中東情勢と【ナフサショック】で読む住宅価格上昇時代の売買判断基準
「住宅価格の上昇はいつまで続くのだろう…」
「中東情勢やナフサショックが不動産売買にどう影響するのか分からない…」
住宅価格の上昇が続く今、その背景には中東情勢の緊迫とナフサショックによる建材価格の値上げがあります。ところが、ニュースでは断片的に語られることが多く、実際に住宅を買う人、売る人が何を基準に判断すべきかまでは見えにくいのが実情です。この記事では、住宅価格が上がる仕組みを整理したうえで、注文住宅・建売住宅・中古住宅への影響、不動産売買で注意すべき見積もりや予算、売却時の考え方までを分かりやすく解説します。状況に振り回されず、後悔のない判断をしたい方にこそ読んでいただきたい内容です。

監修者
松屋不動産販売株式会社
代表取締役 佐伯 慶智
住宅・不動産業界での豊富な経験を活かし、令和2年10月より松屋不動産販売株式会社にて活躍中。それ以前は、ナショナル住宅産業(現:パナソニックホームズ)で8年間、住友不動産販売で17年間(営業10年、管理職7年)従事。
目次
- 住宅価格上昇の背景は木材だけではない|今あらためて注目すべきナフサショック
- そもそもナフサとは何か|住宅に見えにくく入り込んでいる原材料を知る
- ナフサショックで住宅価格はどう上がるのか|建築費と見積もりの変化を読む
- これから家を買う人が失敗しないために|予算オーバーを防ぐ実務的な備え
- 住宅価格が上昇する局面で売主はどう動くべきか|売却戦略にも変化が出る
- 今後の見通しをどう読むか|政府発表と現場感覚を分けて考えることが大切
- 住宅価格に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ|住宅価格の上昇局面で大切なのは焦ることではなく情報を整理して動くこと
- 松屋不動産販売株式会社 代表取締役・佐伯慶智からの助言|住宅価格が読みにくい時代ほど不動産会社選びで差がつく
住宅価格上昇の背景は木材だけではない|今あらためて注目すべきナフサショック
住宅価格の上昇を考えるとき、木材や住宅設備だけに目を向けると判断を誤ります。中東情勢の緊迫でナフサの供給不安が強まり、断熱材・配管・塗料など石油化学系の建材価格が値上げ局面に入っています。背景を因数分解すると、買う側・売る側とも「何を基準に動くべきか」が見えやすくなり、不要な不安も減らせます。
ナフサって何?
ナフサを一言でいうと、石油化学製品の出発原料になる石油製品です。原油を蒸留したときに得られる軽い液体で、日本の石油化学では基礎原料として広く使われています。
これを工場で高温分解すると、エチレンやプロピレンなどがつくられます。そこから、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤、樹脂など多くの素材へつながっていきます。つまり、ナフサは建材そのものではありませんが、住宅に使う断熱材、配管、塗料、樹脂部材の上流にある原料だと理解すると分かりやすいです。
そのため、ナフサの供給が不安定になったり価格が上がったりすると、住宅関連資材のコストにも波及しやすくなります。なお、日本では石油化学用ナフサの輸入先として中東の比率が大きく、2024年はUAEだけで30.4%を占めています。
住宅価格が上がり続ける本当の理由
住宅価格は「土地+建物+諸費用」の合計ですが、足元で上昇圧力が強いのは建物部分です。材料費と工事費が同時に押し上げられるうえ、ナフサ由来資材の供給制約が“見積り前提”を揺らします。塗装分野では、供給制約とコスト高が重なり、シンナー等が70~80%上がった例や、小規模事業者が価格転嫁しにくい実態も報じられました。住宅でも同じで、見積もりの有効期限が短くなったり、材料の仮押さえが追加費用になったりして、「想定外」が起きやすくなります。だからこそ、判断軸は“相場観”より“条件確認”に置くのが安全です。
中東情勢の緊迫が建材価格に波及する仕組み
