不動産売買の無免許事業等の禁止・・・

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投稿日:2026/11/02

不動産売買の無免許事業等の禁止とは?宅地建物取引業法と罰則を解説

不動産売買の無免許事業等の禁止とは?宅地建物取引業法と罰則を解説

「自分の土地を何区画かに分けて売りたいけれど、宅建業の免許は必要なの?」

「不動産会社に仲介を頼めば、何度売却しても問題ないのだろうか?」

 

不動産売買では、所有する土地や建物を少しでも高く売りたいと考えるのは自然なことです。しかし、売却の方法によっては、宅地建物取引業法が定める「無免許事業等の禁止」に抵触する可能性があります。免許を持たずに宅地建物取引業を営む無免許営業だけでなく、一定の表示行為や広告行為も規制の対象です。さらに、自分の所有物件であっても、販売の目的や方法、反復継続性などによっては免許が必要になる場合があります。

 

では、通常の資産処分と無免許営業は何を基準に区別されるのでしょうか。本記事では、宅建業法第12条・第13条の規制と罰則を整理し、土地の分割販売や中古住宅の転売など身近な事例から、売主が注意すべきポイントを解説します。安全な取引と納得できる売却を両立するために、ぜひ確認してください。

無免許事業等の禁止

 

宅地建物取引業法

(無免許事業等の禁止)

第十二条 第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。

2 第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。

(名義貸しの禁止)

第十三条 宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。

2 宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもつてする広告をさせてはならない。

出典:e-GOV法令検索>宅地建物取引業法

 

 

不動産売買で注意したい「無免許事業等の禁止」とは

不動産は所有者の大切な財産であり、売却する際には少しでも有利な条件で取引したいと考えるものです。しかし、不動産の売買を事業として行う場合には、宅地建物取引業法による規制を受けます。特に注意したいのが、同法第12条に定められた「無免許事業等の禁止」です。個人が所有する土地や建物でも、販売方法によっては宅地建物取引業の免許が必要になる可能性があります。まずは制度の目的と基本的な仕組みを理解しておきましょう。

 

宅地建物取引業には原則として国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要

宅地建物取引業法第3条では、宅地建物取引業を営もうとする者に免許の取得を義務付けています。事務所を一つの都道府県内だけに設置する場合は都道府県知事、二つ以上の都道府県に設置する場合は国土交通大臣の免許が必要です。これは個人事業主と法人のどちらにも適用されます。

免許制度が設けられている理由は、不動産取引が高額であり、法律や権利関係について専門的な知識を必要とするためです。一般消費者が安心して取引できるよう、宅建業者には重要事項説明や契約書面の交付など、さまざまな義務が定められています。

なお、宅地建物取引士の資格を持っていることと、宅地建物取引業の免許を受けていることは別です。宅建士の資格があっても、それだけで独立して宅建業を営めるわけではありません。

 

宅地建物取引業法第12条は「無免許営業」と「表示・広告行為」を禁止している

宅地建物取引業法第12条(無免許事業等の禁止)は、無免許事業等の禁止について二つの規定を設けています。第1項は、宅地建物取引業の免許を受けていない者が宅建業を営むことを禁止する規定です。これが一般に「無免許営業」と呼ばれるものです。

一方、第2項では、無免許の者が宅建業を営む旨を表示したり、宅建業を営む目的で広告を行ったりすることも禁止しています。つまり、実際に売買契約を締結していなくても、表示や広告の内容によっては違反となる可能性があります。

重要なのは、規制の対象が契約成立後の営業行為だけではない点です。顧客を募集する段階から法令への配慮が求められます。不動産売買では、販売活動を開始する前に、その行為が宅建業に該当するか確認する必要があります。

 

自分の不動産を売るだけなら必ず免許不要とは限らない

「自分が所有する不動産なのだから、自由に売却しても問題ない」と考える方は少なくありません。実際に、自宅の住み替えや相続した土地の処分など、一般的な資産売却については通常、宅建業の免許は必要ありません。

しかし、自己所有物件であれば、どのような売り方でも免許が不要というわけではありません。例えば、転売を目的として土地を購入し、区画分けして複数の買主に販売する場合には、宅地建物取引業に該当する可能性があります。

宅建業法では、不動産の所有者が誰かという点だけでなく、取引の目的、方法、相手方、事業性や反復継続性などを総合的に判断します。したがって、売主が個人であっても事業性が認められれば免許が必要です。自分の財産を売る権利と、免許を受けずに事業を営めるかという問題は分けて考えなければなりません。

 

 

そもそも宅地建物取引業とはどのような行為を指すのか

無免許営業について理解するには、まず宅地建物取引業に該当する行為を正確に把握する必要があります。宅建業法第2条第2号では、宅地や建物の売買・交換、または売買・交換・貸借の代理や媒介を「業として行うもの」と定義しています。ただし、すべての不動産取引が宅建業になるわけではありません。自己所有物件を賃貸する場合と売却する場合でも取り扱いが異なります。取引の種類と事業性を分けて確認することが重要です。

媒介とは何か?不動産仲介業について⇒サクっと分かる不動産仲介業:売買仲介における媒介業務と仲介手数料

 

自ら宅地や建物を反復継続して売買・交換する行為

宅地建物取引業には、他人の不動産を仲介する業務だけでなく、自ら売主となって宅地や建物を販売する事業も含まれます。例えば、不動産会社が土地を仕入れて造成し、宅地として販売する事業や、中古住宅を購入して再販売する事業が代表的です。

