」が最もコスト高になるケースが多いと言えます。空き家の劣化が進めば、売却時に修繕や解体費用を買主に見積もられ、大幅に安く買いたたかれる恐れがあります。最悪の場合、行政代執行で強制解体され費用請求されることもあります。実家じまいを「そのうち…」と先送りにするほど、後々の費用も手間も増えやすい点に注意が必要です。
実家に戻らない家族が増える時代に起きること|放置が生む“静かな損”
現代では親の家に子どもが同居せず、それぞれが自分の生活を築くケースが一般的です。親が施設入居や他界して空き家化する実家も増えています。空き家を放置すると、建物の傷みが早まり資産価値が低下します。例えば、無人になると数年でカビ・害虫被害が出たり、庭木が繁茂して近隣迷惑になったりすることもあります。さらに、空き家にも固定資産税や維持管理費はかかり続けます。つまり、人が住まなくなった家は静かにお金を食い続ける存在になるのです。
深刻なのは、空き家が周囲に与える悪影響です。管理されない家は景観を損ね、雑草やゴミで近隣に不快感を与え、防犯面でも放火や不法侵入の温床になります。自治体から改善を指導されるケースもあります。こうしたリスクが表面化すれば、所有者の財産価値だけでなく地域全体にも損失をもたらします。
要するに、実家を空き家のまま放置することが最も大きな“損”を生む可能性が高いのです。適切な管理や処分をせず放っておけば、見えないコストが積み重なり、後で後悔することになりかねません。
「いつかやる」が危険な理由|時間が経つほど費用も手間も増えやすい
実家じまいは「そのうち片付けよう」「落ち着いたら考えよう」と後回しにされがちですが、それが危険な理由は時間経過が不利な条件を増やすからです。空き家状態が長引くほど建物や設備の劣化が進み、片付けや売却時に余計な手間と費用が発生します。例えば、数年放置すれば室内がカビだらけで特殊清掃が必要になったり、庭の荒廃で伐採費用がかかったりします。「早めに動いていれば不要だった出費」が後からどんどん増えてしまうのです。
また、時間の経過は不動産の市場価値にも影響します。特に築古住宅は年々建物評価額が下がり、買い手から「どうせ解体する」と土地値扱いされがちです。親の他界後に長期間放置すれば、相続人自身も高齢化したり次の相続が発生したりして、権利関係がさらに複雑化する恐れもあります。「いつかやる」は「手が付けられなくなる」につながりやすいのです。
税金面でも時間との勝負があります。相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡益から3,000万円を控除できる特例(いわゆる「空き家の3,000万特別控除」)がありますが、これは相続から3年以内の売却が条件です。先延ばしして期限を逃すと、本来払わずに済んだ税金を納めることにもなりかねません。時間が経つほど費用も手間も増えやすい──だからこそ実家じまいは早め早めの行動が肝心なのです。

出典:国土交通省>空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
出典:国税庁>No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
3,000万円特別控除(居住用・被相続人の居住用財産(空き家)の2つ)については下記の記事をご覧ください。
知って得する「3,000万円特別控除」の適用例と利用にあたっての注意点
まず結論|実家じまいは“順番”で失敗が決まるため、最初に全体像を掴む
以上のように、実家じまいは避けられない現実になりつつあります。では何から着手すべきか──結論から言えば、最初にやるべきはゴールまでの全体像を掴み、正しい“順番”で進めることです。実家じまいには片付け・相続手続き・売却・精算など多くの工程がありますが、この順序を誤ると二度手間や無駄な出費につながりやすいです。逆に、適切な順番で進めれば余計なコストやトラブルを大幅に減らせます。
例えば、全体像を把握せずいきなり片付けを始めてしまうと、後で不動産会社に相談した際に「解体して更地売却した方が高く売れる」と分かっても、既にかけた片付け費用が無駄になるかもしれません。逆に、売却の見通しもないまま親族で話し合うだけでは時間が過ぎるばかりです。実家じまいは最初の段取りで成否が決まると言っても過言ではありません。不動産のプロも「順序を間違えると余計な出費がかさみ、後悔につながる」と指摘します。
そこで以下では、実家じまい全体の流れと適切な手順を解説します。まず全体像を大まかに掴んだうえで、特に最初に取り組むべき重要ポイントや迷いやすい分岐について整理していきます。一連のプロセスを理解すれば、「どの順番で何をすればいいか」がクリアになり、迷わず進められるでしょう。
実家じまいの全体像を最短で理解する|準備→片付け→権利関係→売却・活用→清算
実家じまいの流れは大きく分けて5つのフェーズに整理できます。それが「準備」→「片付け」→「権利関係の整理」→「売却・活用」→「清算」という順番です。それぞれの段階で何をするか、簡潔に押さえておきましょう。
- 準備フェーズ
親族間で実家の方針を話し合い、合意形成を行います。実家を売却するか残すか、費用負担や作業分担を決め、相続人や名義など基本事項を洗い出します。
- 片付けフェーズ
家の中の荷物を整理し、不用品を処分します。遺品整理や貴重品捜索もここに含まれます。家を空に近い状態にして、その後の売却や解体準備をスムーズにします。
- 権利関係整理フェーズ
法的な手続きを進めます。親が亡くなっていれば相続登記(名義変更)を行い、遺産分割協議や共有持分の調整など権利関係を明確にします。抵当権の抹消など過去の権利もここで整理します。
- 売却・活用フェーズ
実家の処分方法を決定し実行します。通常は不動産会社に査定を依頼し、売却か賃貸か、解体して更地売却か等の方針を決定します。売却の場合は仲介契約を結んで買主を探し、契約・引渡しへ進みます。活用(賃貸や親族利用)の場合も具体的な運用方法を固めます。
- 清算フェーズ
最終的な精算と各種手続きを完了します。売却代金の分配や税金の申告・納付、公共料金の精算、火災保険の解約、鍵の引き渡し、近隣への挨拶など、実家に関する事後処理を一通り片付けます。
このように、実家じまいは一連のプロジェクトと捉えることができます。最初に全体像を把握しておくことで、自分が今どの段階にいて次に何をすべきか見通せるため、安心して進められるでしょう。
最初にやるべき3つ|家族合意・名義確認・出口を仮決めして迷いを減らす
実家じまいの全体像を掴んだら、着手時点で最初に優先すべき3つのポイントがあります。これらを先にクリアしておくと後々の迷いが減り、スムーズに進められます。
- 家族・親族間の合意形成
まずは実家をどうするか、親や兄弟姉妹など関係者全員で方向性の合意を取ります。親が健在なら意思を尊重しつつ、子世代で売却・賃貸・維持など方針を話し合います。相続発生後なら相続人全員で実家の処分方針(売るか誰かが住むか等)を一致させます。費用負担や役割分担についても最初に取り決めておくことが重要です。合意が曖昧なまま始めると途中で意見が割れてストップする恐れがあるため、まず全員の認識を揃えましょう。可能であるならば、遺言書作成や家族信託、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記などを取り入れることをおすすめします。
家族信託についてはコチラ⇒登記名義人が認知症に!不動産売却を可能にする家族信託とは何か?
死因贈与契約等についてはコチラ⇒スムーズな不動産売却:死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の使い方
- 名義と相続関係の確認
次に、実家の現在の名義人や相続人関係を確認します。法務局の登記事項証明書(登記簿)を取得すれば土地建物の所有者や抵当権等が分かります。親名義なら問題ありませんが、もし祖父母名義のまま等であれば相続手続きが必要です。親が亡くなっている場合は遺言書の有無や法定相続人を確認し、遺産分割協議が必要か整理します。名義の確認なくして売却等は進められません。また権利証や測量図などの書類もあるか探して集めておきます。
相続については下記3部作をご確認ください。
相続で悩まないために!法定相続人と相続順位の基礎をしっかり理解
相続財産の計算方法とは?相続税の計算の仕方と基礎控除を詳しく解説
相続税の計算方法を詳しく解説!控除制度を活用して納税額を抑えよう
- 出口戦略(処分方法)の仮決定
家族合意と名義確認ができたら、実家をどう処分・活用するか仮でもいいので決めておきます。売却か賃貸か、誰かが住むのか、解体するのか等、複数の選択肢があります。最初におおよその方針を決めておくことで、その後の片付けや修繕の判断基準になります。「売るつもりだったのに気持ちが揺れて結局残すことに…」など方針ブレは無駄を生みます。家族で話し合い、一旦のゴールイメージを共有しましょう(状況次第で変更はあり得ますが、スタート時の仮決めがあると迷いが減ります)。
以上の3つ(合意形成・名義確認・出口仮決定)を最初に行えば、実家じまいの道筋が格段に明確になります。不動産のプロである私も、この初期対応がしっかりしている家族はその後の進行がスムーズで、無駄な混乱や出費が少ないと感じています。逆にこれらを曖昧にすると途中で意見対立や法的問題で足止めを食らい、処分が長引きがちです。
迷いやすい分岐点を先に解消する|片付け完了が先か、売却相談が先かの判断軸
実家じまいではいくつか判断に迷いやすいタイミングがあります。その代表例が「家の片付けを全て終えてから不動産売却の相談をすべきか、それとも早めに売却相談をするべきか」という分岐点です。この判断を誤ると、時間と労力のロスにつながることがあるため、基本となる考え方を整理しておきましょう。
判断軸の基本は、「家の状態が売却価格にどれくらい影響するか」です。もし実家が築浅できれいで、片付け次第で現状でも住める状態なら、内覧時の印象が価格に響くため片付け・清掃を優先した方が良いでしょう。
一方、築古で老朽化が激しく、おそらく買う人は解体前提で土地評価になりそうな場合、細かな片付けに時間をかけても価格への影響は小さいと考えられます。その場合は早めに不動産会社へ査定を依頼し、売却方針を決めてから最低限の片付けを行う方が効率的です。
プロの経験則では、「迷ったら先に査定」をおすすめしています。無料査定で家の市場価格や売却時の注意点を聞けば、片付けをどこまでやるべきか、現状のまま買取も選択肢か、といった判断材料が揃います。特に遠方在住で頻繁に片付けに通えない場合、何ヶ月もかけて自力整理するより、早期に査定を取って家ごとの最適解をプロと相談する方が、手戻り(やり直し)が少なくなります。
ただし注意点として、不動産会社によっては「まず全部きれいにしてください」と画一的に言う所もあります。そのため、複数社の意見を聞いたり、実家じまいの実績が豊富な会社を選んだりすることが大切です。「片付け先行 or 売却相談先行」の迷いは、最終方針(誰にどう売るか)によって変わるので、早期に出口戦略を仮決めしておくことが結局は迷いを減らすポイントになります。つまり、片付けに没頭する前に「この家は誰にどう売る?」を考えることで、自ずと片付けのゴールや必要度が見えてくるのです。
費用は“5分類”で見誤らない|実家じまいの総額を正しく見積もる設計図
実家じまいには様々な費用が発生しますが、大きく5つのカテゴリーに分けられます。これを把握しておけば、総額を見誤らず正確な予算組みが可能です。具体的には (1)片付け・不用品処分費、(2)清掃・軽微な修繕・庭木処理費、(3)不動産売却にかかる費用、(4)税金関連費用、(5)解体費用 の5つです。それぞれ解説します。
片付け・不用品処分費は条件で変動する|物量・動線・階段・駐車の有無がカギ
まずは家財道具や不用品の片付け・処分費用です。実家には長年の生活で蓄積された大量の物がありますが、それをどう処分するかで費用が大きく変わります。
自力で家族だけで処分する場合、費用は粗大ごみの手数料やレンタカー代などわずかで済みます。しかし、その分時間と労力がかかります。一方、業者に依頼すると非常に楽になりますが費用が発生します。不用品回収業者にまとめて依頼した場合の相場は家の規模や物量によりますが、数万~20万円程度が一般的です。故人の遺品整理を含む遺品整理業者に頼むと5万~50万円ほどと高めになります。
費用に影響する条件は主に 「物量」「搬出動線」「家屋構造(階段)」「駐車スペースの有無」 です。物が多いほど費用増なのは当然として、2階建で階段から大型家具を下ろす必要がある家や、玄関が狭い家では人手が余計にかかり費用が上がります。また、家の前にトラックを横付けできるかどうかも重要です。駐車できず離れた場所から運ぶとなれば作業効率が落ちます。エレベーターなしのマンション最上階(5階部分)なども追加料金要因です。