ナフサは原油を蒸留して得られる石油製品で、素材産業の入口にあたります。日本は原油の中東依存度が9割を超える構造にあり、輸送ルートが不安定になると「量」と「価格」の両面で揺れます。ナフサについても、中東からの輸入分に加え、中東由来原油を国内で精製して得る分が相当あると報じられています。さらにナフサは、分解されてエチレン等の基礎化学品になり、樹脂や塗料原料へつながるため、供給不安は建材価格の値上げや出荷調整として表面化しやすいのです。
ウッドショックとは違う今回の値上げの特徴
ウッドショックは「木」が主戦場でしたが、ナフサショックは住宅の“見えない部位”まで広く影響します。断熱材・塩ビ配管・塗料・接着剤などが同時に揺れると、代替が効きにくく、価格だけでなく納期も不安定になります。政府は必要量の確保を説明しつつも、供給の偏りや流通の目詰まりを認識しており、現場では局所的な不足が起き得ます。つまり今回は「お金を払えば解決」ではなく「手配できるか」が論点になりやすい。買主は価格だけでなく、工期・仕様変更のルールまで含めて判断しましょう。

出典:一般社団法人 日本建設業連合会>建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い(2026年3月版)より一部抜粋
2026年4月より各種メーカー等から資材・部材の値上げ通知が続々と届いています。

※値上げの割合は当社が独自にヒアリングした内容となります。
そもそもナフサとは何か|住宅に見えにくく入り込んでいる原材料を知る
ナフサショックを理解する近道は、「ナフサ=燃料」ではなく「素材の原料」だと捉えることです。ナフサは熱分解され、エチレン等の基礎化学品になり、樹脂・ゴム・塗料・接着剤へ姿を変えます。住宅に影響が出るのは、この“素材の連鎖”が広範囲で同時に揺れるためです。知らないままだと、見積もり増額の理由が見えず、交渉も難しくなります。
ナフサが住宅業界に無関係ではない理由
ナフサはガソリン等と同じく原油から得られますが、800℃超で分解され、プラスチックやゴム、塗料、接着剤の原料となる基礎化学品へ転換されます。石油化学工業協会も、ナフサがエチレン等へ作り替えられる工程を解説しています。つまり住宅の「壁の中」「床下」「接合部」に使う材料ほど、ナフサと距離が近くなります。仲介実務でも、こうした“材料の源流”を理解している購入希望者ほど、費用交渉がうまく、意思決定が速いと感じます。逆に言えば、源流が見えないままの値引き交渉は、関係を悪化させやすい点に注意が必要です。
断熱材・配管・塗料・接着剤・樹脂部材への影響
住宅で影響が出やすいのは、断熱材(発泡系)、塩ビ配管、塗料や希釈剤(シンナー)、コーキング材、接着剤、樹脂サッシ周り、住宅設備内部の樹脂部品などです。高断熱仕様や設備充実型ほど、結果としてナフサ由来の部材点数が増え、影響が出やすくなります。「木は確保できたのに、別の部材が足りない」という形で工程が止まると、職人手配も組み直しになります。だからこそ、どの資材が代替しやすいか、事前に建築会社へ確認する価値があります。見積もり段階で「影響を受けやすい資材リスト」を出してくれる会社は、総じて説明が丁寧です。
表に出にくい部材の値上げが総額を押し上げる理由
住宅の見積もりは「柱や屋根」だけで決まりません。むしろ断熱・防水・配管・塗装など、部材点数が多い領域ほど値上げの波が重なります。数千円~数万円の改定でも、それが複数項目に同時発生すれば総額は簡単に動きます。さらに供給不安が出ると、代替材への切替や再見積もりが起き、手戻りコストが積み上がります。ここで怖いのは、金額だけでなく「性能バランス」です。安さ優先の代替で断熱・防水の品質が落ちると、長期の維持費で逆転します。だから私は、短期の増額より“住み始めてからのコスト”まで含めて判断するよう勧めています。
ナフサショックで住宅価格はどう上がるのか|建築費と見積もりの変化を読む
ナフサショックの怖さは、値上げが一部の資材に留まらず、見積もりの作り方そのものを変えてしまう点です。材料単価の改定が頻発すると、有効期限が短くなり、追加費用や仕様変更の説明が増えます。買主側は「何が変動し得るのか」「どこまでが確定価格か」を先に把握し、判断を感情ではなく条件で行うことが大切です。売主側も、買い替え計画ならスケジュールに余裕を持つべき局面です。