ここで注意したいのは、仲介手数料を受け取っていなくても宅建業に該当し得ることです。自ら所有する不動産を売却して利益を得る事業であれば、仲介会社ではないという理由だけで免許が不要になるわけではありません。

また、法律上の「宅地」は登記上の地目が宅地である土地だけを意味しません。建物の敷地として利用する目的で取引される土地なども含まれます。農地や雑種地を宅地化して販売する計画では、現在の地目だけで判断せず、取引目的も確認する必要があります。

 

他人の不動産売買・交換・賃貸を代理または媒介する行為

宅地建物取引業には、他人が所有する不動産について、売買・交換・貸借の代理や媒介を事業として行う行為も含まれます。「媒介」とは、売主と買主、貸主と借主などの間に入り、契約成立に向けて条件調整や取引の仲立ちを行うことです。

これに対して「代理」は、本人から与えられた代理権に基づいて、本人に代わって法律行為を行うことを意味します。両者は法的な立場が異なりますが、いずれも業として行う場合には原則として宅建業の免許が必要です。

例えば、知人から頼まれて一度だけ買主を紹介する行為と、複数の所有者から物件情報を集め、継続的に購入希望者を紹介して報酬を得る行為では、事業性の評価が異なります。名称を「紹介料」や「コンサルティング料」としても、実態が媒介業務であれば注意が必要です。

 

自己所有物件の「賃貸」と「売買」では宅建業法上の扱いが異なる

宅地建物取引業法を理解するうえで、自己所有物件の賃貸と売買の違いは重要です。例えば、所有するアパートやマンションを自ら貸主として賃貸する行為は、原則として宅建業法上の宅地建物取引業に該当しません。

一方、自ら所有する土地や建物を反復継続して売却する行為は、事業性が認められれば宅建業に該当します。つまり、同じ自己所有物件でも「貸す」のか「売る」のかによって、宅建業免許の必要性が変わるのです。

ただし、自己所有物件の賃貸に宅建業免許が不要だからといって、賃貸住宅の管理業務や建物の安全性に関する法規制まで適用されないわけではありません。別の法律による登録や義務が生じる場合もあります。免許の要否は、取り扱う不動産の種類だけでなく、実際に行う業務の内容で判断する必要があります。

自己所有物件の「賃貸」と「売買」では宅建業法上の扱いが異なる

 

個人でも法人でも「業として行う」なら免許の問題が生じる

宅地建物取引業の免許が必要かどうかは、取引する主体が個人か法人かによって決まるものではありません。会社であっても、事業用に使用していた社屋を整理のために売却するだけであれば、通常の資産処分として扱われる場合があります。

反対に、個人が転売目的で物件を購入し、継続的に売却する場合には、宅建業に該当する可能性があります。また、法人の定款に不動産売買業が記載されていないからといって、実際に行う取引が宅建業に該当しなくなるわけでもありません。

特に、資産管理会社や不動産投資を行う個人は注意が必要です。保有資産の整理と、販売利益を目的とした事業では性質が異なります。売却回数だけでなく、取得時の目的や販売活動の実態まで確認することが、無免許営業を避けるうえで重要です。

 

 

「業として行う」に該当するかを判断する5つの基準

宅建業法で最も判断が難しいのが「業として行う」という言葉です。国土交通省は、宅地建物の取引を社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すと説明しています。その判断材料となるのが、取引の対象者、取引の目的、物件の取得経緯、取引の態様、反復継続性という五つの要素です。いずれか一つだけで機械的に判断するのではなく、取引全体の実態を総合的に評価する必要があります。

「業として行う」に該当するかを判断する5つの基準

 

取引の対象者|不特定多数に販売するほど事業性は高くなる

最初の判断基準は、誰を相手に不動産を取引するのかという点です。広く一般の購入希望者を募集して売却する場合は、特定の相手に売却する場合と比較して事業性が高いと判断される方向に働きます。

例えば、隣接地の所有者から土地を譲ってほしいと依頼され、その相手に売却するケースでは、取引相手との特定の関係が判断材料になります。一方、土地を複数区画に分け、不特定多数に向けて販売活動を行う場合は、事業としての性格が強くなります。

ただし、一般消費者に売却するだけで直ちに宅建業となるわけではありません。通常の自宅売却でも、不動産仲介業者を通じて不特定多数から買主を探すことはあります。誰に売るのかという点は、売却目的や取引回数など、他の判断材料と組み合わせて考えることが重要です。

 

取引の目的|利益目的か相続・住み替えなどの資産処分か

二つ目の判断基準は、不動産を売却する目的です。購入時から転売による利益を得ることを目的としていた場合は、事業性が高いと評価される方向に働きます。一方、相続税の納税資金を確保するための売却や、住み替えに伴う自宅の処分などは、事業性が低いと判断される要素になります。

もっとも、不動産を高値で売却したからといって、それだけで利益目的の事業と認定されるわけではありません。一般の所有者であっても、できるだけ高く売りたいと考えるのは当然です。

問題となるのは、価格交渉によって利益が生じたかどうかではなく、取引全体が販売利益を目的とした事業として行われているかという点です。売却の背景にどのような事情があるのかを整理し、必要に応じて説明できるようにしておくことが大切です。

 

物件の取得経緯|転売目的で取得した物件か自己利用・相続物件か

三つ目は、その不動産をどのような経緯で取得したのかという点です。転売を前提として取得した土地や建物は、自己居住や自社利用を目的として取得した不動産よりも事業性が高いと評価されます。