さらに、処分する中に特殊な大型品(ピアノ・金庫・大型家電など)があると費用が跳ね上がります。冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン等は法律(家電リサイクル法)でリサイクル料金が定められており別途費用が必要です。こうした条件次第で費用が大きく変わるため、業者に見積もりを依頼する際は物量や搬出条件を正確に伝え、追加料金が発生しそうなポイントを事前に確認しておくことが大切です。

出典:一般財団法人 家電製品協会>リサイクル料金一覧表(電子版)より一部抜粋
清掃・修繕・庭木管理など“整える費用”は売却結果に直結しやすい
次に、家を整えるための費用です。具体的にはハウスクリーニング、簡易な修繕、庭木の剪定・伐採、不要な簡易構造物の撤去などが該当します。これらは必須ではありませんが、実家を売却する際の印象や売却価格に直結しやすい項目です。
例えば、長年放置されホコリと汚れだらけの室内も、プロのハウスクリーニングを入れるだけで内覧時の印象が大きく改善します。床の黒ずみや水回りのカビが取れ、「きれいに使われている家」と思ってもらえれば、売却がスムーズになりやすいです。クリーニング費用は3LDK全体で数万円~十数万円程度が目安です。
軽微な修繕も検討ポイントです。壁紙の一部補修や畳の表替え、壊れた戸の修理、軽い雨漏り修理など小修繕に数万円かければ、買主に「すぐ住める」と好印象を与え、結果的に高値で売れる可能性もあります。ただし、築古で全面改装が必要な状態なら中途半端な修繕は無駄になりがちなので、見極めが必要です。
意外に重要なのが庭木や外回りの手入れです。荒れ放題の庭は家の印象を下げますし、雑草や枝が隣家にはみ出せばトラブルの元です。庭木の剪定・伐採や草刈りに数万円~十数万円かかっても、外観が整えば売却時の印象アップや近隣への配慮になるので効果大です。
また屋外の不要物撤去(古い物置、壊れた塀、井戸など)も“整える費用”に含めましょう。物置撤去は数万円、コンクリート塀の撤去は長さによりますが1本1万円程度が相場です。これらの整備費用は売却結果に直結しやすいため、予算配分の優先度は高めです。
不動産売却の費用を把握する|仲介手数料・測量・登記・印紙などの全体像
実家を売却する際には、不動産売却に伴う諸費用が発生します。これは実家じまいの中でも金額が大きい部分なので、見落としなく把握しておく必要があります。
主な費用は、まず不動産仲介手数料です。仲介会社に売却を依頼し成約した際に支払う成功報酬で、法律で上限が定められています。売却価格が400万円超の場合、手数料上限は「売却価格の3% + 6万円(別途消費税)」という計算式です。例えば2,000万円で売れた場合、約66万円+消費税が仲介手数料となります。これは売却代金から差し引かれる点を念頭に置きましょう。なお、空き家問題の対策の一環として、令和6年7月より低廉な空家等の媒介の特例が施行されております。詳細は下記をご参照ください。

次に契約関連の費用では、売買契約書に貼る印紙代があります。売却価格によって異なりますが、数千万円台の売却なら1万円程度(1000万円超、5000万円以下の取引時)の印紙税が必要です。また不動産引渡し時の登記費用も考慮します。買主への所有権移転登記自体は通常買主負担ですが、売主側でも必要になる登記があります。例えば、親名義から子へ相続登記していない場合、事前に相続登記を行う費用(登録免許税は評価額の0.4%、司法書士報酬5~15万円程度)がかかります。また住宅ローンの抵当権が残っていれば抵当権抹消登記費用が1~2万円程度必要です。
測量費用も見逃せません。古い土地で境界が不明確な場合、売却前に土地家屋調査士に測量・境界確認を依頼することがあります。費用は土地の広さや隣地の数によりますが、大体40~50万円が一般的です。境界トラブル防止のため、売主負担で測量図を用意しておくと結果的に高く売れやすいです。
その他、仲介会社への広告費(通常は仲介手数料に含む場合が多い)、引渡しまでの固定資産税等の日割精算金(年度途中なら売主負担分を精算)、引越し費用(親が住んでいた場合の退去費用)などがあります。総じて、不動産売却では売却価格の約3~5%が諸費用で消えると言われます。実際に売却して手元に残るのは売却額の約75%程度という例(解体工事や測量代を引いて)も多いです。このような費用項目をあらかじめ洗い出し、必要に応じ専門家(司法書士等)に相談して計画に織り込んでおきましょう。
税金は早めに論点整理する|譲渡所得・相続・特例の可能性を見落とさない
実家じまいに関わる税金も早めに検討しておきたい点です。主に問題になるのは売却益に対する譲渡所得税と、相続や保有に関する税です。
まず売却に伴う譲渡所得税ですが、売却額から取得費や諸経費を引いた譲渡益に課税されます。実家の場合、親が長年所有していたことが多いので基本的に長期譲渡となり20%(所得税15%+住民税5%)の税率です。短期譲渡(所有5年以下)だと39%ですが、相続の場合は被相続人の取得から通算できるためほとんどが長期扱いになると思われます。※上記税率に復興特別所得税が課税されます(2037年まで個人の所得税に上乗せされる2.1%の特別税)。

譲渡所得税に関連する記事はコチラ⇒知っておきたい!譲渡所得税の計算方法と賢い節税対策について
所有期間での税金の違いについてはコチラ⇒不動産の所有期間で税金がどう変わる?実例付きで徹底解説
注目すべきは、親から相続した実家を売却する際の3,000万円特別控除(相続空き家の特例)です。これは被相続人が一人暮らししていた家など一定要件を満たせば、譲渡益から最高3,000万円を非課税にできる制度です。適用には相続から3年以内に売却することなど条件があります。条件に合いそうなら期限に注意して活用を検討しましょう。
また、相続で取得した不動産は親の購入額が古くて低い場合が多く、譲渡益が大きく出ることがあります(取得費不明なら売価の5%をみなし取得費とする規定もあります)。しかし、被相続人の相続税を納めている場合、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります。これも相続から3年以内の売却が条件です。相続税を払っているなら早期売却することで取得費加算を利用し譲渡税負担を軽減できます。
加えて相続税と固定資産税にも留意しましょう。相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)内なら課税されませんが、実家評価額が高ければ課税対象になる場合も。実家を売ったお金で納税する計画も考えねばなりません。納税期限(10ヶ月以内)までに売却できないと延滞税の恐れもあります。固定資産税については、親死亡後も名義人に課税されます。相続登記を放置すると納税通知の管理が疎かになるので、処分完了まで確実に支払いを続けましょう。
出典:国税庁>No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
このように税金は専門知識が必要な場面が多いです。可能であれば税理士に相談して論点整理・シミュレーションしておくと安心です。譲渡所得の特例の有無や、最適な売却時期など、事前に分かっていれば動き方も変わってきます。税対策は事後では打てないことが多いため、早めに論点整理するのが鉄則です。
解体・残置物撤去は最後に判断しない|更地化が必要になるケースと費用感
最後に、建物の解体費用や残置物撤去費用についてです。実家じまいでは、家そのものを解体して更地にするケースも珍しくありません。古い家で買い手がつかない場合や土地として売る場合、あるいは相続人が土地のみ残す場合などが該当します。この解体するかどうかの判断を後回しにすると、片付けや売却の手順に無駄が生じがちです。例えば、半年売却を試みて「やはり更地にしないと売れない」となれば、当初から解体を想定していればもっと早く売却できたかもしれません。従って、解体するかどうかは初期段階から選択肢に入れて検討することが重要です。
解体費用の目安は建物の構造や大きさで大きく異なります。一般に木造住宅の解体は坪あたり3~5万円、鉄骨造で5~7万円、RC造(鉄筋コンクリート造)で6~8万円程度が相場です。例えば30坪の木造なら100~150万円前後、同規模のRCなら180~240万円程度になります。これに付帯物の撤去費(ブロック塀、浄化槽、庭石など)やアスベスト対応費用が加わる場合もあります。

紹介:豊橋市の解体工事施工店 レックス解体(運営:松屋地所株式会社)
解体費用が高くなるケースとしては、前面道路が狭く重機が入れず人力解体になる場合や、隣家との距離が近く慎重作業が必要な場合などがあります。また築古で倒壊リスクがある建物は安全対策に時間と費用がかかりがちです。さらに家財が大量に残ったまま解体を依頼すると、その処分費が上乗せされます。ですので、できれば家財は事前に撤去しておいた方が経済的です。
解体が必要になるケースは、老朽化で建物価値がない場合や、買主が新築用地として求める場合などです。土地として売った方が高く売れると見込まれるなら解体を検討すべきです。ただし注意点もあります。土地が再建築不可(現行法では新築できない条件)の場合、建物を残さないと資産価値がゼロになることもあります。古家付きなら既存建物を利用できますが、更地にすると新築できず価値が大幅に下がるのです。また、更地にすると固定資産税の軽減が外れ税金が6倍近くに増えるケースもあります。従って、解体の判断は税金や法規制も踏まえた総合判断が必要です。
いずれにせよ、解体を視野に入れるなら早めに解体業者から見積もりを取ることをおすすめします。家財の有無や敷地条件、近隣への挨拶まで含め相談し、費用感を掴んでおきましょう。実家じまいで失敗しないためには、解体の是非を最後に慌てて決めるのではなく、計画当初から選択肢に入れておくことが大切です。
住宅用地の課税標準の特例
次のような住宅家屋の敷地用の用に供されている土地で一定のもの(住宅用地)で、減額することになっております。
|
区分 |
面積 |
固定資産税 |
都市計画税 |
|
小規模 |
住宅一戸当たり200㎡まで |
6分の1 |
3分の1 |
|
一般 |
住宅一戸当たり200㎡超、家屋の床面積の10倍まで |
3分の1 |
3分の2 |
固定資産税・都市計画税についてはコチラ⇒固定資産税・都市計画税の基本や特例措置およびその活用方法
相場感を持つ|一戸建ての実家じまいで「何がいくら」かかりやすいか
費用項目を見てきましたが、実家じまい全体として「結局いくらくらいかかる?」という相場感も掴んでおきましょう。ここでは一戸建て実家を例に、主要な費用がどの程度になりやすいかをケース別に比較します。条件によって幅がありますが、ご自分のケースがどのパターンに近いか考えてみてください。
片付け費用の目安を比較する|自分でやる・一部依頼・丸ごと依頼で見える差
まず家財の片付け費用について、典型的な3パターンを比べてみます。
- 自分で片付ける場合
家族だけで荷物整理・処分を行うので、費用はごみ処理券代や運搬費程度で済みます。例えば4LDKの家を自力で片付けたケースでは、粗大ごみの処分手数料数万円、レンタカー代などを合計し数万円以内に収まることもあります。ただし週末の時間を何ヶ月も費やす労力が必要です。遠方在住なら交通費もかかります。
- 一部業者に依頼する場合
大型家具・家電など重い物だけ業者に任せ、細かな仕分けや思い出の品整理は自分達で行う方法です。例えば大型家具家電のみ不用品回収業者に頼んだ場合、10~20万円前後の費用になることがあります。遺品整理業者に一部屋だけ依頼するなど部分利用も可能です。自分達の負担(労力)がある程度減りつつ、費用もフル依頼より抑えられるのがメリットですが、綿密な段取りが必要です。
- 全て業者に丸ごと依頼する場合
家の中の物を一括でプロに処理してもらいます。遺品整理業者や大手不用品回収業者に家全体の片付けを委ねると、費用は数十万円規模になります。4LDKで物量が多ければ30~50万円程度になることも珍しくありません。作業は数日で完了し、自分達は立ち会うだけで済むため精神的負担は軽いですが、コストは高めです。
このように、「自力 vs 部分依頼 vs フル依頼」でコストに大きな差が出ます。資金に余裕があればプロに任せるほど時間と体力は節約できますが、その分売却益から差し引かれる手取りは減ります。一方、コスト優先で自力対応すると金銭負担は軽くても時間と体力を使います。大切なのは、自分達の状況に合ったバランスです。例えば親族が高齢で作業困難なら業者活用、遠方ならフル依頼、逆に近くに住んでいて時間が取れるなら自力中心など、ケースに応じた選択をしましょう。
売却関連費用は“手取り”から逆算する|売却価格と費用の関係を整理
次に不動産売却に関連する費用について、手取り額の観点から考えてみましょう。売却関連費用は売却価格に比例するものが多いため、まず予想売却価格から逆算して検討します。