建物本体価格より先に動きやすい費目とは
先に動きやすいのは、塗料・防水・接着など“化学系”の副資材です。理由は、ナフサ由来の基礎原料が広く使われ、供給制約が価格へ即反映されやすいからです。報道ではシンナー値上げが70~80%に達した例もあり、こうした単価改定は外壁塗装や内装仕上げ、外構工事にも波及します。建物本体価格の前に「細部が膨らむ」と理解し、見積もりのどの項目が変動しやすいかを最初に確認しましょう。私は、塗料・断熱・配管の3系統は必ず“変動リスク枠”として別管理するよう勧めています。
見積もりの一式表記が危険になる局面
資材価格が荒れる局面で一番危険なのは、見積もりが「一式」だらけになることです。一式は比較ができず、後から増額になっても根拠が見えにくい。上位記事でも、一式項目が多い見積もりは増額しやすいと注意喚起されています。私は依頼者に、①数量、②単価、③標準かオプションか、④変更時の協議ルールの4点だけは必ず揃えるよう勧めています。さらに、見積書の各項目が「どの図面・どの仕様書に対応するか」をひも付けると、打合せの迷子が減ります。加えて「一式を残すなら、上限と根拠」をセットで求めると、交渉が合理的になります。
値上げだけでなく工期遅延にも備えるべき理由
材料が届かないと、工事は「止める」しかありません。ナフサ不足は価格上昇だけでなく、生産・供給の不安定化を通じて納期遅延を招き得ます。実際、住宅設備や部材の納期が遅れ、着工や引き渡し時期に影響する可能性があると指摘されています。政府も供給の偏りや目詰まりを認識しているため、施主側は工程に余裕を持たせ、代替材の事前承認や仮住まい費用まで含めて計画するのが安全です。私は、引渡し希望日から逆算し、遅延した場合の“住まいの仮プラン”を用意しておくことも勧めます。加えて、住宅ローンの実行日がズレる場合の手続きも事前確認しておきましょう。
住宅の値上げは既に始まっている?
注文住宅を請負う工務店や住宅メーカー各社は、2026年4月1日以降の契約分について、原価ベースで70万円から100万円のコストアップを盛り込んでいるようです(当社ヒアリングによる)。
原価ベースなので、各社の利益を上乗せていくと1棟当たり見積額は100万円~150万円程度は値上がりしていく計算になります。また、今後更なる資材値上げや在庫不足・欠品など発生すると、完工・引渡しの遅延も起こる事が予想されます。最悪のケースとしては財務体質の弱い会社は倒産と言う事態も考えられますので、注文者・施主としては注意が必要です。家を建てる時期、会社選びは慎重におこなうようにしてください。
これから家を買う人が失敗しないために|予算オーバーを防ぐ実務的な備え
住宅価格の上昇局面で大切なのは「急ぐ」より「崩れない段取り」です。ナフサショックで建材価格が動くと、見積もり改定や仕様変更が起きやすくなります。買主は総予算の設計、契約条件の確認、比較の軸づくりを先に整えることで、予算オーバーや工期トラブルの確率を大きく下げられます。さらに、説明が曖昧な業者を早期にふるい落とせる点も実務上のメリットです。
総予算は建物価格ではなく着地額で考える
まず「建物だけ」の予算から離れてください。土地、諸費用、外構、家具家電まで含めた着地額で設計し、住宅ローンは“借りられる額”ではなく“返せる額”を基準にします。現在、住宅ローン金利は上昇基調にあります。金利が安いから借りられるだけ借りる時代は終わりました。余裕をもって返済ができるちょうど良い金額を借りるようにしてください。また、インフレ基調の中でのナフサショックともなれば、今まで以上に慎重にあらゆる金額を見直していく方が良いと思います。
私は、資材の値上げが続く局面ほど、当初予算に対して5~10%程度の予備費を最初から確保する設計が、後悔を減らすと考えます。ここを先に確保すると、仕様決めの途中で無理な削り方をせずに済みます。さらに、予備費の使い道を「資材高騰」「仮住まい」「外構増額」に分けておくと管理しやすいです。