例えば、長年居住していた自宅を転勤や家族構成の変化によって売却する場合は、通常の資産処分と考えられます。また、親から相続した実家を管理できずに手放す場合も、取得の経緯は重要な判断材料になります。

一方、最初から販売を目的として中古住宅を買い取り、改修して売却する行為は、不動産売買事業(買取再販)としての性格が強くなります。ただし、相続した物件であれば販売方法を問わず免許不要になるわけではありません。取得経緯と、その後の利用方法や販売計画を合わせて判断する必要があります。

 

取引の態様|自ら買主を募集するか宅建業者へ媒介を依頼するか

四つ目の判断基準は、どのような方法で販売するかという点です。国土交通省の『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』では、所有者が自ら買主を募集して一般消費者に直接販売する場合は事業性が高く、宅建業者に代理や媒介を依頼する場合は事業性が低い方向の要素とされています。

ただし、ここには重要な注意点があります。宅建業者に仲介を依頼したという事実だけで、無免許営業の問題が解消されるわけではありません。例えば、転売目的の土地を複数区画に分けて販売する事業を無免許で行っていれば、仲介会社が関与しても適法になるとは限らないのです。

不動産会社を利用することは、適切な価格設定や契約条件の整理に役立ちます。しかし、売主自身の行為について免許が必要かどうかは別途判断しなければなりません。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

出典:国土交通省>宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方より一部抜粋

 

反復継続性|過去の取引だけでなく今後の販売予定まで判断材料になる

五つ目の判断基準は、取引の反復継続性です。ここで誤解されやすいのが、実際に売買契約を締結した回数だけで判断されるという考え方です。国土交通省は、現在の取引状況だけでなく、過去の行為や将来の取引予定、その実現可能性も含めて判断するとしています。

特に注意したいのが、一つの土地を複数の区画に分けて販売するケースです。売主が一度の事業計画として販売していても、複数の買主との取引が予定されていれば、反復継続的な取引に該当し得ます。

したがって、「今回が初めてだから大丈夫」「年に一度しか売らない」という説明だけでは十分ではありません。売却予定物件の数、販売方法、今後の事業計画なども確認し、取引の実態から判断する必要があります。

反復継続性|過去の取引だけでなく今後の販売予定まで判断材料になる

 

 

自己所有の不動産売却でも無免許営業になり得る具体例

宅建業の免許が必要かどうかを判断する際には、実際の不動産売買を想定すると理解しやすくなります。特に注意したいのが、土地の分割販売、中古住宅の転売、相続した複数物件の売却です。これらは個人でも行う可能性がある取引ですが、その目的や販売方法によって事業性の評価が変わります。重要なのは、同じような取引でも、売主の事情によって結論が異なり得ることです。それぞれのケースについて、どのような点を確認すべきか考えてみましょう。

 

広い土地を複数区画に分けて一般消費者へ販売するケース

例えば、所有する900㎡の土地を150㎡ずつ6区画に分け、それぞれ別の買主へ販売する計画を考えてみましょう。土地を一括で売却するより、住宅用地として分割した方が高い価格で売れる可能性があります。しかし、複数の買主に向けて区画ごとに販売する行為は、宅建業法上の反復継続性が認められやすくなります。

国土交通省の解釈・運用でも、一度の販売行為として計画されていても、区画分けして複数の者へ販売する場合は反復継続的な取引に該当すると示されています。

また、農地を宅地化する場合には、宅建業法だけでなく農地法や都市計画法などの確認も必要です。土地を細分化することで販売価格の合計が高くなるとしても、売主自身が無免許で実施できるとは限りません。事業計画を立てる前に確認することが大切です。

広い土地を複数区画に分けて一般消費者へ販売するケース

 

中古住宅を仕入れてリフォームし繰り返し転売するケース

中古住宅を安く購入し、リフォームによって付加価値を高めて売却する方法は、不動産事業の一つとして知られています。しかし、この取引を事業として行う場合、原則として宅建業の免許が必要です。

例えば、中古戸建を購入し、内装や設備を改修したうえで売却し、利益を得て次の物件を仕入れるという行為を繰り返せば、転売目的や反復継続性が認められやすくなります。個人名義で購入した場合でも同様です。

一方、自宅として購入した住宅にリフォームを施し、生活環境の変化によって売却するケースとは事情が異なります。重要なのは、リフォームをした事実ではなく、取得時から再販売による利益を目的としていたかという点です。物件購入時点で出口となる売却を想定している場合は、免許の必要性を慎重に判断しましょう。

中古住宅を仕入れてリフォームし繰り返し転売するケース

 

相続した複数の土地や建物を順次売却するケース

親から相続した土地や建物が複数あり、管理負担や相続税の納税などを理由に順次売却する場合があります。こうした売却は、一般的に資産処分としての性格が強く、相続によって取得したという事情も事業性を低く評価する要素となります。

ただし、相続物件であれば無制限に分割販売できるという意味ではありません。例えば、相続した大きな土地を宅地造成し、複数の区画として一般消費者へ販売する場合には、別途、事業性を検討する必要があります。

また、複数の相続物件を売却する際には、取得経緯や売却理由を明確にしておくことも大切です。相続した不動産の数だけで機械的に判断するのではなく、売却計画全体を確認します。相続財産の整理と、不動産販売事業の違いを意識しておきましょう。