仮に実家が2,000万円で売却できたとします。この場合、仲介手数料は「(2000万円×3%)+6万円+消費税」で約66万円+税となります。売買契約の印紙税は1万円(売買価格2000万円のとき)、抵当権抹消登記が1~2万円、測量なしならゼロ、といった具合です。合計するとざっくり70万円強が売却に直接かかる費用です。
つまり2,000万円で売れても手取りは約1,930万円という計算になります。ここから片付け費用や解体費用を差し引けばさらに残額は減ります。例えば片付けに50万円、解体に150万円かけていたら、1,930万-200万=1,730万円が実質手取りです。
重要なのは、常に「最終手取り額から逆算して判断する」視点を持つことです。例えば「古家付きで1,800万円で売る」のと「150万円かけて更地にして1,950万円で売る」では、手取りはどちらも約1,800万円となり差がありません。この場合、手間の少ない前者を選ぶ方が合理的です。逆に、更地にした方が明らかに高値で売れ手取りが増えるなら更地売却を選ぶべきです。売却価格と費用の関係を整理し、損しない道を選ぶにはこうした計算が不可欠です。
不動産売却のプロは必ずこの手取りシミュレーションを行います。売却価格だけでなく諸費用を引いて「手元にいくら残るか」を示し、最適な売却方法を提案します。実家じまいでも、感覚ではなく数字で判断するクセをつければ、「こんなはずではなかった…」という後悔を減らせるでしょう。
解体費用はブレやすい|構造・立地・付帯工事が金額を左右するポイント
前述した解体費用について、もう少し相場感を持っておきましょう。解体費用は非常にブレ幅が大きい費用です。構造種別と建物規模で基本費用は決まりますが、それ以外の要因で大きく増減します。
構造別では、木造が最も安価で次いで鉄骨造、RC造の順に高くなります。木造30坪で120万円程度、RC30坪だと180~240万円程度など倍近い差が出ます。また2階建てか平屋かでも違いがあり、平屋は基礎が広い分解体費用が割高になる傾向です。
立地条件も大きなポイントです。前面道路が広く重機やトラックが入れる立地なら効率的ですが、4m未満の狭い道路や階段のみでアクセスする高台などは重機搬入困難で人力作業が増えます。その場合費用は大幅アップします。都市部の密集地で隣家と数十cmしか離れていない場合も、防護養生や手作業が必要となりコスト増です。
付帯工事の有無も金額を左右します。代表的なのは敷地内の付属物撤去です。古い家には物置・カーポート・井戸・門柱・庭石・コンクリート土間などがあり、これらの撤去にも費用がかかります。浄化槽の撤去埋戻し、古井戸の封じ、地中障害物の処理などもあれば見積額が上乗せされます。
さらにアスベストの有無も見逃せません。2022年から解体前のアスベスト調査が義務化され、含有が判明すると除去工事等で数十万円単位の追加費用が発生します。築古物件ほど可能性があるので注意が必要です。
このように解体費用はケースバイケースなので一概に「○坪で○万円」と言えません。過去事例で安かったからといって自宅も同じとは限りません。必ず現地を業者に見てもらい、詳細条件を確認した上で見積もりを取るようにしましょう。なお、更地後の整地費用(地面を平らにする工事)は土地が平坦なら㎡単価500~1500円程度で済みますが、大きな段差や抜根があると高額になる場合もあります。
石綿の事前調査結果の報告の概要
◯事前調査結果の報告対象(年間200万件程度)
石綿の事前調査結果の報告対象は、以下のいずれかに該当する工事 (令和4年4月1日以降に工事に着手するもの)で、個人宅のリフォームや解体工事なども含まれます 。
【報告対象となる工事】
・建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80㎡以上)
・建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
・工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
・石綿障害予防規則に基づき労働基準監督署にも報告する必要があります。
・石綿障害予防規則に基づく報告は、上記に加え、鋼製の船舶の解体又は改修工事
(総トン数20トン以上)も必要です。
費用が跳ね上がる典型パターン|遠方・立会い不可・境界不明・残置物多い等
実家じまいの費用で、想定以上にかさんでしまう典型パターンを押さえておきます。以下のような条件が重なると、当初見込みより費用が跳ね上がりやすいので注意しましょう。
- 遠方で頻繁に行けない
実家が遠方にあり片付けや打ち合わせの度に交通費・宿泊費がかかるケースです。新幹線や飛行機で何度も往復すれば数十万円になることも。また日程調整が難しく業者の割安日程に合わせられない等でコスト高になりがちです。立会いできない分業者任せで追加費用を見逃すリスクもあります。遠方の場合は短期集中で一気に進める工夫や、信頼できる代理人を立てるなどして往復回数を減らすことが重要です。
- 立会いせずに業者任せ
現地確認や立ち会いをせず業者に任せきりにすると、不要な作業や割高なプランで進められる恐れがあります。例えば、片付け業者が勝手にまだ残したかった物まで処分してしまい、買い直し費用が発生するなどです。また悪質業者だと立会い不在をいいことに手を抜いたり高額請求したりする場合もあります。可能な限り現場確認と立会いを行い、依頼内容を把握しましょう。
- 境界不明瞭
土地の境界が分からないままでは、隣接地所有者との確認作業が多くなり、ブロック塀は隣接地の所有なので残してなど打ち合わせが必要となります。隣地との協議が難航すれば筆界特定や境界訴訟になる可能性もあり、さらに費用増となります。境界が怪しい場合は早めに専門家に相談し、売却スケジュールに余裕を持たせましょう。
- 残置物が大量
片付けが不十分で家財が山ほど残ったまま引渡しを迎えると、結局業者による一括撤去費用が高額になります。売却契約時に「残置物あり」で引き渡す場合も、想定外の処分費でトラブルになることがあります。残置物が多い家ほど計画的に減らし、最後に大量に残さないよう進めることが肝要です。
- 想定外の追加工事
解体してみたら地中から瓦礫が大量に出て処分費追加、建物傾きで地盤調査費発生、雨漏り悪化で応急措置費など、事前に把握していなかった問題が出ると費用がかさみます。完全防止は難しいですが、事前にプロの目で家を点検し潜在問題を洗い出しておけば、ある程度リスクヘッジできます(ホームインスペクションなど)。
以上、費用が膨らみやすい典型例です。ご自分のケースで該当するものがないかチェックし、早めに対策しておきましょう。
実家じまいの手順ロードマップ|チェックリストで迷わず進める8ステップ
ここからは、実家じまいを具体的に進めるための8つのステップについて順を追って解説します。前章までの知識を踏まえ、何をどの順番で行うかを明確にしましょう。各ステップでのポイントや注意点も紹介しますので、チェックリストとして活用してください。
Step1 家族・親族の合意形成|揉める前提で“決める順番”を作る
【Step1:家族間の合意形成】
実家じまいの第一歩は、関係者全員で方針に合意することです。親が健在なら意思を確認しつつ、子ども世代・親族で「実家をどうするか」を話し合います。相続発生後なら相続人全員の同意が必要です。このステップでありがちなのは意見の衝突です。兄弟間で「売却したい派」と「残したい派」に分かれることもあります。
ここで重要なのが”決める順番”を決めておくことです。一度に全て決めようとせず、まず実家を処分するか否か、次に処分方法(売却か賃貸か等)、その次に詳細条件…というように段階を踏んで合意形成します。こうすれば、いきなり売却代金の分け方など細部で揉める事態を避けられます。
また揉める前提で合意形成のルール作りをすることも大切です。議論が平行線になった場合の決定ルールを予め決めておきます。例えば「最終的には多数決にする」「親の意向を最優先する」「専門家の意見に従う」等です。そうすれば「どう決めるか」でさらに揉めるのを防げます。
不動産のプロの立場からも、初期にこの合意形成をきちんとやっている家族ほどその後の手続きが円滑です。「揉めない家族はいない」くらいの心構えで、最初に合意形成の型を整えておきましょう。
Step2 名義と相続関係の確認|登記簿・遺産分割・共有の論点を整理
【Step2:名義と相続関係の確認】
合意が取れたら、実家の法的な所有関係を明らかにします。具体的には登記簿を確認し、土地建物の名義人をチェックします。親名義ならOKですが、例えば「土地は祖父名義のまま、建物は父名義」など未整理だと手続きが複雑化します。その場合、相続登記が二重に必要になったり相続人の範囲が広がったりします。
親が亡くなっている場合は相続人と相続内容の確認が重要です。誰が法定相続人か、遺言書はあるか、遺産分割協議は済んでいるか等を整理します。実家だけ処分が残っている場合でも、売却代金の分け方など基本方針を決めておくべきです。共有名義で売却するなら全員の同意が要るため、共有状態は不利です。可能なら誰か一人が相続して名義を一本化するか、少なくとも代表者を決めて進める方が良いです。
登記簿確認では抵当権や仮登記の有無も見ます。完済した住宅ローンの抵当権が残っていれば、売却前に抹消登記が必要です。また未登記の建物(田舎で登記されていない古屋など)があれば、売却時に買主に説明・対応が求められます(必要なら事前に登記するか、契約で了承を得る)。
このステップでは登記情報と家族の相続状況から論点を洗い出すのが目的です。「相続人が多いから代表を決めよう」「祖父の代から名義変更してないので相続登記が先決だ」等、次にやるべきことが見えてきます。司法書士に相談すれば必要書類も含めアドバイスが得られます。法的整理なくして実家じまいは進まないので、ここで腰を据えて状況把握しましょう。
Step3 重要書類の回収|権利証・測量図・建築資料・契約書を押さえる
【Step3:重要書類の回収】
実家から持ち出すべき重要書類を集めます。具体的には以下のようなものです。
- 権利証(登記識別情報)
家の権利証です。平成17年以降は「登記識別情報」12桁の英数字ですが、それ以前は紙の権利証です。売却手続きに必要なので紛失しないよう確保します。紛失しても取引は可能ですが、司法書士の本人確認情報作成が必要になり費用がかかります。

- 測量図・境界確認書
土地の形状や面積を示す図面、隣地との境界協定書などが家に保管されていないか探します。古い家だと昔の実測図が出てくることもあります。最新の測量図は法務局にあるかもしれませんが、現物があれば隣地との境確認に役立ちます。
- 建築関係資料
建物の設計図面・工事記録・検査済証など残っていれば貴重です。特に平成以降築なら確認申請書副本や図面、保証書類(白蟻保証など)があるはずです。買主に聞かれたらすぐ提供できるよう、押さえておきます。
- 各種契約書類
不動産に関連する契約書も確認します。過去のリフォーム契約書、地盤改良証明、住宅ローン契約書、火災保険証券、賃貸していたなら賃貸契約書など、関係ありそうなものは拾い出します。特に耐震診断結果や瑕疵保険証書などあれば売却時のアピール材料になります。
- 相続関係書類
親死亡後なら被相続人の戸籍謄本類や遺産分割協議書なども探しておきます。名義変更に必要ですし、司法書士へ渡す際手間が省けます。
以上の書類は片付け中に紛れて捨ててしまわないよう、最優先で回収します。特に権利証はタンスの奥などにしまわれていることが多いので注意深く探しましょう。見つけ次第まとめて自宅へ持ち帰るか信頼できる人に預け、厳重保管します。勢いで重要書類を廃棄しないよう、このステップでしっかり確保しましょう。
Step4 片付け計画の設計|残す・捨てる・売るを先に仕分ける
【Step4:片付け計画の立案】
家の中の片付けに着手しますが、闇雲に始めると途方に暮れてしまいます。ここでは「残す」「捨てる」「売る」の仕分けを先に行い、計画的に片付けることがポイントです。
まず家の中の品物を大きく3種類に分類します。「残す」は手元に残すもの(思い出の品・形見・貴重品など)、「捨てる」は不要で廃棄するもの、「売る(譲る)」はリサイクルショップやネットで売却するか人に譲るものです。最初に全ての物をこの3つに振り分けます。迷うものは一時「保留」箱に入れて後で再検討します。
仕分けは部屋ごとに進めると効率的です。一部屋ずつ完了させれば達成感が出て進捗も把握しやすくなります。各部屋に「残す」「捨てる」「売る」の区画や箱を用意し、家族で役割分担して進めましょう。作業前にゴミ袋・ダンボール・軍手・マスク・マーカーなど必要物資を揃えておくとスムーズです。
仕分け時、アルバム写真や手紙など思い出品で手が止まりがちですが、後でゆっくり見るために一旦持ち帰るなど割り切りも必要です。処分物の中に現金や通帳などが紛れていないかもよくチェックします。衣類のポケットや引き出しも念入りに確認しましょう。