家への憧れが強い方は、過去の記事をご覧いただき、一旦冷静に物事をすすめていくようにしましょう。
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契約前に必ず確認したい価格改定と仕様変更の条件
契約前に必ず確認したいのは、「いつ」「どんな条件で」「いくら」変わるのかです。資材高騰時は、契約後でも価格調整の協議が発生し得ます。請負契約書のなかには、価格変動への対応方針の確認や、値上げに関する特約(上限設定、リスク分担、通知義務、特定資材の価格固定など)などが記載されています。私の立場でも、口約束ではなく書面で“通知方法と協議期限”まで残すことが、トラブル予防の要だと考えます。さらに「代替材で同等性能を確保できるか」まで条件化できると、後から揉めにくくなります。私は、契約前に「値上げ通知の方法」「根拠資料の提示」「代替材の同等性」まで、お客様ご自身が具体的に確認するように勧めています。
比較すべきは見積総額よりも内訳と追加費用の出方
比較のコツは「総額」ではなく「内訳」と「追加費用の出方」です。資材の調達ルートや在庫、価格変動への方針は会社ごとに違い、同じ仕様でも見積もりの組み方が変わります。よって、複数社の見積もり比較と、資材費内訳・価格変動への対応・工期の柔軟性などの確認が推奨されています。比較条件(延床、断熱性能の目標、設備グレード)を揃えたうえで、説明の明確さまで含めて選ぶと失敗が減ります。私は、各社に同じ質問票を渡し、回答を“並べて読む”だけでも優劣が見えると実感しています。見積条件を揃えても説明が曖昧な会社は、追加費用の説明も曖昧になりやすいと見ています。
住宅価格が上昇する局面で売主はどう動くべきか|売却戦略にも変化が出る
住宅価格の上昇は、買主だけでなく売主の戦略も変えます。新築の建築費が上がるほど、中古住宅へ流れる需要は増えやすい一方、買主の目は「価格の妥当性」と「将来コスト」に向き、見る目が厳しくなります。売却では“相場の追い風”を前提にしすぎず、根拠ある価格設定と不安を潰す情報開示が重要です。私は、価格交渉の主導権は「情報の準備」で決まると考えます。
新築価格上昇が中古住宅市場に与える追い風
私は仲介の現場で、新築の見積もりが上がる局面ほど「中古で良い物件を押さえたい」という動きが強まるのを感じます。中東情勢が揺れると建材価格の値上げがニュースになり、買主は“今ある在庫(既存住宅)”に価値を見出しやすくなります。売主は、リフォーム履歴・設備年数・修繕計画を整理し、追加費用が出やすい箇所(外装、断熱、配管)を先に説明すると成約が早まります。相場の追い風は「安心材料の提示」で初めて利益になります。私は売却前に、修繕履歴を1枚にまとめるだけでも印象が変わると感じます。買主は「修繕はいつ・いくら」を知りたがるため、売主は先に説明しておくほど交渉が穏やかになります。
高く売れる物件と売れ残る物件の差はどこで広がるのか
差が広がるのは「見えないコストの説明力」です。たとえば断熱や配管など、ナフサ由来資材の影響を受けやすい部位は、買主が将来の修繕費を気にします。売れる物件は、点検(インスペクション)や修繕記録、雨漏り・配管更新などの要点が整理され、買主の不安を先回りして解消しています。売れ残る物件は、情報が曖昧で、結局は価格交渉が前提になりがちです。私は「情報の透明度=価格の強さ」だと考えます。加えて、売主が“把握していない不具合”が少ないほど、契約不適合責任のリスクも下げられます。最後は「安心の総量」で勝負が決まります。
相場上昇局面でも強気一辺倒が危険な理由
相場が上がると「もっと高く」と考えたくなりますが、強気一辺倒は危険です。市場が不安定な時ほど、買主は住宅ローン審査や将来の金利、追加工事費に敏感になり、少しの不確実性で検討を止めます。販売が長期化すると、結局は値下げで調整することになり、時間コストも増えます。私は、根拠のある査定、初動2~3週間で反響が出る価格設計、内覧時に不安を残さない説明、この3点を揃えて“短期決着”を狙う方が、手取りが残りやすいと見ています。