 

「年1回なら大丈夫」など回数だけでは判断できない

不動産取引について、「年に1回の売却なら免許は不要」「5年間に数件までなら問題ない」といった話を耳にすることがあります。しかし、宅建業法には、そのような一律の回数基準は設けられていません。

例えば、毎年1件ずつ転売目的の中古住宅を購入して売却する場合と、相続した不動産を必要に応じて数年間で処分する場合では、取引の性格が異なります。また、一度の販売計画で複数の区画を販売する場合も、反復継続性が問題になります。

したがって、売却頻度だけで適法性を判断するのは危険です。過去の売買履歴、今後の取得予定、利益を得るための仕組み、購入希望者の募集方法などを総合して検討する必要があります。特に、継続的な収益を見込んで取引を行う場合には、事前確認を徹底することが重要です。

 

相続・住み替えなど通常の資産処分との違いをどう考えるか

一般の方が不動産を売却する場面で多いのは、自宅の住み替え、相続した実家の売却、利用しなくなった土地の処分などです。これらは通常、所有している資産を必要に応じて現金化する行為であり、不動産売買を事業として行うこととは区別されます。

判断する際には、なぜその不動産を所有していたのか、なぜ売却することになったのかという経緯が重要です。例えば、転勤で自宅を手放す場合と、販売利益を得るために購入した物件を売る場合では、取引目的が異なります。

ただし、通常の資産処分であっても、売却方法を大きく変更すれば事業性の評価が変わる可能性があります。私が重視するのは、所有者の事情と販売計画を切り離さずに考えることです。高く売る方法を検討する際にも、法令上の問題がないかを同時に確認する必要があります。

 

 

無免許なら営業だけでなく表示行為・広告行為も禁止される

宅建業法第12条第2項は、無免許の者が宅地建物取引業を営む旨を表示することや、宅建業を営む目的で広告することを禁止しています。この規定は、実際に売買契約が成立する前の段階にも適用される点が特徴です。現在は不動産会社だけでなく、個人でもホームページやSNSを通じて情報を発信できます。しかし、広告媒体を簡単に利用できることと、免許を必要とする営業活動を行えることは別問題です。表示や広告がどのような事業を示しているのか、内容と目的の両方を確認する必要があります。

 

実際に契約していなくても表示や広告だけで違反する可能性がある

宅建業法第12条第2項の重要な特徴は、無免許営業そのものとは別に、表示行為や広告行為を禁止していることです。例えば、宅建業の免許を持たない者が、不動産売買の仲介業務を営む旨を看板に掲げたり、継続的に仲介業務を行う目的で広告したりする場合が問題になります。

実際に顧客から依頼を受けていない、あるいは売買契約が成立していないという事情だけでは、違反の可能性を否定できません。法律は、免許のない者が宅建業を営む意思を外部に示し、顧客を募集することも規制しています。

ただし、広告を出したという事実だけで、すべての行為が禁止されるわけではありません。広告が宅建業を営む目的で行われたものなのか、どのような営業内容を示しているのかが重要です。表示内容だけでなく、その背景にある事業の実態も確認する必要があります。

実際に契約していなくても表示や広告だけで違反する可能性がある

 

ホームページ・SNS・看板などの表示や広告も内容に注意が必要

不動産に関する広告は、新聞や折込チラシだけでなく、ホームページ、SNS、動画投稿サイトなど、さまざまな媒体で行われています。宅建業法第12条第2項では、禁止対象となる広告媒体を紙媒体だけに限定していません。

例えば、無免許の者がSNSで「土地・中古住宅の売買仲介を承ります」と継続的に顧客を募集する場合には、宅建業を営む目的での広告に該当する可能性があります。自分の名前ではなく、任意の屋号を使って宣伝している場合も注意が必要です。

また、SNSの投稿であっても、広告として顧客を募集しているのか、単に所有物件の情報を知らせているのかによって意味が異なります。問題は媒体の種類ではなく、何のために、どのような行為を宣伝しているかです。インターネット上の表示だから規制が緩やかになるということはありません。

ホームページ・SNS・看板などの表示や広告も内容に注意が必要

 

「宅建業者である」と誤認させる表示をしてはいけない

宅建業の免許がないにもかかわらず、宅建業者であるかのような表示をすることは避けなければなりません。例えば、「不動産売買仲介専門」「土地・建物の売買をお任せください」といった表現を用いて、事業者として顧客を募集する場合には注意が必要です。

ここで重要なのは、特定の言葉を使用しただけで直ちに違反と決まるわけではないという点です。表示全体から、無免許の者が宅建業を営む旨を示していると評価されるかが問題になります。

また、宅建士の資格を保有していることを示しただけで宅建業免許を取得したことにはなりません。資格名や肩書を利用して営業する場合も、実際の免許状況との整合性が必要です。顧客に誤解を与えないことはもちろん、表示内容が法令に適合しているかを事前に確認することが大切です。

 

自己所有物件を売却するための広告と無免許事業の広告は分けて考える

自己所有の不動産を売却する際、売主が購入希望者を探すために情報を公開すること自体が、すべて禁止されているわけではありません。通常の自宅売却など、宅建業に該当しない資産処分であれば、その物件について売却希望を示すことと、無免許で宅建業を営むことは区別されます。