「売る」物にしたものは早めに行動に移します。まとめてリサイクルショップに査定依頼したり、価値ありそうなものは写真を撮ってネット出品したりする準備をします。ただし時間がなければ無理にお金に変えようとせず処分優先でも構いません。家具家電は業者処分だと有料でも、欲しい人に譲れれば処分費を浮かせます。自治体のリユースセンターが無料引取りしてくれることもあります。
こうした計画立案と仕分けで「いつまでに何を処分するか」が見えてきます。例えば「○月末までに大型家具粗大ごみ回収」「△月に業者に残り依頼」などタイムラインを引きます。片付け計画の設計をしっかり行えば、精神的負担も軽減し、ゴールへ着実に進めます。
Step5 業者の使い分け|不用品回収・遺品整理・買取・清掃の線引きを明確に
【Step5:業者の使い分け】
自分達だけで処分しきれない部分を、どの専門業者に依頼するか決めます。実家じまいでは様々な業者が関わり得ますが、ここで役割分担を明確にすることが重要です。
- 不用品回収業者
粗大ごみや大量の生活用品を一括処分する業者です。トラック積み放題プラン等で一気に家中を空にしてくれます。メリットはとにかく速いこと、デメリットは遺品の仕分けや貴重品探索など細やかな対応は期待できないことです。なんでもまとめて引き取る業者もあるので、残す物は事前に分けておく必要があります。
- 遺品整理業者
故人の遺品を丁寧に整理・供養までしてくれるサービスです。形見分けの手伝いやアルバム写真の整理、貴重品探索など、不用品回収より踏み込んだ対応をしてくれます。その分料金は高めです。心のケアも含めお願いしたい場合はこちらが向いています。
- 買取業者
骨董品・着物・家具・美術品など再販価値がありそうなものは専門の買取業者に査定してもらうと良いでしょう。大型家具でも出張買取してくれるケースがあります。ただし多くの古い家財は値が付かないため、売れたらラッキーくらいの気持ちで依頼します。値が付かない物はそのまま不用品回収に回す流れです。
- ハウスクリーニング業者
片付け完了後にプロに清掃してもらう場合です。売却前に室内外を掃除すれば印象アップにつながります。特にキッチン・浴室・トイレなどはプロに綺麗にしてもらうと効果的です。費用と相談して部分利用も考えましょう。
- 解体業者
ここではまだ片付け段階ですが、解体前提なら解体業者と相談して「家財は置いたままでOKか」「残してほしい物は何か」などを調整しておきます。解体業者によっては残置物処理込みのところもありますが、その場合費用は割高になります。解体業者と不用品回収業者のどちらに何を任せるか比較検討が必要です。
以上の業者の役割と費用を照らし合わせ、何を誰に任せるか線引きしましょう。例えば「大型家具と大量ゴミは不用品回収」「思い出の品整理は遺品整理業者に」「骨董価値品は買取査定」といった組み合わせです。自治体の粗大ごみサービスやリユース制度も活用すれば業者費用を下げられるかもしれません。
重要なのは、依頼漏れや二重依頼を避けることです。例えば自力で処分した物を遺品整理業者にも依頼していた等は無駄です。逆に、互いが「それはそっち担当と思った」と作業抜けが起きないよう、事前にチェックリストを作成し「○○は自分達で処分」「△△は業者Aに依頼済」等明記して共有しましょう。
Step6 出口を確定する|売却・賃貸・保有・解体の判断を先延ばしにしない
【Step6:出口(処分方法)の確定】
片付けが進んだら、改めて実家の最終的な扱いを決定します。つまり、売却するのか、賃貸に出すのか、親族が住むのか、解体して更地にするのか、といった出口戦略の最終決断です。
この判断は初期に仮決めしていたはずですが、片付けや手続きの中で状況が変わることもあります。「思ったより家が綺麗だから賃貸にしようか」「市場を調べたら売却益が出そうだからやはり売ろう」など再検討の余地が出るかもしれません。しかし、ここでまた悩み始めると時間だけが過ぎます。情報が揃った段階で最終決断を下すことが大切です。
出口を決める際は、家族の合意も再確認します。特に売却なら相続人全員の同意が必要ですし、賃貸なら誰が管理するか決めねばなりません。保有し続ける場合でも、維持費や次世代への引継ぎを話し合う必要があります。
選択肢ごとのポイントを整理すると
- 売却
もっとも現金化が明確な方法です。税金や費用を引いた手取り額を把握し、GOサインを出します。時期は市況や税優遇(相続3年内特例など)も考慮します。
- 賃貸
貸せる程度に家が綺麗か、必要なリフォーム費と得られる家賃収入のバランス、空室リスクを検討します。大家業を続ける覚悟と家族内での管理体制が必要です。
- 保有
当面使わないが売らずに持っておく場合、誰が管理するか、定期的な維持費負担をどうするか取り決めます。将来使う予定があるのか、資産として寝かせるのか目的を明確にします。
- 解体
建物を取り壊し土地だけにする決断です。解体費用を用意できているか、更地後すぐ売るか活用するか計画します。更地にすると固定資産税増などデメリットも確認します。
判断を先延ばしにしないためには、プロの意見も参考にしましょう。既に不動産会社に査定依頼していれば、それをもとに家族で最終方針を決めます。まだ迷っているなら複数社や専門家に相談し、フィードバックを集めて納得のうえ決めると良いです。「迷っているうちに買い時を逃す」こともあるので、期限を切って決定することをおすすめします。
Step7 売却実務を進める|査定→媒介→販売→契約→引渡しの注意点
【Step7:売却実務の進行】
出口として売却を選んだ場合、具体的な売却活動に入ります。不動産売却は以下の流れで進みますので、それぞれの注意点を押さえましょう。
- 査定を依頼
不動産会社に物件の査定を依頼します(複数社に依頼し比較がおすすめ)。査定額は高ければ良い訳ではなく、その価格で売れる現実性が重要です。担当者の実家じまい案件の経験も考慮しましょう。
- 媒介契約の締結
依頼する不動産会社を決めたら媒介契約を結びます。専属専任・専任・一般の3種類がありますが、確実に売りたいなら専任系が多く選ばれます。契約内容(期間や解除条件など)を確認して署名します。
- 販売活動(広告・内覧)
不動産会社がチラシやネット広告で物件情報を告知し、購入希望者を募ります。内覧希望者が来たら対応します。片付け済みなら空家として内覧できますが、定期的に換気・清掃して印象を保ちます。家具が少し残っている場合も整理整頓しておきます。遠方で立ち会えない場合は鍵を預け、不動産会社に任せることも可能です。
- 購入申込み・条件交渉
買いたい人が現れたら購入申込書(買付証明)が届きます。価格交渉や引渡し時期などを、不動産会社を通じて詰めます。希望額と差が大きければ価格調整が必要です。条件合意したら契約日をセットします。
- 売買契約
売主・買主が不動産売買契約を締結します。宅建士から重要事項説明を受け、契約書に署名押印します。通常買主から手付金を受領します。相続で共有者が複数いる場合は全員の実印が必要なので事前準備を。
- 引渡し準備
契約後、約束の引渡し日までに家財撤去や引越しを完了させます。契約で「現状有姿(現状のまま渡す)」と合意していても、契約で残すとした物以外は基本全て撤去します。ゴミが残っていると契約不履行になる恐れがあるので注意です。司法書士と打ち合わせ、登記関連書類(権利証や本人確認資料)も準備します。
- 残代金決済・引渡し
買主から残代金を受け取り、鍵を渡して物件引渡しです。通常は銀行で行い、同時に抵当権抹消や所有権移転登記を司法書士が行います。固定資産税等の精算金も清算します。仲介手数料の支払いも行い、一連の売却実務が完了です。
この流れの注意点として、契約前に物件状況(不具合や瑕疵)の告知をしっかり行うことがあります。境界不明・シロアリ被害・雨漏り箇所などは事前に伝え、契約書に「現状渡し・瑕疵免責」特約などを入れてもらう場合もあります。書類関係では相続登記がまだなら引渡しまでに完了させる段取りが必要です(タイトなら契約前に済ませておく方が安全です)。
引渡し直前でバタつきがちなのが残置物の最終チェックです。不要品が一つでも残っていればクレームになり得ます。不動産会社と最終確認を行い、引渡し当日は清掃済みの状態にしておきます。鍵も全て揃えて渡します。
以上が売却実務の概要と注意点です。各ステップで分からないことがあれば不動産会社に遠慮なく質問し、納得しながら進めてください。
Step8 最終清算と手続き|税・保険・公共料金・鍵・近隣対応まで完了させる
【Step8:最終清算と諸手続き】
引渡しが終わったら、実家じまいの総仕上げとしてお金と各種手続きの精算を行います。確認・実施すべき点は以下です。
- 譲渡所得税の申告
売却益(譲渡益)が出た場合、翌年確定申告で所得税の申告をします。譲渡益から3,000万円控除等の特例を差し引き税額計算します。利益がなければ申告不要ですが、特例適用には申告が必要なこともあるので税理士等に確認します。納税期限も忘れずに。
- 代金分配と精算
売却代金を複数相続人で分ける場合、事前の取り決め通りに分配します。司法書士の口座で清算したなら各人に振込まれますが、自主管理ならトラブルないよう確実に送金します。また、片付け業者・解体業者への支払い、仲介手数料の領収保管、測量費の支払いなど残る精算事項を全て完了させます。総費用も集計して記録しておくと後々役立ちます。
- 公共料金の精算
実家契約の電気・ガス・水道等を停止し最終料金を支払います。電話回線やインターネットも解約を忘れずに。NHK受信料や新聞も停止します。
- 火災保険の解約
実家にかけていた火災保険・地震保険があれば、売却に伴い解約手続きをします。未経過分保険料が戻ることもあります。親が賃貸に移った等で新居に保険加入している場合、重複期間に注意します。
- 固定資産税の精算
引渡し時に日割精算していない場合、売却年度の税負担を買主と按分します。通常引渡日までが売主負担なので、引渡し後に届く納税通知に対し買主負担分を請求するか、契約時に調整済みなら自身で全額納付します。
- 鍵・近隣挨拶
引渡し後、スペアキーなど手元に残っていないか確認します。渡し漏れの鍵があれば速やかに連絡します。最後に、長年お世話になった近隣へ挨拶しておきましょう。特に解体で迷惑をかけた場合はお礼を伝えると良いです。
- 相続手続きの残件
実家売却で相続税納付や代金分配が済めば相続手続き全体も完了です。ただ他の遺産が残っていれば引き続き処理します。実家関連では、場合によって準確定申告(親死亡年の所得税申告)や未支給年金の請求などもあり得ますので、忘れずに対応します。
出典:国税庁>No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
以上全ての清算・手続きが終われば、晴れて実家じまい完了です。大変な道のりでしたが、無事終えれば気持ちも軽くなるでしょう。最後に契約書や領収書類はファイリングして保管し、今後問い合わせがあっても対応できるようにしておきます。お疲れ様でした。
片付けが9割|“捨て方”より“進め方”で費用とスピードが決まる、遠方でも回る設計
実家じまいの成否は、多くの専門家が口を揃えるように「片付けでほぼ決まる」と言われます。実際、片付け作業とその段取りに全体の労力の大半が費やされます。つまり、何をどう捨てるか以上に、どう段取りするかが重要なのです。ここでは片付けを効率よく進めるための工夫を、特に遠方在住者でも実践できる方法を中心に紹介します。
自分で片付ける段取り|週末型と短期集中型の進め方
家族自身で片付けを行う場合、大きく「週末型」と「短期集中型」の二通りがあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分達の状況に合う段取りを組みましょう。
- 週末型(コツコツ型)
毎週末や月数回、時間を作って現地に通い少しずつ片付ける方法です。例えば「毎週土曜に実家で1部屋ずつ整理」「3ヶ月かけて徐々に進める」イメージです。メリットは一度に体力・精神を使いすぎず、何を捨てるかゆっくり見極めながら進められる点です。親と思い出話をしながら整理する余裕も生まれます。デメリットは完了まで時間がかかること、空き家期間が長引くことです。またダラダラするとモチベーションが下がり途中で止まる危険もあります。成功には毎回明確な目標(「今日は居間の大型家具を全部運び出す」等)を設定し、進捗を記録してやる気を維持する工夫が必要です。
- 短期集中型(突貫型)
まとまった休暇を取り、一気に片付けてしまう方法です。遠方なら有給を使い1~2週間帰省し、その間に完了させるケースもあります。メリットは短期間で終わるため空き家期間を最小化でき、ダラダラせず済むことです。集中することで業者手配も計画しやすく、メリハリがあります。デメリットは肉体的にハードなことと、日程に余裕がないため想定外に対処しづらいことです。短期集中する場合は、事前に道具・人手・業者予約など全て段取りし、綿密なスケジュールを組んで臨む必要があります。