特に今は、買主の「追加費用を嫌う心理」を前提に設計するべきです。売主が主導権を持つには、強気ではなく“準備の厚み”が必要です。
今後の見通しをどう読むか|政府発表と現場感覚を分けて考えることが大切
今後を読むときは、「国全体として確保できる量」と「現場で欲しい製品が届くか」を分けて考える必要があります。政府は備蓄放出や代替調達で必要量を確保し、化学品は国内需要4か月分を確保と説明しています。一方で供給の偏りや流通の目詰まりは残る認識で、住宅関連でも局所的な不足や値上げが起き得ます。私の結論は、見通しの当てものより“備えの設計”を優先すべきという所になります。
必要量の確保と現場の安心は同じではない
「必要量は確保」と聞くと安心しがちですが、現場では品目ごと・地域ごとの偏りが問題になります。政府も、塗料用シンナーの供給不安について“どこで目詰まりが起きているか”確認中だと述べています。つまり、原料があっても物流や在庫配分で滞れば、施工側は調達できません。住宅は“一部資材が欠けるだけで多くの工程が止まる”ため、安心材料はニュースではなく、建築会社の調達計画と代替案の有無で判断すべきです。ここで大事なのは、川上(供給)だけでなく川中(流通)まで含めて確認する視点です。例えば、注文済み資材の範囲や代替品の候補まで説明できるほど、施主の不安は小さくなります。
供給不安が解消しても価格がすぐには戻りにくい理由
価格は“上がるのは速く、下がるのは遅い”傾向があります。代替調達で量が戻っても、輸送コストや調達先切替のコストが残ると、建材価格の値上げがそのまま定着しやすい。さらに供給制約は、在庫積み増しや契約条件の見直しを促し、コスト構造を押し上げます。私は、値下がりを待つより「上振れしても耐えられる資金計画」を先に作る方が、結果的に納得の選択に近づくと見ています。買い急ぎを促したいのではなく、耐久力のない計画が一番危険だと言いたいのです。加えて、価格が落ち着いた後も“リスク上乗せ分”が残ることを想定しておくと、意思決定がぶれません。
住宅取得の判断で見るべきはニュースより資金計画
判断に必要なのは“速報”ではなく“家計の耐久力”です。ナフサショックのような外部要因は読みにくいため、毎月返済がどこまでなら無理なく続くか、予備費をいくら持てるか、住み替えなら売却と購入の順序をどう組むかを固めます。加えて、契約で値上げや工期変更が起きた時の“出口”まで考えておくと強い。政府の説明も大切ですが、最後に家を守るのは資金計画と契約の設計です。私は、資金計画が固まった段階で初めて「買う・待つ」を検討すると、判断がぶれにくいと考えます。さらに、家計の固定費として「将来の修繕積立」を見込むと、購入後も安心して暮らせます。
住宅価格に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、住宅価格の上昇とナフサショックについて、相談現場でよく受ける質問に答えます。結論だけを言い切るのではなく、判断に必要な前提(見積もりの内訳、契約条件、工期、資金計画)も添えます。初心者の方ほど、この順番で整理すると迷いが減り、担当者との会話も具体的になります。迷いが整理できれば、次に取るべき行動(見積もり依頼、売却査定、資金計画の見直し)が自然に決まります。
ナフサショックで住宅価格はどれくらい上がる可能性がありますか?
「何%上がるか」は物件と仕様で大きく変わります。大切なのは、住宅全体が一律に上がるのではなく、断熱材・配管・塗料等、ナフサ由来資材の比率が高い箇所で負担が出やすい点です。シンナー類の値上げが70~80%に達した例もあり、複数資材で同時発生すると総額に効きます。私は目安として“数%の上振れ”を想定し、他の記事でも推奨されるように予算に5~10%程度の余裕(予備費)を置く設計が現実的だと考えます。さらに、増額が出た時に「削ってよい部分」と「削ると将来損する部分」を先に決めておくと、交渉が速くなります。
注文住宅と建売住宅ではどちらが影響を受けやすいですか?