一方、転売目的で取得した複数物件を継続的に販売する広告や、他人の不動産の仲介を事業として募集する広告では、宅建業の免許が必要になる可能性があります。

つまり、売主が所有者本人であることや、広告に掲載する物件が1件であることだけでは判断できません。広告の目的と取引全体の事業性を確認する必要があります。特に、不特定多数へ販売する計画がある場合は、広告掲載前に免許の要否を確認することが望ましいでしょう。

 

 

無免許営業や表示・広告行為にはどのような罰則があるのか

宅地建物取引業法は、無免許営業や無免許の表示・広告行為に対して刑事罰を設けています。不動産取引は金額が大きく、取引相手が損害を受けた場合の影響も深刻になり得るためです。無免許営業に対する罰則は、表示・広告行為に対する罰則より重く設定されています。また、宅建業者による名義貸しにも罰則があります。古い解説記事には改正前の刑罰名称が掲載されていることがあるため、2026年時点の現行法に基づいて内容を確認することが大切です。

 

無免許営業は3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金または併科

宅建業法第12条第1項に違反して無免許で宅地建物取引業を営んだ場合、同法第79条により、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

ここでいう「併科」とは、拘禁刑と罰金の両方を科すことです。無免許営業は、単に行政から注意を受けるだけの問題ではなく、刑事罰の対象となる重大な法令違反です。なお、2025年6月1日に懲役と禁錮が拘禁刑へ一本化されたため、現在の法令を説明する際には「拘禁刑」という表現を使用します。古い資料に「懲役」と記載されていても、現行法の条文を確認する必要があります。実際に刑罰が科されるかどうかは個別の事案によって判断されますが、売却利益の大きさだけで違反の重大性を判断してはいけません。

 

宅地建物取引業法

第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の手段によつて第三条第一項の免許を受けた者

二 第十二条第一項の規定に違反した者

三 第十三条第一項の規定に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者

四 第六十五条第二項又は第四項の規定による業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者

出典:e-GOV法令検索>宅地建物取引業法

 

無免許での表示・広告行為は100万円以下の罰金

宅建業法第12条第2項に違反し、無免許で宅建業を営む旨を表示したり、宅建業を営む目的で広告したりした場合は、同法第82条により100万円以下の罰金が科される可能性があります。

第12条第1項の無免許営業と、第2項の表示・広告行為では、それぞれ禁止される行為と罰則が異なります。そのため、実際に営業を開始していないから問題ないという判断は適切ではありません。

また、免許を持つ宅建業者が他人に名義を貸して宅建業を営ませた場合も、同法第79条の罰則対象です。名義を利用した表示・広告を行わせる行為については、第13条第2項と第82条の規制があります。無免許営業を行う側だけでなく、名義の使用を認めた宅建業者にも重大な責任が生じる点を理解しておきましょう。

無免許での表示・広告行為は100万円以下の罰金

 

「知らなかった」で済ませず売却方法を事前に確認することが重要

不動産を売却する方の中には、宅建業法について詳しく知らない方も少なくありません。特に、土地の区画分けや複数物件の売却について、一般的な資産処分と同じ感覚で計画を進めてしまうケースには注意が必要です。

もちろん、法令を知らなかったという事情だけで、必ず刑事罰を受けると決まるわけではありません。しかし、法律を知らなかったことが、そのまま違反を免れる理由になると考えるのも危険です。

例えば、造成工事の発注や広告掲載を済ませてから免許の問題に気付いた場合、販売計画の変更によって費用や時間が余分にかかる可能性があります。私が売却実務で重視するのは、問題が発生してから対応するのではなく、計画段階で確認することです。特に販売区画や購入予定者が複数となる場合には、早めの相談が重要になります。

 

 

宅建業者の「名義貸し」も宅地建物取引業法第13条で禁止される

宅地建物取引業法第13条では、免許を受けた宅建業者が他人に自分の名義を使わせる行為を禁止しています。無免許の者が宅建業者の名前を利用して営業すれば、免許制度による規制が形だけになってしまうからです。また、名義貸しと同様に注意しなければならないのが、無免許事業に宅建業者が代理や媒介として関与するケースです。売主自身が宅建業に該当する事業を行っている場合、仲介会社が間に入るだけで問題が解消されるわけではありません。

 

宅建業者が自分の名義で他人に宅建業を営ませることはできない

宅建業法第13条第1項では、宅地建物取引業者が自己の名義を使って他人に宅建業を営ませることを禁止しています。例えば、免許を持たない者が宅建業者の名称を借り、実質的には自分で不動産売買事業を運営するような行為が問題になります。

宅建業の免許は、一定の要件を満たした事業者に対して与えられるものであり、第三者へ自由に貸し出せるものではありません。免許を取得した会社の名前を使えば、誰でも不動産取引業を営めるという仕組みではないのです。

第13条第1項に違反して他人に宅建業を営ませた者には、第79条による刑事罰が設けられています。また、行政処分の対象となる可能性もあります。名義貸しは、免許制度の信頼性を損なう行為であることを理解する必要があります。

 

宅建業者の名義を使った表示・広告行為も禁止されている

宅建業法第13条第2項では、宅建業者が自己の名義を使わせ、他人に宅建業を営む旨の表示や、その目的で広告を行わせることも禁止しています。実際に無免許の者が不動産売買を行っていなくても、名義を利用した表示・広告が問題になる可能性があります。