遠方在住なら交通費や休暇日数を考え短期集中で終わらせた方が結果的に安く済む場合が多いです。ただ一人で丸ごと1軒を数日で片付け切るのは困難なので、親族の応援を募ったり、最初から一部業者を入れたりすることを前提で計画しましょう。近場在住なら週末型でコツコツでも費用負担は少ないかもしれません。
いずれにせよ大事なのは計画表を作成することです。家の間取り図を書き出し、いつまでにどの部屋を終わらせるか、粗大ごみ回収や業者依頼は何日か、カレンダーに落とし込みます。スケジュールが見えると家族内の協力も得やすく、「○月△日に皆で実家集合」など調整しやすくなります。
業者に頼む段取り|見積の取り方と「当日追加」を防ぐ質問
片付けを業者に依頼する場合でも、段取り次第で費用と満足度が大きく変わります。特に不用品回収業者や遺品整理業者に頼む際は、事前の見積取得と打ち合わせが肝心です。
まず見積もりは複数社から取りましょう。1社だけだと相場より高くても気づけません。最低3社に現地を見てもらい、同条件で見積もりを比較します。その際、各社に「追加料金が発生するケース」を必ず確認します。悪質な所だと安く見積もっておいて当日「量が多かった」「予定外の廃棄費」と追加請求してくることがあります。当日追加を防ぐには、見積書に全て込みの金額である旨を書面確認するか、「多少増えても追加不要か」口頭で念押ししておきます。
具体的な質問事項
- 「見積に含まれる作業範囲は?仕分け・袋詰めはどこまでやってくれるか?」
- 「家中全て処分したいが、特殊品(ピアノ・仏壇・危険物等)の追加料金はあるか?」
- 「当日の作業員人数と作業時間の見込みは?」
- 「エアコン取り外し処分は対応可能か(費用は)?」
- 「駐車場所は確保が必要か、駐車代は誰負担か?」
これらを事前に詰めておけば、当日「それは別料金です」といった食い違いを減らせます。また見積書は書面でもらうようにしましょう。口約束だとトラブル時証拠になりません。
さらに日程調整も段取りの要です。遠方から立ち会うなら、業者作業日と粗大ごみ搬出日を連続させる等効率化します。複数日に渡るなら宿泊・休憩計画も必要です。事例では初日に親族で仕分け→二日目に業者搬出、と仕分けと搬出日を分けると貴重品の取り忘れが減り良かったという声もあります。
最後に業者選びでは価格だけでなく信頼性も重視しましょう。産廃収集運搬許可を持っているか、不用品関連の協会加盟や資格者がいるか、口コミ評判はどうか等です。中には違法投棄する悪質業者もあります。見積時の対応が丁寧かも判断材料です。質問に明確に答え、こちらの要望を聞いてくれる業者を選び、当日のトラブルを防ぎましょう。
残す物のルールを決める|形見分け・仏壇・写真・貴重品で揉めない基準
実家じまいで厄介なのが「残す物」(捨てず手元に置く物)の扱いです。親族で価値観が違うものも多く、下手すると揉めます。そこで形見分けや仏壇などについてルールを決めておくとスムーズです。
- 形見分けの方針
誰がどの遺品を引き取るか事前に希望を出し合います。「アルバムは長男」「宝飾品は姉妹で」「コレクションは興味ある人に」等です。希望が重なったら話し合い、一人○点までなどルールを決めると公平です。誰も欲しがらない物は無理に押し付けず処分する勇気も必要です。
- 仏壇・仏具の扱い
仏壇や位牌などはよく問題になります。引き継ぐ人がいなければ閉眼供養(魂抜き)して処分する流れになります。菩提寺に相談し、お焚き上げをお願いしましょう。処分自体は仏壇店等が代行してくれます。仏壇をどうするか兄弟で揉める場合もあるので、早めに「誰が持つor処分」の方向性を決めます。
- 写真・アルバム
大量のアルバムはかさばる一方貴重な思い出です。基本はデジタル化して共有がおすすめです。一冊丸ごと業者にスキャン依頼もできますし、代表者が選別してデータ化しても良いでしょう。原本は処分する合意ができればベストですが、難しければ分冊して各自保管する方法も。
- 貴重品・現金
現金・貴金属・骨董品などは扱いを誤ると疑心暗鬼を生みます。発見したらすぐ皆に報告し、相続財産として公正に分配します。「あの時ヘソクリが…?」などと後でならないよう、金品は一箇所に集めリスト化しましょう。よくある「本の間から大金が出てきた」なども、最終的に全員で確認し透明性を保つことが大事です。
- 実家外の物
貸金庫に保管の証書類やレンタル倉庫の荷物など、実家の外にある親の持ち物も確認します。鍵の所在も調べ、不要なら契約解除・撤去します。
これら「残す物ルール」は口頭でなく書き出して共有すると誤解が減ります。兄弟でチャットグループを作り一覧を送り合うのもよいでしょう。もちろん親の意思が確認できるならそれを最優先します(形見分けの希望等)。親が健在ならエンディングノート等に書いてもらうと子も納得して整理できます。
不動産のプロから見ても、実家じまいは感情面のケアが重要です。みんなが後悔しないよう、かつ公平感を持てるよう、ルールを決めて進めましょう。
片付けのゴールを間違えない|売却に有利な片付けと節約目的の片付けは一致しないことがある
片付けを進める上で陥りがちな誤解は、「とにかく全部捨てれば正解」というものです。しかし片付けのゴール設定を誤ると、かえって売却にマイナスになる場合もあります。売却前提の場合、売却に有利な片付けとコスト節約のための片付けは必ずしも一致しないことを理解しましょう。
例えば、家の中を空っぽにしようと家具・家電を全て処分したとします。確かにスッキリしますが、内覧に来た人には「生活感がなく寒々しい」「暮らしをイメージしにくい」と映ることもあります。築浅できれいな家具ならあえて残してホームステージングに活用する手もあります。事実、空室より家具がある方が部屋の広さや使い方をイメージしやすく売れやすいとのデータもあります。つまり売却重視なら、必ずしも「全部捨てる」が正解とは限らないのです。
また、節約のため自力で片付けるのが常に良いとも言えません。時間をかけ自力で片付けている間に市場価格が下がったり、買い手のタイミングを逃したりすれば本末転倒です。例えば半年かけて0円で片付けたが、その間に地価が下がり売価が100万円下がった、ということも起こりえます。

要は、「何のために片付けるのか」を常に意識することが重要です。節約が目的なのか、売却成功が目的なのか。そのバランスを考えます。理想は両立ですがリソースは有限です。そこで売却担当の不動産会社とも相談し、「この家の場合どこまで片付ければ十分か」を見極めましょう。プロは経験から「ここまで片付いてればOK」「ここを綺麗にすれば印象アップ」といったポイントを知っています。
片付けのゴールを誤らないことで、無駄な労力や出費を防ぎ、売却もうまくいく最善の結果に近づけます。常に最終目的(円満に実家を手放す)を見据えて進めましょう。
不動産売却で損しない|実家は片付け前に相談すると“手戻り”が減る
実家じまいのゴールが不動産売却である場合、いかに有利に売却するかが最後の大テーマです。片付けや相続手続きに気を取られがちですが、「売り方」で手取り額も手間も大きく変わるので早い段階から戦略を練るのが重要です。
ポイントは片付けが完了してからではなく、片付け前に不動産会社に相談することです。そうすれば無駄な手戻りを防ぎ、結果的に損しない売却ができます。以下、その理由と具体策を解説します。
査定は方針決めの前に取る|手取り逆算でムダな出費を抑える
不動産の査定はできるだけ早く依頼するのが得策です。片付けや修繕の方針を決める前に査定額と売却シミュレーションを出してもらえば、何にお金や時間をかけるべきか明確になります。
例えば、査定段階で「現状のままでも買い手がつく」と言われた場合、無理にリフォームやハウスクリーニングにお金をかけず済むかもしれません。逆に「このままだと売りづらいので最低限の片付けは必要」と言われれば、そこに集中投資すれば良いわけです。
査定を依頼すると、不動産会社は想定される買主像や売却時の費用も教えてくれます。「売却価格は○○万円前後で、手取りは諸費用引いて△△万円くらい」と具体的な数字が出れば、実家じまいに使える予算感も掴めます。この手取り逆算の考え方により、「解体費をかけても十分プラスが出る」「いや費用倒れなので現状で売ろう」といった判断ができます。
さらに査定時に売却方法(現状売り・更地売り・買取等)の選択肢についても意見をもらえます。「このエリアは古家付きでも買い手がいる」「更地にすれば新築用地需要があり高く売れる」などプロの市場観は貴重です。それにより片付け方針も影響を受けます(例えば更地前提なら無理に荷物を全部処分しなくて良いとか)。
つまり査定を方針決定前に取ることで、片付けや修繕におけるムダな出費を抑えられるのです。費用対効果の低いことにお金を使わずに済みます。「こんなにかけたのに価格に反映されなかった」という失敗を避けられます。
「でも散らかった状態で査定は恥ずかしい…」と思うかもしれません。しかしプロは慣れているので平気です。むしろ散らかったままの状態込みで査定してくれ、片付いた後はそれだけ評価アップ余地があるとも言えます。査定は無料がほとんどですから、遠慮なく早期に依頼して情報収集することが最短ルートです。
売り方を比較して決める|現況売り・片付け後売り・更地売り・買取の違い
実家の売却にはいくつか売り方があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、比較検討して自分達に合った方法を選びましょう。主な売り方は以下です。
- 現況売り(ありのまま売却)
家財や設備も基本そのまま現状有姿で売ります。片付けや修繕をしないため手間と費用は最小です。ただし買主にはマイナス印象で、価格交渉で不利になりやすいです。築古で解体前提の物件はこの形で土地値売りすることも多いです。
- 片付け後売り
不要物を全て撤去し空家状態で売ります。簡単な清掃や庭木整備もしておけば、買主がすぐ使えるイメージを持ちやすくなります。中古住宅の一般的売却スタイルで、市場で幅広く買主を探せます。手間費用は多少かかりますが高値で売れる期待があります。
- 更地売り
建物を解体し更地にしてから売ります。古家に価値がなく土地需要が高い場合、これが最も高値で処分できる方法です。ただ解体費を先に負担する必要があり、買い手がすぐ付かないリスクや、更地にするデメリット(税金増など)があります。また、長期化した場合は翌年度の固定資産税が跳ね上がる事があるので、実家を取り壊すタイミングは慎重に選ばないといけません。
- 買取
不動産会社や買取専門業者に直接買い取ってもらいます。仲介を介さず一社にまとめて売るのでスピード重視なら有効です。荷物が残っていても「そのままでOK」という業者もあります(価格には反映されます)。ただし買取価格は市場価格の7~8割程度が多く、早さと引き換えに安くなるのがデメリットです。
- その他の活用
売却以外に、リフォームして賃貸、親族や知人に貸す、自治体の空き家バンクに登録する、といった道もあります。ただ現金化は遅れ、管理の手間やリスクが続くため、本当にその覚悟があるか検討が必要です。
どれがベストかは物件状況と家族の意向次第です。査定時に不動産会社に「どの売り方が向いているか」意見を求めると参考になります。例えば「再建築不可なので建物付きのまま使う人向けに売るしかない」「更地にすれば新築用地として高く売れる」など具体的に教えてくれます。
比較に当たっては、最終手取り額とかかる期間を一覧にすると分かりやすいです。例えば買取なら1ヶ月以内現金化だが◯◯万円、仲介なら半年かかるが◯◯万円、という具合です。家族で「多少安くても早く終わらせたい」か「時間かかっても1円でも高く売りたい」か意見を揃えましょう。
重要なのは、一度方向を決めたら腹をくくることです。例えば仲介で数ヶ月売れないからとすぐ買取に走ると、大きく損することもあります(最初から買取ならもっと高く買ってくれたはず…となりがち)。もちろん状況次第で変更もありえますが、最初に全比較して決断することで迷いに伴うロスを減らせます。
売れにくい実家の特徴と対策|境界・接道・老朽化・再建築などを先に潰す
実家(特に古い戸建て)には、「売れにくい」要素を抱えていることがあります。なかなか売れず維持費だけかさむ原因です。思い当たる点があれば事前に対策し、スムーズな売却につなげましょう。典型的な売れにくさの要因と対策です。
- 境界不明
土地境界が曖昧だと買主は敬遠します。古くて測量図がない場合、売主側で測量を検討しましょう。境界杭設置と隣地承諾書取得までできればベスト。測量せず売る場合も、時間がかかる可能性があるので早めに動きます。
- 接道条件(再建築不可等)
道路接面が足りず再建築不可の土地などは一般に売れにくいです。これは法律条件なので根本解決は難しく、現状のまま買ってくれる人に売るしかありません。価格も相場の半値以下程度になるのが普通です。最初から「再建築不可」と明示し、現金購入者や業者向けに売る戦略になります。
- 老朽化・雨漏り等