影響が出やすいのは、仕様決定の自由度が高い注文住宅です。打合せ期間が長いほど、材料単価の改定や納期遅延の影響を受けやすく、再見積もりも起きます。一方、建売住宅は価格が固定されやすい反面、メーカー側が仕様を調整して原価を吸収する場合があります。私は、どちらでも「内訳の透明性」「変更時のルール」「工期の余裕」の3点を確認できる会社が強いと見ています。契約前に“値上げ時の協議プロセス”を言語化できるかが一つの試金石です。加えて建売は、引渡し前後の追加工事(カーテン、外構等)の相場も見積もると安心です。
今は家を買うべきですか、それとも様子を見るべきですか?
答えは「家計に無理がないなら、条件が揃ったときに買う」です。値下がりを待つ戦略もありますが、タイミングを当てるのは難しく、待つ間に家賃負担や金利条件、家族の状況が変わることもあります。私は、①返済余力、②予備費、③住み替えの段取り、④契約条件(値上げ・工期)の4点が揃うなら、価格上昇局面でも前に進めるべきだと考えます。逆に一つでも欠けるなら、焦らず準備を優先しましょう。特に住み替えは、売却が遅れると二重ローンになり得るため、順序設計が最重要です。私は、売却の出口(想定価格と期間)を先に置くほど、購入が楽になると感じます。
中古住宅の購入や売却にも影響はありますか?
影響はあります。新築の建材価格が上がるほど、中古住宅の相対的な魅力が増しやすい一方、買主は「将来の修繕費」をよりシビアに見ます。とくに断熱・外装・配管などは工事にナフサ由来資材が絡みやすく、見積もりが膨らむことがあります。購入では修繕履歴と追加工事費の見立て、売却では情報開示と価格根拠がこれまで以上に重要です。私は、購入前に“修繕で高くつきやすい部位”を3つだけでも特定すると失敗が減ると考えます。売却側は、その3点について説明できるだけでも値引き圧力が下がります。加えて、購入側は「修繕の優先順位」を決めておくと、資金計画が崩れません。
まとめ|住宅価格の上昇局面で大切なのは焦ることではなく情報を整理して動くこと
住宅価格の上昇は、中東情勢の緊迫がナフサ不足を招き、建材価格の値上げへ波及することで起きています。だからこそ判断は「ニュースの温度」ではなく、「内訳の確認」「契約条件」「資金計画」で行うべきです。整理ができれば、買う人は予算オーバーを避け、売る人は価格の根拠を示して早期成約を狙えます。相場は読めなくても、準備はコントロールできます。
松屋不動産販売株式会社 代表取締役・佐伯慶智からの助言|住宅価格が読みにくい時代ほど不動産会社選びで差がつく
私は、リーマンショックやウッドショックをはじめ、不動産市場が大きく揺れる局面を何度も見てきました。そうした時ほど強く感じるのは、結果を分けるのは相場そのものだけではなく、「誰に相談するか」だということです。売却では価格の付け方と売り出すタイミング、購入では資金計画と将来負担の見極めが少し違うだけで、最終的な満足度は大きく変わります。だからこそ私は、査定額や物件情報だけを並べるのではなく、その根拠を明確に示し、想定されるリスクまで先に共有したうえで、お客様に合った選択肢を一緒に整理することを何より大切にしています。
松屋不動産販売株式会社 家デパは、愛知県・静岡県西部の地域事情を踏まえ、売却をご検討の方には「いくらで売れるか」だけでなく「どう売れば損をしにくいか」まで、購入をご検討の方には「買えるかどうか」だけでなく「安心して持ち続けられるか」まで見据えてご提案しています。住宅価格が読みにくい今だからこそ、判断を急ぐ前に、ぜひ一度ご相談ください。売却も購入も、納得できる一手は、正しい情報と信頼できる伴走者から始まります。