例えば、宅建業免許のない事業者が、免許を保有する会社の名前や免許番号を使用して営業広告を掲載する場合には、名義貸しに該当しないか慎重な確認が必要です。

ただし、免許を持つ宅建業者が適法に受託した物件を、自社の責任で広告することまで禁止されるわけではありません。重要なのは、誰が実際に宅建業を営んでいるのかという実態です。広告に掲載されている会社名だけでなく、契約や業務の主体が誰なのかを明確にすることが必要です。

 

無免許の売主に宅建業者が媒介で関与しても適法になるとは限らない

不動産所有者が誤解しやすいのが、「免許を持つ不動産会社に仲介してもらえば、どのような売却でも問題ない」という考え方です。しかし、売主自身が無免許で宅建業に該当する事業を行っている場合、宅建業者が媒介を担当しても、その事業が当然に適法になるわけではありません。

例えば、無免許の所有者が土地を複数区画に分けて継続的に販売する場合、仲介会社が買主を探して契約を取りまとめるだけでは、売主側の免許の問題が解消されるとは限りません。

ただし、宅建業者へ媒介を依頼することは、事業性を判断する五つの要素の一つでもあります。媒介の利用によって必ず違法になるわけでも、必ず適法になるわけでもありません。個別の事情を踏まえて判断する必要があります。

無免許の売主に宅建業者が媒介で関与しても適法になるとは限らない

 

宅建業者自身も無免許事業への関与を避けなければならない

無免許営業を防ぐためには、売主だけでなく、取引に関わる宅建業者にも慎重な対応が求められます。例えば、複数の宅地を販売する相談を受けた場合、宅建業者は単に販売価格や仲介手数料を検討するのではなく、売主が免許を必要とする事業を行っていないか確認する必要があります。

具体的には、土地の取得経緯、区画数、販売予定、過去の売却履歴などを確認することが考えられます。事業性に疑義がある場合は、免許行政庁へ照会するなど、適切な対応を検討しなければなりません。

また、宅建業者が無免許事業に関与した場合には、行政処分などの問題が生じる可能性があります。不動産会社に求められるのは、売主の希望をそのまま実行することだけではありません。取引の適法性を確認し、安全な販売方法を提案する姿勢が重要です。

 

 

不動産を高く売りたいときほど売却方法に注意する

不動産を売却する際、価格を重視するのは当然のことです。しかし、土地を細かく分ける、建物を改修して再販売する、複数の物件を順次売却するといった方法では、販売計画によって宅建業法上の問題が生じる可能性があります。また、高く売れると思って進めた計画が、造成費用や税金、販売期間などの影響で必ずしも有利にならない場合もあります。不動産の売却では、価格だけでなく、法令への適合性と手取り金額を合わせて考えることが大切です。

 

土地を細分化すれば必ず高く売れるとは限らない

広い土地を売却する場合、一括で売るよりも住宅用地として複数区画に分けた方が、販売価格の合計を高くできる場合があります。しかし、区画数を増やせば必ず利益が増えるとは限りません。

例えば、道路を新設する必要があれば、その部分は販売できる宅地面積から除かれます。また、測量、分筆、造成、上下水道の引き込みなどの費用が必要になる場合もあります。土地の形状や接道条件によっては、想定した区画数を確保できないこともあります。

さらに、複数区画を一般消費者へ販売する計画では、宅建業法上の免許の問題も検討しなければなりません。重要なのは、販売価格の合計額ではなく、必要経費と法令上の条件を踏まえた売主の利益です。一括売却と分割販売のどちらが適切か、計画段階で比較する必要があります。

 

「高く売ること」と「宅建業法に適合した売り方」は両立させる

私は、不動産を高く売ること自体に問題があるとは考えていません。売主が自分の財産を適正な市場価格で売却し、少しでも良い条件を目指すのは当然です。大切なのは、その目的を達成するための方法が法令に適合しているかという点です。

例えば、土地を一括で売却する場合でも、住宅用地としての利用可能性や周辺相場を適切に評価することで、価格面の改善を図れる場合があります。また、購入希望者を一般消費者だけに限定せず、宅建業者による買取条件と比較する方法も考えられます。売却価格だけを見れば一般消費者への販売が有利でも、工事費や販売期間を考慮すると結果が変わることがあります。最初から一つの売り方に決めず、複数の選択肢を比較することが重要です。法令に適合した販売戦略と価格の最大化は、対立するものではありません。

「高く売ること」と「宅建業法に適合した売り方」は両立させる

 

複数物件を所有している場合は売却計画を立てる前に確認する

複数の土地や建物を所有している方は、売却を始める前に所有物件全体を整理することをおすすめします。特に、相続や資産整理によって複数物件を売却する場合、個々の売却だけでなく、全体の計画を把握することが重要です。

確認したいのは、それぞれの取得経緯、利用状況、売却理由、販売予定時期、買主の募集方法などです。取得目的が異なる不動産を一括して判断するのではなく、それぞれの事情を整理する必要があります。

また、売却順序によって税金や資金繰り、維持管理費の負担が変わる場合もあります。免許の問題だけでなく、譲渡所得税や土地利用に関する規制も含めて検討すると、無理のない売却計画を立てやすくなります。売却する物件が多いほど、一件ずつ場当たり的に進めるのではなく、事前に全体像を確認することが大切です。

 

判断が難しい売却は行政窓口や不動産の専門家へ事前相談する

宅地建物取引業に該当するかどうかは、所有者自身で判断することが難しい場合があります。特に、土地の区画分けや複数物件の販売、転売目的での取得など、事業性が問題になりやすい取引では慎重な確認が必要です。