屋根破損やシロアリ被害、雨漏り痕だらけの物件は個人には売りづらいです。対策は最低限の修繕をして「住める状態」にするか、いっそ更地前提で土地として売るかの二択です。修繕するなら買主に告知した上で現状渡しとし、できる範囲で直す。困難な場合は解体して更地売りを検討します。
- 無許可増改築
無許可の増築や違法建築部分がある家も売れにくいです。登記出来れば問題ないですが、そのままだと住宅ローン利用に支障が出るため、増築未登記部分を是正か登記するようにしましょう。
- 心理的瑕疵
事件・事故・自殺等があった家は告知義務があります。これは隠せませんので買主が限られます。相場より安くしないと売れず、専門の買取業者に買ってもらう選択もあります。
隠さずに告知してください⇒告知事項と説明義務を徹底解説:不動産取引の義務と期限
- 権利関係の複雑さ
相続登記未了や共有者多数などはスムーズな契約の妨げです。解決策は事前に名義整理することです。共有者が多ければ代表に集約・もしくは一人が取得する、抵当権は抹消する等、売り出す前にシンプルな権利状態にしておきます。
要するに、売れにくい要素は先に潰すのが基本です。「売れない=価値がない」で諦めず、何がネックかを分析し解決・緩和するアクションを取ります。これは不動産会社とも相談しながら進めると良いでしょう。時間や予算はありますが、直せるものは直し、用意できる書類は用意して、できる限り準備して売却に臨むのが「損しない」近道です。
書類が揃わない時の現実的な進め方|不足書類のリカバリー手順と注意点
実家じまいでは、いざ売却段階になって重要書類が見当たらないこともあります。典型は権利証(登記識別情報)、実印・印鑑証明、相続関連書類などです。こうした場合でも売却手続きを進める方法はありますが、通常より手間・費用・リスクが増すため注意が必要です。
- 権利証紛失
売却に本来必要な権利証を無くしていても、取引は可能です。司法書士が本人確認情報を作成する方法があります。ただし費用が5万円~6万円かかります。また買主が不安に思うかもしれないので、不動産会社から「問題なく取引できます」と説明してもらうことも大切です。
- 実印・印鑑証明の用意
売主全員の実印と印鑑証明(3ヶ月以内)が要ります。高齢の親で実印登録していない場合、新たに印鑑登録が必要です。認知症等で意思確認できない場合は成年後見人が必要になり大事になります。また相続人が海外在住で印鑑証明取れない場合、在外公館のサイン証明で代用します。必要書類を事前にリストアップし、不備なく用意しましょう。
- 相続関連書類不足
戸籍謄本が一部取れない(震災焼失等)場合、法定相続情報証明制度など別の証明方法もあります。遺産分割協議書がない場合は改めて協議書を作り全員から実印をもらう必要があります。昔の書類でも残っていれば活用できるので探します。
- 建築確認書類なし
古い家で確認申請書や検査済証がないことがあります。ローン利用に影響する場合もありますが、ないものは仕方ないので、不動産会社から金融機関に説明してもらいます。必要なら耐震診断を行うとか、「現況有姿で売却」と特約で対応します。
- 測量図なし
公図のみで境界不明瞭な場合、買主側で実測して引渡し後に確定するケースも。売主としては「面積増減があっても契約価格据え置き」と取り決めしておくと安心です。
このような不足書類のリカバリーは経験豊富な司法書士や不動産会社に指示を仰ぎながら進めるのが賢明です。自己判断で役所を回っても時間を浪費するだけですので、「◯◯がないがどう補う?」とプロに聞き、必要書類リストを再作成しましょう。場合によっては売買契約前に整わなくても、契約後引渡しまでに整備する条件付き契約にしてもらうことも可能です。
書類不足=売れないと諦める必要はありません。ただし通常より綱渡りになる分、慎重な対応が必要です。不足を補う手順にミスがないようチェックを重ね、買主にも誠意をもって説明し不安を取り除くよう努めましょう。
タイミングの正解|実家じまいは「誰が元気なうちに始めるか」で難易度が変わる
実家じまいの成功にはいつ始めるか(タイミング)も重要です。これは家族の健康状態やライフイベントと大いに関係します。経験上、実家じまいの難易度や負担は「誰が元気なうちに始めるか」で大きく変わります。
親が健在か、既に亡くなっているか。子世代の年齢や生活状況はどうか。それぞれでメリット・デメリットがあります。ここではタイミング別のポイントを解説します。
親が元気なうちに始めるメリット|意思確認・合意形成・手間削減が一気に進む
親(実家の持ち主)がまだ元気で判断力があるうちに実家じまいを始めると、多くのメリットがあります。
最大の利点は親の意思を直接確認できることです。実家をどう処分したいか、残す思い出や譲りたい品は何か、親本人の希望を聞けます。親が健在なら子世代も「親のため」という共通目的を持ちやすく合意形成が進みます。親の希望通りに進めれば兄弟間でもめにくいでしょう。
また、親自身が片付けに参加できるのも大きいです。自分の持ち物を自分で仕分けできるのは親にとっても気持ちの整理になりますし、子にとっても何が大事かわかりやすいです。「これは残して」「それは処分でいい」など指示をもらいながら進めれば、誤って大事な物を捨てるリスクも減ります。実際、親が健在なうちに一緒に遺品整理を進めたケースでは、その後の相続や売却が非常にスムーズだったという例が多いです。
さらに親が元気なら名義変更等の手続きも容易です。親名義のまま売却すれば所有者本人が健在なので意思確認も簡単ですし、印鑑証明の取得も問題ありません。認知症になると後見人選任など手続きが大変ですが、元気ならそれも不要です。
金銭面でも、親が売主なら売却益を親の介護資金等に充てられますし、税務も相続後よりシンプルな場合があります(親自身の自宅売却なら3,000万控除などの特例も使いやすい)。
何より心理的負担が軽いです。親子で“終活”として協力して進めれば悲壮感なく前向きにできます。親にとっても自分の死後の不安を残さずに済み、子にとっても「親の家を勝手に片付ける」という罪悪感を持たなくて済みます。
このように親がしっかりしている段階での実家じまいには非常に大きなメリットがあります。理想を言えば親が70代前半くらいまでに方向性を決め始めるのが良いでしょう。「まだ早いかな?」くらいでちょうどです。
相続後に始める場合の注意点|名義・共有・税金・売却期限の論点を押さえる
親が亡くなった相続発生後に実家じまいを始める場合、注意すべき論点がいくつかあります。親がいない分前節のようなメリットはなくなりますが、それなりの進め方があります。
まず名義の問題です。親死亡後に実家を相続すると、(法定相続とすれば)所有者は相続人全員の共有となります。そのため売却など重要判断は共有者全員の同意が必要です。兄弟で意見が割れると進みません。相続後に始める場合は遺産分割協議で誰が実家を相続するか決めるのがスタートです。一人の単独所有にすればその人が売却手続きできます。共有のままだと売りにくいので、できれば共有解消した方がよいです。
次に税金面です。親から相続した家を売る場合、前述の3,000万円特別控除(相続空き家特例)が使えるかがポイント。適用には相続開始から3年以内に売却すること等の条件があります。うっかり3年過ぎる(3年が属する年の12月31日まで)と大きな税負担が発生するので、相続後は早めに売るか否か決める必要があります。
相続登記の義務化(2024年~)にも注意です。相続登記が義務となり、相続開始後3年以内に登記しないと過料の可能性があります。登記せず放置すると余計な罰金リスクです。売却するにしても登記は必要なので、早めに相続人への名義変更を行いましょう。特に親死亡後さらに相続人が亡くなると権利関係が複雑化します。相続後は一気呵成に片付けと売却まで進めるくらいの気持ちが吉です。
相続後ケースでは、親の意思が分からないため兄弟で軋轢が生じやすいです。それゆえ誰か一人が暴走しないよう慎重さも必要ですが、期限も意識してバランスよく進めましょう。

空き家化した瞬間からコストが発生する|維持管理・劣化・近隣リスクを理解する
親が施設入居して家が空いた、相続したが放置している、といった空き家化した段階から、さまざまなコストとリスクが発生し始めます。これを理解しておくと、実家じまい開始のタイミングを先延ばしにするデメリットが実感できます。
まず維持管理コストです。空き家でも所有者として定期管理する責任があります。庭の草取り、郵便回収、換気、雨漏りチェックなど放置はできません。自分でできない場合、空き家管理サービスに月1回頼むと月2~3万円かかることもあります。年間数十万円の出費です。また電気・水道基本料金もかかり、火災保険も継続しておかないといざという時困ります。空き家は放置するだけでお金が出ていくものと認識しましょう。
次に劣化の進行です。人が住まない家は傷むのが早いです。換気しないと湿気でカビ発生、害虫も増えます。排水管の水が蒸発し悪臭や虫が上がる、トイレの封水切れで臭気が出る等も。木造なら風通ししないと柱や畳が腐り、屋根漏りに気づかず屋根裏が朽ちることも。劣化が進めば修復費用が増え、売却価格にも響きます。空き家になった瞬間から家の価値は下がり始めるくらいに考え、早めに対処すべきです。
そして、近隣へのリスクです。空き家放置は治安や景観に悪影響を及ぼします。無人だと不審者が入りやすく放火も懸念され、雑草・ゴミで周囲に迷惑、害虫・悪臭も広がります。老朽化で瓦や塀が落ちて事故になれば所有者責任が問われます。さらに、管理不全空き家に指定されれば住宅用地特例が解除され固定資産税が6倍になることもあります。つまり空き家放置は金銭的にも社会的にも大きなリスクです。
以上から、実家が空き家になったら一刻も早く次の手を打つのが賢明です。誰かが住むなら入居させ、売るなら迅速に売り出す。施設入居等で親が戻らないとわかった時点で、猶予はあまりありません。「とりあえず様子見」はコスト増でしかありません。空き家化したら速やかに実家じまいを始めるのが正解です。
家族のライフイベントと合わせる|転勤・介護・施設入居・相続発生の前後で考える
実家じまい開始のタイミングを考える際、家族のライフイベントに合わせるという視点も重要です。大きなイベントの前後は気持ちや状況に区切りがつくため行動しやすいものです。その節目を逃さず活用しましょう。
例えば、親の介護が必要になった時です。親が施設入所や子との同居介護で家が空く場合があります。これを機に実家じまいを始めれば、親も健在で意思確認できますし、施設費用捻出のため売却を急ぐという動機も明確です。介護で忙しいさなかですが、その忙しさが「二重に家を管理する余裕はない」という決断を後押しすることもあります。
転勤や引越しもきっかけになります。相続人の子が遠方に転勤する、あるいは定年で地元に戻る予定があるなどライフスタイル変化時がチャンスです。例えば、長男が数年後海外赴任ならその前に整理まで終わらせよう、逆に定年で戻るならそのタイミングでゆっくり整理しよう等、計画を立てやすいです。家族自身の都合に合わせてしまうのも合理的です。
相続発生直後はある意味最も動きやすい時期です。葬儀や諸手続きで親族が集まり頻繁に連絡を取る中、「この機会に実家の整理もしてしまおう」となるケースは多いです。実際、葬儀後忌明けまでに兄弟総出で片付けたという例もあります。ただ喪失感で心情的に辛い時期でもあるので無理は禁物です。四十九日などひと段落してからでも構いません。相続税申告まで10ヶ月という期限もあるので、それまでに売却するか方向づけするイメージで動くと良いです。
子どもの独立や結婚なども微妙に影響します。実家を処分すると決めたが孫が進学で地元に来て数年住むからその後に、とか、自身の住宅ローン返済が終わったタイミングで余裕ができたので親の家に目を向け始める等、色々考えられます。各家庭で状況は異なりますが、「ついで」があると動きやすいのは確かです。
要は実家じまいを自分達の人生プランの中に位置付けることです。先送りせず、「○年後△△が終わったら着手」と目標を明示するだけでも違います。その時が来たら必ず話し合いを始める、と皆で決めておけば、ズルズル何十年も放置したという失敗を防げます。
よくあるトラブルと回避策|実家じまいで詰まりやすいポイントはだいたい決まっている
実家じまいは長丁場ゆえ、途中でトラブルに遭うこともあります。しかし、その多くは過去の事例からパターンが決まっています。つまり、事前に心構えと対策をしておけば未然防止や軽減ができるのです。
ここでは実家じまいでよくあるトラブルとその回避策を5つ取り上げます。これらを押さえれば、いざという時慌てずに済むでしょう。
兄弟で方針が割れる|合意形成の型と“決める順番”で防ぐ
兄弟姉妹で意見が対立するのは実家じまいの典型的トラブルです。例えば「長男は売却希望だが長女は残したい」「売却代金の分け方で揉める」などです。これを防ぐには、冒頭でも述べた合意形成の型をしっかり作ることが重要です。
最初に決める順番を皆で合意しておきます。いきなり細部を議論せず、①実家を処分するかどうか→②処分方法(売却・賃貸・保有etc)→③売却ならいつ頃か…というように段階的に決めます。一気に全て決めようとすると対立が深刻化しますが、順を追えば折り合いやすくなります。