免許の要否について疑問がある場合は、物件所在地や事業者の状況に応じて、宅地建物取引業の免許行政庁などへ確認することが考えられます。相談する際は、売却理由、取得経緯、販売予定区画数、広告方法、今後の売却予定などを具体的に整理しておくとよいでしょう。

また、不動産会社には価格査定や販売方法について相談できますが、宅建業者への相談だけで法的な判断が確定するわけではありません。必要に応じて弁護士などにも確認し、適切な手続きを進めることが重要です。問題が生じる前に相談することが、結果として時間と費用の節約につながります。

 

 

無免許営業と宅地建物取引業に関するよくある質問

宅地建物取引業法の無免許事業等の禁止については、不動産の所有者からさまざまな疑問が寄せられます。特に多いのが、自宅の売却、相続した土地の分割販売、不動産会社への仲介依頼、インターネット広告、売買回数に関する質問です。これらは日常的な不動産売買にも関係するため、基本的な考え方を理解しておくことが大切です。ただし、最終的な判断は個別の取引事情によって異なります。一般的な原則と注意点を分けて確認しましょう。

 

Q1自宅を1回売却するだけでも宅建業の免許が必要ですか?

通常、自分が居住していた住宅を住み替えや転勤などの理由で一度売却する場合には、宅地建物取引業の免許は必要ありません。これは一般的な資産処分であり、売却すること自体を事業として行っているわけではないためです。

例えば、家族が増えて現在の住宅が手狭になったことを理由に売却する場合や、転勤に伴って自宅を手放す場合などが考えられます。また、売却価格が購入時より高くなり、結果として利益が生じたとしても、それだけで事業性が高い=無免許営業になるわけではありません。

ただし、最初から転売目的で購入した住宅を売却する場合などは事情が異なります。1回の売却であるという事実だけで判断せず、取得目的や販売方法も確認することが大切です。

 

Q2相続した土地を複数に分けて売却しても問題ありませんか?

相続した土地を複数に分けて売却する場合には、宅建業の免許が必要になる可能性があります。相続によって取得したという事情は事業性が低い方向の判断材料になりますが、区画分け(複数分筆)して複数の買主へ販売する行為には反復継続性が認められ得るためです。

例えば、相続した広い土地を住宅用地として5区画に分け、それぞれ一般消費者へ販売する計画では、通常の一括売却とは異なる検討が必要です。

また、宅地として販売するために造成工事を行う場合には、開発許可や農地転用など、別の法令による手続きが必要になることもあります。相続物件だから問題ないと判断せず、土地の利用方法と販売計画を具体的に整理したうえで、事前に確認することが重要です。

 

Q3宅建業者に仲介を依頼すれば無免許営業にはなりませんか?

宅建業者に仲介を依頼したという理由だけで、無免許営業の問題がなくなるわけではありません。確かに、宅建業者へ代理や媒介を依頼して販売することは、事業性を低く評価する方向の判断材料の一つです。

しかし、売主が実質的に不動産売買事業を営んでいる場合には、仲介会社が関与しても、その事業が当然に適法になるものではありません。例えば、転売を目的として土地を仕入れ、複数区画に分けて販売するような場合には、売主自身の免許の必要性を検討しなければなりません。

大切なのは、宅建業者が仲介するかどうかではなく、売主の取引全体に事業性が認められるかという点です。販売方法を決める前に、売主と仲介会社の双方で確認する必要があります。

 

Q4 インターネットやSNSに広告を掲載しただけでも違反になりますか?

インターネットやSNSに不動産の広告を掲載しただけで、必ず宅建業法違反になるわけではありません。例えば、自分が居住していた住宅を売却するために購入希望者を募集する行為は、通常の資産処分として行われる限り、宅建業に該当しない場合があります。

一方、免許を持たない者が宅建業を営む旨を表示したり、宅建業を営む目的で広告したりする場合には、第12条第2項に違反する可能性があります。

重要なのは、広告媒体ではなく、広告の内容と目的です。特に、他人の不動産の売買仲介を継続的に募集する場合や、複数物件の販売事業を宣伝する場合には注意が必要です。広告掲載後ではなく、掲載前に営業内容と免許の必要性を確認しましょう。

 

Q5 不動産を何回売却すると「業として行う」と判断されますか?

宅地建物取引業法には、年間何件以上売却すると宅建業に該当するという明確な回数基準はありません。判断されるのは、取引の対象者、目的、取得経緯、取引の態様、反復継続性という五つの要素です。

例えば、相続した複数の不動産を資産整理のために売却する場合と、転売目的で住宅を購入して継続的に販売する場合では、取引の性格が異なります。また、一度の事業計画であっても、宅地を区画分けして複数の買主へ販売する場合には、反復継続性が認められ得ます。

そのため、「年1回なら安全」「3件までは問題ない」といった基準で判断することは避けてください。売却の回数だけでなく、取引全体の目的と実態を確認することが重要です。

不動産を何回売却すると「業として行う」と判断されますか?

 

 

松屋不動産販売株式会社代表・佐伯慶智からのアドバイス

不動産売買の現場では、売主が少しでも高く売りたいと考える一方で、土地の利用方法や販売計画によって、法律上の確認が必要になる場合があります。私は、不動産会社の役割は単に買主を探すことではなく、売主が安心して取引できる方法を一緒に考えることだと考えています。特に、広い土地や複数の不動産を所有する方は、売却価格だけでなく、宅建業法への適合性、税金、必要経費、販売期間を含めて検討することが大切です。

 

不動産を高く売る前に「どのように売るか」を確認する

不動産を売却する際、多くの方が最初に気にするのは「いくらで売れるのか」という価格です。しかし、私はその前に「どのような方法で売るのか」を考えることが重要だと思っています。

例えば、広い土地であれば、一括売却、宅建業者による買取、複数区画での販売など、さまざまな選択肢が考えられます。ただし、分割販売には宅建業免許の問題が生じる場合があり、造成費用や販売期間なども考慮しなければなりません。また、最も高い販売価格を提示できる方法が、必ずしも売主にとって最良とは限りません。手取り金額、売却までの期間、取引の確実性も大切な判断材料です。価格を追求することと、安全に売却することを切り離さず、所有者の事情に合った販売方法を選ぶことをおすすめします。

 

分筆・造成・複数物件の売却は計画段階で専門家へ相談する

土地を分筆したり、造成して複数区画を販売したりする計画では、通常の不動産売却よりも多くの確認事項があります。宅建業免許の必要性に加え、都市計画法、農地法、建築基準法などの規制が関係する場合もあるためです。

また、測量や造成工事を先に進めてしまうと、後から販売方法を変更することが難しくなる場合があります。したがって、費用をかける前に、土地の条件と売却計画を整理することが重要です。

私がおすすめするのは、まず複数の販売方法について価格と費用を比較し、免許の要否など法的な疑問点を明確にすることです。そのうえで必要な行政確認を行い、実行可能な売却方法を選びます。不動産は一つとして同じ条件のものがありません。だからこそ、個別の事情に応じた慎重な判断が求められます。

 

安全な不動産売買は価格と法令の両方を確認することから始まる

不動産を高く売却できたとしても、法令上の問題が生じてしまっては、売主にとって満足できる取引とはいえません。一方、法律上の問題を避けることだけに意識を向け、適正な価格を検討しないことも望ましくありません。

重要なのは、市場価格、物件の利用価値、販売方法、法律上の条件を一体として考えることです。特に、土地の分割販売や複数物件の売却では、計画を進める前の確認が将来のトラブルを防ぐことにつながります。

松屋不動産販売株式会社では、家デパ各店を通じて土地・戸建・マンションなどの売却相談を承っています。不動産の売却方法や価格に迷われている方は、まず所有物件の条件を整理するところからご相談ください。適切な売却方法を考えることが、大切な資産を守る第一歩になります。

 

 

まとめ|無免許事業等の禁止を理解して安全な不動産売買を行う

宅地建物取引業法の「無免許事業等の禁止」は、不動産取引の公正を確保し、購入者などの利益を保護するための重要な規制です。通常の自宅売却や相続財産の処分では免許が不要な場合が多いものの、売却の目的や方法によっては宅建業に該当する可能性があります。特に注意したいのが、土地の区画分けや継続的な転売です。最後に、無免許営業を避けるために押さえておきたい重要なポイントを整理します。

 

宅建業法第12条は無免許営業だけでなく表示・広告も規制している

宅建業法第12条では、免許を受けずに宅建業を営む行為だけでなく、無免許の者が宅建業を営む旨の表示や、宅建業を営む目的での広告も禁止しています。違反した場合には刑事罰が科される可能性があり、営業を開始する前の段階から注意が必要です。

また、第13条では宅建業者による名義貸しも禁止されています。免許を持つ不動産会社の名前を利用したり、仲介を依頼したりすれば、無免許事業を自由に行えるというわけではありません。

大切なのは、形式ではなく実際の取引内容を確認することです。売主がどのような目的で不動産を売却するのか、その販売活動が宅建業に該当するのかを、事前に判断する必要があります。

 

「業として行う」かは取引回数だけではなく5つの要素で総合判断する

宅地建物取引業に該当するかどうかを判断する際には、取引の対象者、目的、物件の取得経緯、取引の態様、反復継続性という五つの要素が重要です。いずれか一つの条件だけで判断するのではなく、取引全体の事情を総合的に確認します。

特に、売却回数が少ないから免許不要という考え方には注意が必要です。例えば、一度の販売計画であっても、土地を区画分けして複数の買主に販売する場合には、反復継続性が認められ得ます。

また、相続や住み替えを理由とした通常の資産処分と、転売利益を目的とした不動産事業では、取引の性格が異なります。自身の売却計画がどちらに近いのかを整理し、判断に迷う場合は適切な確認を行いましょう。

 

判断に迷う売却ほど実行する前の確認がトラブル防止につながる

不動産売買で大切なのは、できるだけ高く売ることだけではありません。法令に適合した方法で、安心して取引を完了させることも同じくらい重要です。特に、土地の分割販売や複数物件の売却を検討する場合には、販売計画を実行する前に免許の必要性を確認してください。

売却方法を慎重に検討することは、余分な費用や時間を抑えることにもつながります。また、価格や売却条件を比較することで、所有者にとってより有利な選択肢が見つかる可能性もあります。

「この土地は、どう売れば一番有利なのか」「今の売却方法で本当に問題ないのか」。そんな疑問をお持ちの方は、家デパへご相談ください。

松屋不動産販売株式会社は、家デパ豊橋店・豊川店・知立店・浜松店を通じて、不動産の購入・売却をサポートしています。大切な資産だからこそ、価格だけでなく売却方法までしっかり検討することが、後悔しない不動産取引につながります。

 

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