また多数決などのルールも事前に決めます。全会一致が理想ですが難しい場合、「○人中×人賛成なら決定」等ルールを設けます(法的には共有者一人でも反対すれば売却できませんが、話し合い上の取り決めです)。あるいは「最終的には専門家の提案に従う」など決め方を決めておくと、決裂を避けやすいです。
さらに相手の感情への理解も大切です。反対する兄弟にも何か理由があります。それを無視すると溝が深まります。「思い出の実家を手放すのは寂しいよね」など共感を示しつつ、それでも現実問題こうしようと提案する方が建設的です。合意形成には時間をかける価値があります。焦って進めると禍根を残すので、揉めそうなことほど丁寧に対処しましょう。
権利関係が複雑になる|共有・未登記・相続登記・抵当権などの整理
法的な権利関係が複雑なのも実家じまいで直面しがちな問題です。例えば祖父名義のままの土地だった、兄弟共有で意見がまとまらない、昔の抵当権が残ったまま等です。これらは専門家と相談しながら淡々と整理していくしかありません。
まず共有状態ですが、繰り返しになりますが共有のままでは何事も全員同意が必要で面倒です。理想は誰か一人に単独名義化することです。解決策として、他の相続人から持分を買い取る、他の遺産と交換する、一旦法定相続分で登記後に持分贈与する、などがあります。いずれも話し合いと登記手続きが必要なので、司法書士や税理士と協力し進めます。
未登記建物は市役所の課税台帳等で所有者を確認し、売却までに登記できるならしておきます。昭和期以前の田舎には未登記の家が結構ありますが、買主の融資に影響するので、可能なら売却前に表題登記・所有権保存登記をして名義を整えてから売る方が望ましいです。
抵当権抹消忘れは、融資先や保証協会に連絡して解除書類を発行してもらいます。古い住宅ローンが完済済なのに抵当が残っているケースです。銀行が合併で無くなっている場合も、承継先に問い合わせれば手続きできます。どうしても抹消できない抵当権は、買主に事情説明し、抹消条件付き契約とするなど慎重に扱います。
相続登記未了は、2024年以降義務化されますが、昔の不動産では何代も名義が変わっていないことがあります。これは司法書士から見ると「一番大変な部類」で、例えば祖父死亡で子5人共有→父死亡で孫3人共有…など2段階以上だと関係者が膨大です。それでも順番に戸籍収集し相続関係を証明して登記していくしかなく、かなりの労力を要します。時間がかかるのを見込んで早期に着手する必要があります。
以上のような複雑な権利関係は、個人で抱え込まず必ず専門家(司法書士等)の力を借りましょう。費用はかかりますが、自力解決は困難ですしミスれば損失が大きいです。プロに任せれば着実に前進しますし、自分達は片付け等他のことに専念できます。ポイントは「怪しい問題は早めに表面化させて対策する」ことです。売却直前に発覚してバタバタしないよう、最初に洗い出しておくことでトラブル回避につながります。
境界不明や近隣トラブルを避ける|測量の要否と先に確認すべきこと
土地の境界問題や近隣とのトラブルも実家じまいで起こりがちな厄介事です。これもできるだけ先手を打ちたいところです。
境界については既に述べましたが、測量の要否を判断することが重要です。売却前に測量図がなければ、境界杭が明確であっても買主の購入条件等で求められる場合が多く、ほぼ測量しておいた方が有利です。隣地と揉めそうなら早期に土地家屋調査士を交え境界確認し公的な記録を残したいです。
境界関連でもう一つは越境物の確認です。隣の塀が自分の土地に入っている、こちらの樹木がはみ出しているなどです。これらは売却前に解消しないと揉めます。塀なら双方話し合いで移設するか、越境部分を含め売買する特約にするなどします。樹木は切れば解決ですが無断だと逆にトラブルですので必ず相談してから処置します。境界標がなければ昔の杭や図面を探す等、現況をよく調べましょう。
近隣トラブルでは、ごみ屋敷状態の清掃でゴミが飛散しクレームになったとか、解体工事の騒音粉塵で苦情という例があります。これは事前挨拶と丁寧な対応でほとんど防げます。片付けでトラック出入りするなら「○日に作業します、ご迷惑おかけします」と一言ご近所に伝えておきます。解体なら着工前に両隣向かいに粗品を持って挨拶は必須です(最近は解体業者が一緒に回ってくれます)。また養生シートの徹底等粉塵騒音対策もチェックし、苦情が出ないよう施工者に依頼します。
他に多いのは境界上の工作物です。例えば「お宅との境のブロック塀はどちら所有?」とか「隣の勝手口階段が少し越境している」などです。こうした微妙なものは売却前に現況確認してメモし、契約書特記事項で「境界上のブロック塀は共有と認識」や「越境物あり双方承諾済み」など明記すると後の紛争を防げます。
つまり、先に確認すべきことを洗い出し対処するのが肝心です。土地家屋調査士や不動産会社はその道のプロなので、境界や近隣リスクを事前に洗ってもらうと安心です。
片付け業者のトラブルを防ぐ|契約・追加費用・処分方法・貴重品対応の確認
片付け・不用品処分を業者に頼む際、業者とのトラブルもあり得ます。例えば「見積もりと違う高額請求をされた」「勝手に残したかった物まで捨てられた」「業者が不法投棄してトラブルになった」等です。これらを防ぐには業者選定と契約時の確認が大切です。
まず契約書を交わすことです。口約束だけで日程・料金を決めると後で言った言わないになります。必ず見積書兼契約書を作成してもらい、料金内訳・作業範囲・追加料金条件など書面で確認します。契約書を出し渋る業者なら避けるべきです。
追加費用については念入りに確認します。「当日量が増えたら?」「想定外の大型物が出たら?」等細かく質問し、曖昧な返答しかないなら危険信号です。特に「トラック積み放題プラン」は、実際はみ出すと「追加トラック要」と言われることも。事前に荷物量を写真等で伝え、見積段階でしっかり把握してもらいましょう。
処分方法も重要です。法律では業者が家庭ごみを運ぶには許可が必要です。許可番号を持っているか確認しましょう。最終処分先を聞いてみても良いです。答えを濁すなら違法処分の恐れがあります。また仏壇・位牌・人形等を処分する際の供養対応も確認します。できない業者なら自分で寺に依頼が必要です。
貴重品対応もトラブルになりがちです。処分品から現金が出た時、ちゃんと渡してくれるか。信頼できる業者は契約時に「貴重品出ましたらお返しします」と説明があります。心配なら作業前に「お金など出たら教えてください」と一言伝えておきましょう。逆に任せきりだと、重要書類や写真まで処分されてしまう恐れも。事前に残す物を指示し、「この箱は触らないで」などハッキリ伝えましょう。
最後に作業日当日は可能なら立ち会いましょう。遠方で無理ならビデオ通話で進捗を確認する等、リアルタイムで状況を把握できるようにします。完了後は家中をチェックし、約束通り作業がなされたか確認してから料金を支払います。
信頼できる業者を選べばこうしたトラブルはまず起きませんが、念には念を入れて確認リストを作り、一つずつ潰していくと安心です。
売却が進まず費用だけ増える|販売戦略・価格調整・買取判断の目安
最後によくあるのが、売却が長引いてしまうトラブルです。なかなか売れず維持費だけかさんでいく状態です。これを避けるには、販売戦略と価格設定の見直し、そして必要なら買取への切り替え判断がポイントです。
一般には3~6ヶ月売れなければ販売戦略の見直しが必要です。不動産会社と定期的に打ち合わせ、問い合わせ件数や内覧者の感想を共有してもらいましょう。多いのは「価格が高い」「広告露出不足」「家の魅力が伝わらない」等です。対策としてまず価格調整が挙がります。思い切って数百万円下げたら急に反響が増え売れた、というのはよくあります。特に空き家維持費が毎月かかるなら、1年粘るより半年で値下げ売却した方がトータル得なこともあります。
売却から半年売れてなかったらコチラを⇒不動産が「売れない」—半年・1年停滞から最短で売り切る実務対処法
価格以外では写真の改善、ホームステージング(家具小物で演出)、リフォーム提案付き販売(リフォームプランを示して売る)などを検討します。また媒介契約を一般から専任に変更して、不動産会社に重点的に動いてもらうのも効果があります。場合によっては担当会社を変えることも視野ですが、その際は前任者に感謝を伝え円満に終了しましょう(情報共有などで協力してもらえる場合も)。
それでも売れない場合、買取を考えるタイミングです。目安として、半年以上~1年売れなければ市場価格と乖離しているか特殊事情ありと判断されます。そのままでは更なる値下げか売れ残りリスクなので、買取業者に相談してみましょう。大手仲介会社で「買取保証」を打ち出している所もあります。提示額が納得できる範囲なら、長引くストレスを断つため買取を選ぶのも賢明です。
ただし買取額は仲介の6~7掛けが多く、スピードとのトレードオフです。目安として1年で維持費50万円かかるなら、それ以上値下げするくらいなら早期買取した方が合理的とも言えます。
要は、状況を放置しないことです。定期的に戦略を見直し軌道修正する。そしてどこかで決断する。売れないストレスは大きいですが、打つ手はあります。不動産会社と二人三脚で解決策を探っていきましょう。
FAQ|実家じまいの費用・手順・売却でよくある質問
最後に、実家じまいに関するよくある質問とその回答をまとめます。疑問を解消し、安心して実家じまいに取り組む参考にしてください。
Q1. 実家じまいの総額は結局いくら見ておけばよい?
A: ケースバイケースですが、一戸建て実家じまいでは50~300万円程度かかることが多いです。ただ幅が広く、条件次第です。主な内訳は片付け処分費、修繕・整備費、売却時諸費用(仲介手数料等)、解体費、税金などです。
例を挙げると、
- 親健在で自力片付けし、中古戸建として売ったケース
片付け5万円、売却費用70万円(売価2,000万円の場合)、合計約75万円。
- 相続後、業者一括片付けし実家を解体して売ったケース
片付け30万円、解体150万円、諸費用50万円、合計約230万円。
もちろん売却代金から賄えるので最終的な手取り額が重要です。例えば後者は売価2,000万-費用230万=1,770万円が手元に残ります。逆に費用を惜しんで50万で済ませても、売却価格が低ければ手取り減で本末転倒です。
つまり「総額いくら」というより「各費用にいくらかけるか」の戦略次第です。ざっくり目安は解体しないなら100万円前後、解体するなら200万円超を用意する覚悟です。少し多めに見積もり、余ればラッキーくらいで計画すると予算オーバーしにくいです。
Q2. 片付けはどこまでやれば売却に有利で、最低ラインは?
A: 基本は家の中の生活用品・ゴミは全て撤去するのが理想です。家具家電も含め空っぽに近ければ、内覧時に広さや状態を確認しやすく、匂いや汚れもなく印象が良いです。最低ラインとしては床が見える程度には片付けてください。足の踏み場がないようでは、売却は難しいでしょう。
ただ有利かはケースによります。築浅できれいな家具があれば、全部捨てず少し残してモデルルーム的に演出する方が効果的なこともあります。最低限生活ゴミや個人情報書類などはゼロにして、清潔な空間にすることが重要です。
まとめると、最低ラインは「ゴミ皆無、最低限の家具以外撤去」、ベストは「完全空室&簡易清掃済み」です。時間や体力と相談し、目指すラインを決めましょう。
Q3. 解体して更地にした方が高く売れるのか、判断基準は?
A: 解体更地にした方が、買い手が付きやすく価格が上がる場合は多いですが、解体費用とのバランスで判断します。ポイントは以下です。
- 建物の価値
築古で建物価値がほぼないなら、更地にして土地として売った方が高値になりやすいです。逆に築浅でリフォーム次第で使える家なら壊す必要はないでしょう。
- 需要
その地域の需要次第です。新築用地需要が高いエリアなら更地有利、古民家需要やリフォーム需要があるなら建物付きでも売れます。不動産会社の査定で「現状で○万、更地で○万」と提示してもらい、差額が解体費を上回るか確認しましょう。
- 再建築可否
再建築不可の土地は建物を残さないと価値ゼロになるケースがあります。そういう場合は解体しない方が良いです。
- 資金計画
解体費を先に用意できるかも現実的判断材料です。準備できないなら、古家付きのまま売却し「引渡しまでに売主負担で解体する」特約にする手もあります(ただ金融機関ローン絡みで調整が必要な場合があります)。
- 時間
解体に1ヶ月程要します。売却を急ぐなら時間ロスです。また更地にすると固定資産税増になるデメリットもあります。長期戦OKかも考慮します。
要するに「解体費用に見合う売価アップが見込めるか」が目安です。もう一つは「買い手層の広がり」で、古家付きだと限られるが更地なら幅広く募集できるという面もあります。最終的には不動産会社のアドバイスとご家族の方針で決めることになるでしょう。
Q4. 遠方で立ち会えない場合、どう進めるのが安全?
A: 遠方在住で頻繁に現地に行けない場合、信頼できる代理人や業者に任せることが鍵です。具体的には
- 不用品処分はフルサービス業者に
自分で通えないなら、一括片付けしてくれる遺品整理業者や大手回収業者に依頼します。見積もりはオンラインで家の中を見せて相談もできます。当日立ち会えなくても、指示書を詳細に作成し、作業後写真報告をもらうようにします。
- 不動産会社に鍵を預ける
売却を現地の不動産会社に依頼し鍵を預ければ、内覧対応や定期換気も任せられます。最近は空き家管理サービスを行う会社もあります(月額費用はかかりますが安全安心を買えます)。また内覧時の説明も不動産会社が代わりにきちんとしてくれます。
- 近隣の協力者に頼む
ご近所に親しい方がいれば、様子見や郵便物回収をお願いできるかもしれません(もちろんお礼必須)。人の目があると防犯上も違います。ただし負担になりすぎないよう依頼内容は限定的に。
- WEB会議やチャット活用
遠隔でもビデオ通話で現地の様子を共有できます。片付け業者がスマホで映しながら説明することもあります。不動産会社ともメールやチャットで密に連絡し、契約書類は郵送対応も可能です。
- 最小限の帰省計画
どうしても必要な契約・引渡し時などは休暇を取り帰省しますが、一度の帰省で複数用件を済ませるようにします。例えば週末+有給で3日取り、片付けと役所手続きを一気に片付ける等。交通費はかかりますが、長引いて何度も行くより効率的です。
要は現地に行かずとも回る仕組みを考えることです。無理に全部自分でやろうとせず、費用を払ってでもプロに任せれば心労は軽減します。ただ完全お任せではなく、逐次報告を受けチェックする体制は取りましょう。リモートでも工夫次第で十分安全に進められます。
Q5. 相続後に売るとき、税金で注意すべきポイントは?
A: 相続後に実家を売却する際の税金面では、主に譲渡所得税と相続税特例に注意が必要です。
まず親から相続した家を売った際の譲渡所得税ですが、基本的に通常の不動産売却と同じく利益に約20%課税されます。ただ親が長年所有していた場合、所有期間5年超の長期譲渡となり税率約20%です(5年以下だと39%ですが相続では普通長期譲渡になる事が多い)。
大きなポイントは被相続人(親)が住んでいた家を相続し売却する場合の3,000万円特別控除(相続空き家特例)です。相続開始から3年以内に売れば譲渡益から最大3,000万円控除できます。いくつか条件がありますが、多くが当てはまるケースが多いです(例えば親が一人暮らしだった実家で土地300㎡以下等)。この特例で譲渡税ゼロになるケースもありますので、期限内(3年以内)の売却を是非検討してください。
また相続税との関連では取得費加算の特例があります。相続税を納めた場合、その税額の一部を譲渡所得計算上取得費に加算できます。これも相続から3年以内の売却が条件です。相続税を払った方はこの特例で譲渡益を圧縮できるか確認し、必要なら早めに売却するとよいです。
その他、売却した翌年に確定申告が必要です。特例適用にも申告が必須です。また相続で取得した不動産の取得費は親の購入額や経年減価償却で計算しますが、古いと不明なことも多いです。その場合売価の5%を取得費とするルールがありますが、特例で非課税にできればあまり問題になりません。
要するに、相続後は早く売るほど税優遇が大きいということです。3年を過ぎると上述特例が使えず、譲渡益に丸々課税されます。ですから「税金が心配だから様子を見る」は逆効果で、むしろ早期売却した方が、税負担が軽くなる場合が多いのです。税理士や不動産会社に確認し、賢く特例を活用してください。
Q6. まず誰に相談すべきか|不用品回収・遺品整理・不動産会社の使い分け
A: 実家じまいは関わる専門家が多く「最初どこに相談すれば?」と悩む方が多いですが、結論は全体を見渡せる不動産会社にまず相談するのが効率的です。その上で遺品整理業者等の紹介を受ける流れが良いでしょう。
不用品回収や遺品整理は片付け部分のプロですが、家そのものの価値や売り方は専門外です。一方不動産会社は家の処分のプロです。しかも最近は相続空き家相談ニーズが増え、片付け業者とのネットワークや過去事例知見を持つ会社も多いです。相談すれば「まず○○から始めましょう」「その地域なら解体しなくても売れます」「信頼できる処分業者紹介します」など総合的アドバイスをくれるでしょう。
使い分けは、
- 不動産会社
全体計画相談、売却査定、必要業者紹介、名義権利相談窓口。まずここ。
- 遺品整理業者
故人遺品を丁寧に整理したい時に。仕分け・供養対応など強み。
- 不用品回収業者
主にゴミ処分目的に。速さと手軽さが売り。
- 解体業者
解体を決めた後に依頼。見積もり・工事日程等相談。
- 司法書士
名義変更や登記関係を進める際に。不動産会社経由紹介がスムーズ。
- 税理士
相続税や譲渡税の相談に。同じく紹介を受けると良いです。
順番として、不動産会社に方針相談した上で、必要に応じ片付け業者に相見積りを取るのがおすすめです。先に業者に片付け依頼してから不動産屋に行くと、「そこまで処分しなくても良かったのに」となる恐れもあります。
もちろん不動産会社にも得意不得意があります。実家じまいの相談に乗ってくれそうな会社を選ぶことが大切です。地域の不動産屋や大手でも相続空き家相談に力を入れている所を探しましょう。無料相談を設けている所もあります。最初の一歩は勇気が要りますが、プロに話すと視界が開けます。一人で抱え込まず遠慮なく相談してみてください。
まとめ|実家じまいは“手取り逆算”が最短ルート、処分は仲介売却で後悔を減らす
ここまで長文となりましたが、最後に要点をまとめます。実家じまい成功のキーワードは「順番」「手取り逆算」「早期決定」の3つでした。そして家の処分方法としては仲介売却を軸に検討するのが後悔を減らすポイントでした。
費用を抑える鍵は「順番」と「出口の早期決定」
実家じまいで余計な費用をかけずスムーズに進めるには、
- 適切な順番で物事を進めること
- 出口(処分方法)を早期に決めることが重要でした。
順番は「家族合意→名義確認→片付け→権利整理→売却→清算」の流れを踏み外さないことです。特に片付けと売却相談の順序を間違えず、迷ったら早めに査定を取りプロの意見を仰ぐことで手戻りを防げます。
出口の早期決定とは、実家を売るのか貸すのか残すのかを家族で早期に方針合意することでした。これが決まらないと片付けレベルや修繕要否で迷走します。早めに決めれば後の判断基準が明確になります。途中で方針が揺れると無駄が増えるので、最初にしっかり議論し仮決めでも決めきることです。
また「どこにお金をかけ、どこを省くか」もポイントでした。手取り額から逆算する癖をつけ、費用対効果の低いことにはお金を使わない。その代わり必要な所には順番通り適切に投じる。例えば測量が必要なら費用を出す、不要なら省くという判断です。全判断軸は「最終的な手元残金を最大化するには?」という発想で統一できます。
片付け・売却・解体を一本化してムダを減らす考え方
実家じまいの各フェーズは連動しています。片付け・売却・解体など個別に考えると複雑ですが、ゴール(家をどう処分するか)から逆算すれば一本の線で繋がります。この一本化思考がムダを減らしました。
例えば「老朽家屋を解体して更地売却する」方針なら、片付けは必要最低限に留め解体費に回す、といった全体最適が図れます。「現状のまま業者買取してもらう」なら片付け費をかけず現状渡し交渉に注力する。「キレイにして一般に売る」なら片付け・清掃に注力し解体費は不要にする…という具合です。全てを同時並行で考えることで無駄が見えてきます。
特に、費用の大きい解体と片付けは売却戦略とセットで考えるべきです。例えば「解体前提なら残置物は解体業者処分でOKだから片付け最小限」とすれば片付け費用節約になります(ただし業者見積もりで割高になるならやはり事前処分しよう等判断が必要)。家全体を一つのプロジェクトと見なし、どこにお金と労力を配分するか決めるのがプロ的発想でした。
これを素人だけでやるのは難しいので、やはり不動産プロの助言を得るのが近道です。実家じまい相談に乗ってくれる不動産会社に依頼すれば、最短ルートの設計図を一緒に描いてくれるでしょう。その結果、お金も手間も無駄が減り、心身の負担も軽くなります。
以上まとめると、「正しい順番で、ゴールから逆算し、一貫した戦略で進める」ことが実家じまい成功の鍵です。これさえ押さえれば大抵の問題は乗り越えられるはずです。
松屋不動産販売 代表取締役・佐伯慶智からの提案|実家の処分は仲介売却で価値を最大化する
最後に、不動産のプロからのメッセージと提案をお届けします。松屋不動産販売 代表取締役・佐伯慶智より、実家処分の際に押さえるべきポイントと、当社にご相談いただくメリットについてお伝えします。
実家じまいで最も差が出るのは「売り方」|手取りと期間を左右する
実家じまいはやることが多岐にわたり大変ですが、中でも一番結果に差が出るのは「不動産の売り方」だと感じます。同じ物件でも、売り方次第で手取り額が数百万円規模で変わることがあります。また処分完了までの期間も売り方によって大きく異なります。
例えば、私共の経験でも、安易に業者買取に出して数百万円損したケースや、逆にじっくり仲介で売り出して想定以上の高値がついたケースなど様々見てきました。特に親世代が長年住んだ実家は思い入れも強いでしょうから、できるだけ適正価格で、必要なら時間をかけても良い買い手を見つけてあげることが後悔を減らすポイントだと考えます。
仲介売却は確かに手間と時間がかかりますが、市場に幅広くアプローチできるため納得いく価格で売れる可能性が最も高い方法です。私たちはお客様の大切な資産である実家を、可能な限り価値を最大化する形で次の方へ引き継ぐお手伝いをしたいと考えています。そのためすぐに「買取で○○万円です」と決めつけず、市場調査と戦略立案に基づき最適な売却プランをご提案します。
実家じまいでは片付けや相続に目が行きがちですが、最後の「不動産処分」が実は一番インパクトがあります。ここを疎かにすると、全て終えた後で「もっと高く売れたのでは」「もっと早く売れば維持費が浮いたのに」と悔いが残りかねません。ですからぜひ売り方こそ慎重に比較検討していただきたいと思います。
松屋不動産販売に相談するメリット|整理の段取りと売却戦略を同時に設計できる
当社松屋不動産販売では、不動産売却だけでなく実家じまい全般のご相談を承っています。ご相談いただくメリットは、片付けから売却までワンストップで段取り設計できる点にあります。
私自身、多くの相続不動産や空き家売却をお手伝いしてきました。その中で実感するのは、片付け段階と売却段階を切り離さず考えることが成功のカギだということです。そこで当社では初回相談から「どこまで自分で片付けるか」「どんな業者を使うか」など具体策も一緒に考えます。
例えば「この地域は古家付きでも需要があるので無理に解体不要ですよ」とか「これくらいの物量なら提携の回収業者が格安でやれます」といった現場目線のアドバイスを差し上げます。
さらに当社にご依頼いただければ売却戦略と片付け計画を同時に最適化できます。例えば「早期売却を目指しましょう」となれば片付けもスピード優先で進め早々に売却にかかります。逆に「時間かかっても高値狙いましょう」なら無駄な出費を抑えつつ丁寧に整備して売却します。このように状況に応じ柔軟な進め方が可能です。
お客様からは「何から手を付けていいか分からなかったが、全て整理し段取り立ててもらえて助かった」「自分達だけでは片付けと売却をこんなに上手く連携できなかった」というお声をいただいています。実家じまいは一生に何度も経験するものではありません。ぜひプロの知恵とネットワークを活用してみてください。
無料相談で最初に確認すること|現況・権利・片付け・販売方針の優先順位づけ
松屋不動産販売では無料相談を随時受け付けております。初回相談では主に以下をヒアリングし、一緒に方針を考えます。
- 物件の現況
実家の所在地、築年、間取り、現状(空き家か居住中か、老朽度合いなど)をお聞きします。可能なら写真等を拝見できるとイメージしやすいです。
- 権利関係
名義人は誰か、相続発生済みなら相続人関係、共有者の有無、抵当権等を確認します。この時点で問題が見えれば早期に対処します。
- 片付け状況
家財の量、大型家具の有無、片付け済みか手付かずか、遠方か、作業人手はあるか等、お客様の負担感を把握します。
- ご希望やお悩み
売却希望価格や時期、「仏壇をどうする?」「隣地境界が不安」など悩みを何でも伺います。感情面のお話も大歓迎です。
- 優先順位づけ
以上を踏まえ「まずこれから始めましょう」「これは後回しOK」といった優先順位を整理します。例えば「最優先で名義変更しましょう。その間に片付け計画を立てましょう」「境界は問題なさそうなので測量は不要ですね」など初期方針を一緒に決めます。

私どもが大切にしているのはお客様の不安を一つずつ取り除くことです。「こんな事聞いていいのかな?」ということも遠慮なくお話しください。実家じまいには様々な感情が絡むものです。それをしっかり受け止めつつ、しかし着実に前に進めるお手伝いをいたします。
最終的に実家を売るにせよ残すにせよ、「相談して良かった」と思っていただけるよう尽力いたします。初回相談で売却を決める必要は全くありません。じっくり情報収集した上で、ご家族でご判断いただければと思います。
お気軽に松屋不動産販売までご連絡ください。実家じまいのプロとして皆様のお力になれるよう最善を尽くします。 まずは、お気軽にご相談ください。私たち専門家がお手伝いいたします。




